冬空が肌を切り裂くように落ちてくる。白秋の生温い風が一蹴され、外に出ると寒さに縮みあがる。帝があれほど、ジャケットを着て行けと進めたのに無視して出てきた酬いだと言うように、寒さで鼻水が出てきた。糞カッコワリィ。鼻を啜って、早く買い物を済まそうと頼まれた物を入れる。スーパーって面白れェ。馬鹿みたいに安いからな。牛乳と挽き肉、卵などを籠へ放り投げていく。今日はハンバーグでもするつもりなのかねェ。帝が作ったらなんでもウマいから、料理の種類なんて、なんでも良いけどなァ。 メモ帳に書かれた、品物を入れると、レジへ行き会計を済ます。会計のオバチャンは「一人じゃない珍しいわね」と陽気な声を出してきた。買い出しは二人で。若しくは、帝が真っ昼間から一人で来ることが多いからだ。けど今は俺一人。尋ねたくもなるんじゃね。俺だって珍しい感覚だっての。 仕方ねェじゃん。あの子は今、家で留守番中なのだから。 「帝、帰ったぞーー」 出迎えが当たり前となった廊下だが、今は闇に包まれている。俺が床を歩くと軋む音が鼓膜に届いた。台所の扉を横に引くと、スーパーの袋丸ごと、冷蔵庫の中へツッコんだ。俺は何処へ入れれば良いかわからねェからよォ。後で帝が入れんだろ。 冷蔵庫の扉を閉め、中廊下へ戻り、階段を登る。寝室まで向かい、ニヤケが止まらねェ口元を抑えつけながら、重厚な扉を開いた。 「帝、大丈夫かァ」 「ひゃっあっふぁ、トラァァァ、も、限界だよぉ」 「限界って。ハッ何回イったんだよ。シーツべちゃくちゃじゃねェか」 「ふひぁ!……ぁっ強くしないで」 ベッドの上に寝転がり、喘ぐ帝の姿が見える。手は頭上で軽く纏めてあるが、解こうと思えば簡単に解ける仕組みになっている。が、あの子はベッドに括り付けられたままだ。拘束された格好が俺のいけねェ、スイッチが入れ替わる音が脳裏で聞こえる。 「止めてってコレかよ」 「ふぁぁぁ、ひゃぐ、あっトラぁ、それだよぉ。やっ、もう限界ぃぃ」 「お前の玩具だろォ、使ってんの」 「ひぃんっ!!――ひゃぁぐ」 帝の後孔に埋められているのはローターだ。この前、帝の部屋で発見したものだった。 宝箱みたいな形をし、ピンクの塗装が乙女らしさを上げている中から出てくるのは大人の玩具。淫乱にも程があるだろ。まぁ、んな、所も可愛いけどよぉ。同じ男なのかってのは疑いたくなるけどなァ。帝だから問題ねェ。 「MAXまではまだ上げてねェけど」 「う、嘘だぁ。ひゃぁぐっ。トラァァァん。ぬ、抜いてよ」 「ハイハイ、耐えたらなァ」 ポケットから取り出した、リモコンを見せびらかすように披露すると、指で押し上げた。 グゥィィィィン! 機械音が回転する響きが児玉する。 「ひゃぁっ! 中で暴れてるぅぅ」 「今、MAXだしなぁ。それによォ、これ縦にも横にも自由自在に動くんだぜェ」 「ふぁっうごっ動いてるよぉぉ」 人間には不可能な動きに奔放されながら、腰を振る。ベッドの軋む音が鳴る。 「なぁ、またイくかァ」 「もっ、出ないよぉ。やぁ、いたっひゃぁぁぁ、でるっっ痛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 「ハッ、出てんじゃねぇか、つーか、もう透明だからションベンみたいだけどよォ」 帝の小さい性器から、お情けみたいな精液が飛び出す。シーツに付着した量から見ると、俺が買い物へ出かけている間に相当、射精したみてェだな。 「ふぁぁっっ、ひゃぁっ、止めてよォォ」 「無理なんじゃねぇ」 「ひどっ、トラのが欲しいよぉぉ」 あーあ、泣き出しちまった。泣き出した帝を見てると、半勃ちした性器が硬さを持ってくる。普段は絶対に泣いて欲しくねェし、泣かせた人間はブッ殺すけど、自分が虐めている時は胸底から熱い興奮が上がってくるのがわかる。もっと泣かせたくて堪らない感じ。他の女を穴にしていた時には微塵たりとも感じなかった、熱だ。 楽しい。 「帝、俺の欲しいか」 「欲しいよぉ、僕の淫乱ではしたない孔をトラのおっきくて太いので、ついてよぉ」 「もうイきたくねぇんじゃないのか」 「トラのハメハメしてもらう前に終わるなんて嫌だよぉ」 「へぇ」 「お願いぃぃぃぃっ!」 涎をバカみてぇに垂らしながら、懇願する帝を見つめ生唾を飲み込む。 指を伸ばして、ローターを着けたまま、引き抜く。 「ひやぁぁぁっあっあっでるぅぅ」 引き抜いた衝突でまたイってるし。面白れェ。内壁が抉るように、快楽のツボを押してるんだろうよ。帝はすげえ敏感だからなァ。イき過ぎて普段より敏感になってる状態の帝は全身、性感帯みたいなもんだし。 「オイ、起きろよ」 ぐっだりする帝の頬っぺたを軽く叩いて、引き起こす。イき過ぎて意識飛んで白目見てるしなぁ。けど、俺の銜えて貰わなきゃ困るからなァ。意識ない奴に挿れるつもりないし。 「ひっあっ。ひゃぁ、トラ」 「うん、お前が欲しいったよなァ」 「ご、ごめんなさい」 「怒ってはねぇから、な」 「トラ」 「じゃぁ、自分で孔広げてみろよ、な」 縛り付けていた手を解いてやり、告げる。帝は暫く迷いを見せた後、M字開脚をし、太股を持ち上げた。 「お、お願いします」 ぽつりと呟く。真っ赤な顔から涙をぽろぽろ落とし、頼み込み。あーー可愛いぃなぁ、本当にお前はよォ。 「イくぜ」 間接に手をやり、帝のアナル目がけて肉棒を突き立てる。ローターを数時間、挿入していたお陰で柔らかい。簡単に入っていく。 先端を押し込んでいくにつれて、大きく開いた帝の目からぶわりと大粒の泪があふれる。顔、ぐちゃぐちゃだな、お前。 強く腰を揺するたび、苦痛に声もろくに出せないのかぱくぱくと開いた口腔、白い歯の奥に引き攣る赤い舌が見え隠れしやがる。 違えな。痛いからじゃねェ。この子は気持ちが良いから、意識が再び飛んじまいそうなんだ。 「ひ、っぃ…、…ッ、…っ」 奥まで埋め込んだあと、早々に腰を引く。ずるずると絡みつく粘膜を引きずりながら抜き出し、また元の深さまで埋め戻す。こちらが動く度に呼吸すら覚束ないまま泣きじゃくるのを見ていると、蟠っていた興奮が、爆発していく。 「とらぁ、とらっひっひやぁぁぁぁふぁぁ、そこっ、そこっ」 「分かってるぜっ!」 腰を強く打ち付ける。内壁が絡み付いてきて熱を持つ。俺の頭ん中も白く染まってきやがる。 帝がぐっと俺の肩を掴んだ。指先が肩に食い込む。食い込んだ先から、熱が溢れてきそうだ。じわじわと痛み、帝に関してはもっと、縋るように求めてきやがれと、脳内が叫び出す。 「帝、イくぞ」 「ひゃぁぁぁ、でるっっぅぅ」 透明な精液が飛び出し俺の腹にかかる。俺も帝の中へと熱を吐き出した。盛った動物が自分の遺伝子を残すように、俺は帝の内壁をじわり支配していく。他の奴なんかに、渡さねぇように。 |