08




「んっぁ、ジル」
「そう、そこだよぉ、はぁん、充葉ぁん、もっと弄ってぇ」

 陰嚢をしゃぶるのを止め、舌を裏筋に這わすように、上げていくと、ジルは大層、喜んだ。男の感じる所なんて、特殊な性癖を持っていなければ大抵、同じだ。
 僕は裏筋を丁寧に舐めながら、指先で、亀頭を刺激した。

「ふあぁん、いいよぉ、充葉あん」
「んっ――ぁ、そう?」
「そうだよぉ。オレねぇ、すっごく気持ち良いよぉん」
「ならっ――いいっん、だ」
「ふふふ、はぁん、そこ、突いてぇ」

 亀頭を親指と人差し指で輪っかにするように包みこみながら空いている爪先で尿道口を引っ掻くのがジルはお気に入りらしい。止めを刺す様に、裏筋を舌で舐めてやると、恍惚に表情を歪める。
 悦楽に溺れるジルの表情を見ていると、とても安堵した。

「充葉ぁん、イくぅぅぅ、オレぇぇ、イくからぁん、ちゃんとぉ、飲みこんでねぇ」
「ふぁかってるよ」
「ちゃんと、ん、言えてないけどぉんねぇん」

 射精するというので、手を離し、唇を亀頭へ被せる。ジルは確認したかのように、精液を発射した。

「ふあぁああん、充葉ぁん、気持ち良かったよぉん」

 精液が入った口で返事も出来ず、僕は頷く。

「あ、ちょっとぉん、飲み込む前にオレに見せてぇん」

 何をと聞くのが愚問だろう。僕は咥内を晒すべく唇を開ける。上目使いでジルを見つめる。ご機嫌なジルは僕の咥内を眺めながら、思い立ったように、凶器のような爪先を、僕の中へと突っ込んできた。
 くちゅくちゅと自身の精液を爪先で舐める。真っ赤な舌とのコントラストが気に入ったのだろうか。ジルは粘膜の糸を引かせながら、僕の唾液と自分の精液が混じったものを舐めた。

「オレのは美味しくないけど充葉のは美味しいねぇ」

 拒絶しようとしたが、精液を含んだままだったので黙る。気付いたのかジルは飲みこんでいいよと合図し、嚥下した。

「さぁって、充葉ぁん」
「なに?」

 立ち上がり、トイレの鍵を開こうとしていた僕の腕をジルが掴む。刺激が強いものを咀嚼したせいで、喉が棘を放っており、水分を求めた。蛇口で洗い流したかったのだ。

「本番はここからでしょぉん? 安心してよぉ、オレは優しいから」
「どこが?」
「悪態ついても、無駄だよぉ」
「……口を濯がせて欲しい」
「えぇん? 駄目ぇって言ったらどうするのぉ」
「駄目でも、濯ぐけど」
「じゃあ、駄目ぇ。この扉かは出さないよぉ」

 ちょっと我慢してくれれば良いだけなんだけどなぁと、思ったけど、強引な力で引き寄せられ拒絶など出来る筈がない。僕が嫌だということは、大抵、ジルの快楽と直結しているのだから。


「制服、破られるのとぉ、どろどろにされるのとぉ、あとねぇ、裸になるのどれがいいぃ?」

「裸になるよ」

 究極の三択だと思いながら、制服に手をかける。ジルは視姦するような眼差しで僕を舐るように見つめた。
 ブレザーを脱ぎ、畳む。鞄の上へと積む。ネクタイを外し、ワイシャツを見ると、白いワイシャツに透けた乳首が恥かしかった。フェラをして興奮したのか勃起している。ジルには勿論、脱いだ瞬間、判るだろうが、脱ぐほかなく、ゆっくりと脱いでいく。上半身裸になった状態で、ジルが喉を鳴らした。

「いいよぉ、充葉ぁん」

 手招きするようにバラバラで動く指先。
 下腹部へ手をやり、ベルトを外す。金属はぶつかる音がして、ズボンを下げると下着だけの姿になった。これも、自分で脱がないといけないなんて。

「どうしたのぉお、充葉ぁん。手が止まってるよぉ?」

 便座に座ったジルは腕組みしながら躊躇する僕へ牽制する。自分から誘った時点で覚悟は出来ていた筈だと、下着を脱ぎ、半勃ちした陰茎をジルへと晒す。

「充葉のはぁ、すごくぅ可愛いよねぇ、子どもみたぃ。子どものころから、成長してないみたいだよねぇ」
「ぁ――失礼な、こと、ッ――言うな」

 囃す様にジルは僕の陰茎を撫でる。
 喘ぎ声が出そうになり、噛み殺すと、もっと開放的になりなよぉんと誘引してきた。

「ふぁあ、ジルっそこはっ」
「充葉ぁんってばぁ、オレの舐めて興奮しちゃったんだねぇん」

 否定も出来ぬまま、喘がされる。ジルはポケットからグロスを出し僕の後孔に指を突っ込んだ。

「ひゃぁ! ぁ――ジルっ」
「早く充葉ぁんの中に入りたいよぉん」

 滑りを利用して、あっという間にジルは僕の後孔を解す。
 爪先が内壁を抉ると、敏感な粘膜を突き破るような刺激が走る。

「ひッ……いっ……!」

 紙一重で快楽だと分類される強烈な感覚に、僕は海老みたいに背中を仰け反りながら悲鳴をあげた。
 鼓動を続けるジルの指先は確実に僕の感じるツボを押し続ける。衝動にびくびく、震え、涙で視界が潤む。

「みっつばぁん、自分だけ気持ち良くなるのは駄目だからねぇん」
「ひっぁ、ふぁああ、ごめんっ」
「判ってくれればぁん、良いけどねぇん」

 僕を気持ち良くさせていた人の台詞とは思えなかった。
 ジルは、後孔から指を抜き、代わりに、巨大な一物を僕の中へと挿入した。





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