晩ご飯を食べ終えて、トラはソファーで横になっていた。テレビから聞こえる笑い声と一緒に声をあげ、それだけで僕はほくほくした気持ちになった。お風呂が沸いたので、入って貰うよう頼むと一緒に入るかと誘われた。 勿論! と犬みたいに擦り寄る。パジャマを持って、お風呂へ迎う。僕たちが住んでいる家のお風呂は大きい。トラの身体が常人の範疇に収まらないくらい大きいから家にある物は自然と大きくなるのだ。 お湯に足を浸けると、ほんのり熱い。湯船には一緒に浸かるのかなぁと、トラを一瞥すると、腕を引っ張ってもらった。 「あったかいね、トラ」 「だな! やっぱ一番風呂はイイよなぁ」 「二人しかいないけどね」 「どっちでも良いだろうが」 豪快にトラは笑うと、湯船がちゃぽんと揺れた。 「それよか、お前、勃ってんなよ」 「あ……ごめんなさい」 言われてから気付く。緩く勃起していることに。裸で密着している状態だからかなぁ。トラに触れられいると思うだけで僕の身体は簡単に反応する。 「ひゃぁっ、駄目だよぉ、トラ」 意地悪を思いついた子供みたいな無邪気な顔で、トラは僕の乳首をいじる。今まで抱き締めていた腕の位置が変わっただけだぜって言うみたいに。 僕はびくんと反応してしまい身体を揺らす。指先が薄い胸板を蹂躙する。 「ん……トラぁ」 「カンペキに勃起してるじゃねぇか」 大きな右手が下腹部へ伸び、張り詰めた性器を捕まれる。今にも爆発してしまいそうなので、敏感になり、痙攣を起こす。 「ひゃふ」 「一回イかせるからな」 粘膜が絡みつけキスをされた後、裏筋を弄る手は早さを増し、指の腹で僕の鬼頭を撫でる。乳首を貪っていた手が降りてきて、睾丸を揉まれ刺激を与えられた。 「ふぁっあ、イくぅぅ」 「オウ、イけ」 尿道口を擦られ、僕はお湯の中に精液を吐き出す。身体を綺麗にする場所なのに、逆に汚してしまい申し訳なさが残るが馬鹿になってしまった僕の頭はとろけていて正常に機能しなかった。 「これより先はベッドでな」 誤魔化すみたいにキスをされた。後ろが疼いて仕方ないのって気持ちを暴かれたみたいで恥ずかしくなり頬を染める。逆上せてしまうといけないので、正しい判断なんだけど、自分じゃ立つことが叶わない僕の身体を肩に乗せ、お風呂を後にした。 身体をバスタオルで軽く拭かれ、ベッドの上に投げるように落とされた。柔らかいので害はない。 トラも裸かなぁって思ったらボクサーパンツをしっかり着こんでいて、綺麗に割れた腹筋が眼につく。喧嘩するのは好きじゃないけど、目立つ風貌から中学、高校と喧嘩に明け暮れていたせいか、トラの筋肉は動ける人間の筋肉をしている。そのくせ、モデルみたいに、見せられる身体をしていて、魅力から目が離せなくなる。 「あう、あの、トラ」 「なんだよ」 僕にキスしようと、顔を近づけるトラに小さなお願いをする。キスされたら意識が蕩けてしまうから。 「舐め、させ、て」 だって、トラの身体見ていたら反応しちゃってご奉仕させて欲しくなったんだもん! って素直に言えたら良いけど、今の状態の僕にそこまで長い言葉は出てこなかったみたい。 「舐めるって俺のをか?」 「それ以外になにがあるの?」 やっぱり言うんじゃなかったと後悔しながら俯くとトラが僕の顎を掴み、告げる。 「イイぜ。別に」 「トラ!」 「ま、お前だけ、好きにはさせねェーけどよ」 意味が分からなかったけど、ベッドが軋む音と共にトラの巨体が乗り上げてきた。何時もならココで濃厚な口付けが交わされるのだが、違うみたい。フェラさせてくれる気はあるみたいで、僕の顔の上にトラの性器がぶら下がっている。 「ひゃぁ! とら、なに、を」 「なにって、俺もお前の、舐めんだよ」 「んっ――ぁふぁん」 トラが僕の性器を舐める。温かい粘膜に包まれて爆ぜてしまいそうだ。裏筋を食べるように舐められ、亀頭を甘噛みされる。簡単に射精してしまいそうだ。 「チッこの体勢じゃやりにけぇな」 耐えているとトラの口は僕の性器から離れ、舌打ちが聞こえた。 「帝、お前が上になれ」 「ぼ、僕が?」 「ん。だって、俺ら、ゼンゼン身長あわねェーし」 「う、うん。そうだね」 百六十センチやっとある僕と百九十センチを超えるトラとでは、所謂、69の体勢は取りにくい。ならば、僕が上に跨り、トラが膝を曲げて、性器を舐めあう方がお互いに負担が少ない筈だ。 言われるがままに、起き上がって、トラの上に跨る。 「ま、こっちの方が良いだろう」 「は、はい」 「じゃ、舐めるから。お前も奉仕しろよ。俺に。帝からヤリテーって言い出したんだから」 「うん」 表情は見えないけど、確実にトラは愉快に笑っている筈だ。長年の勘が脳裏で告げている。 「ん――」 僕はトラの性器を掴む。中指と人差し指と親指で輪を作り、カリからスライドさせる。この動きはフェラしている最中に止めてはならないものだ。 空いているもう一方の手で睾丸を摩る。揉んでしまうと、僕みたいに苛められるのが好きじゃない限り、痛くなっちゃうから。 「んっ――トラ」 どうやら奉仕させてくれる気はあるみたいで、僕を嬲る手も一時的に緩やかなものへと変化していた。お蔭でフェラに集中できる。 唾液をいっぱい垂らして、性器に齧り付くように、貪る。 くちゃ、くちゃ、くちゃ 「ふあぁ……トラのおちんちん、美味しいよぉ」 「帝っ……そう、かよ」 「うんっ」 唾液が音を演出する。 根本から銜え込んで、手と一緒にスライドする。出来るだけ、ペニス全体を刺激するよう注意しながら、舐め上げる。 「とらぁっ……ん、ど、う」 「キモチイイぜ、帝……ッ」 「良かったぁ」 上下する時、捻りを少しだけ加えながら、上へと登り、息を吸い込む。 「はぁ……ん――」 新鮮な息を吸い込む、再びファラをする。 男の人が一番気持ち良い部分、亀頭の裏筋に重点を置き、舐め上げる。舌のざらざらした感触を利用して、甘噛みをする。 感じてくれたみたいで、咥内の性器が膨張してくる。 「ふぁ……トラの、おっきいい」 「まだまだ、膨らむぜェ」 「ん――そうだ、よ、ね」 唾液を再び含ませ、裏筋を舐める。 達してもらいたくて、会陰を片手で触る。ペニス全体をもう片方の手で刺激してやり、上から思いっきり、深くしゃぶった。 じゅく、じゅく、じゅく、ぐちゅ、ぐちゅちゅ! 唾液と空気が混じる音がして甘美さを彷彿させられる。後は、亀頭を甘噛みしたら、射精してくれるはずと思って、スライドする口の動きを速めた時だった。 「ひゃぁぁぁ! あぁ、ひっ、な、な、に、いきなりぃぃ!」 「悪ィ。先にイかせられるのは、なんか、嫌だわ」 「そんなっ! ふあぁ、あひっひゃぁぁぁああ!」 緩やかな動きとは打って変わって、行き成り激しくバキュームされ、僕は奉仕していた口の動きを止め、嬌声をあげてしまった。 「ひゃぁっあ、あぐ、ふぁっトラぁぁぁ」 「お前ってホントーに感じやすい、淫乱ちゃんだよなぁ」 「ふあぁっごめっ、ごめんな、さ、いっ」 「謝んなって。それよか、お前も続けろよ、フェラ」 「ひっあ! も、無理、だよぉ」 僕はそんな優れた恋人じゃないからトラが本気で触るだけでなにも出来なくなるよ。 必死で抗うように再び舐めようとするけど、どうしても、口に含むとトラが僕の性器を弄るのに反応しちゃって離してしまう。あのまま、喘ぎ続ければ、トラの性器を噛んじゃうから。口を性器から離さずには負えない、のに。 「自分からしたいってイイ出したんだろうが!」 「ふぇぇ、ご、ひゃぐあぁぁああ! ごめんなさぁぁぁ、いぃぃぃぃ!!」 「オラ、イけよ!」 楽しそうに叫ぶトラの声と一緒に僕は達する。 精液をトラの顔面に吐き出してしまい、どうしよう、と焦ったけど、力が抜けた身体は立ち上がることさえ敵わない。 くてんと、トラのお腹に頬っぺたをつけてしまう。 「帝、お前だけ気持ち良くなってるところ悪ィんだが、俺もイきたいから、もうちょっと頑張れよ」 「ふぇ!?」 トラは僕の下から脱出し、先ほど吐き出した精液を利用して後孔に塗りつけてきた。 「だ、だめ、だよぉ。ひゃぁ、さっき、イったばっかり、だか、らぁ」 「大丈夫だって」 「ぁああん!」 「なっ!」 強引に指を突っ込まれる。収縮を繰り返す襞の動きを無視して、周りを沿うように、二本の指を動かされる。まるで円を描いているように。 「ひゃぁぁぁ、とらぁぁ」 「もうちょい、頑張れ」 達した影響で力が入らない僕は布団に身体を預け、痙攣した状態でトラの責めに耐える。第一関節を引っ掻くように、曲げられ、ひゃう! と身体をくねらす。 「んんっ――」 三本目を飲み込んだところで指を引き抜かれる。 変わりに押し付けられたものの熱さに、ひっと息を飲んだ。待ち焦がれていたものだが、今からトラの肉棒が僕の身体を蹂躙するのかと思うだけで緊張する。 「ふっ……あぁぁぁぁ、ぁぁぁひゃぁあ、ひゃぁああ!」 ぐっと突き立てられる衝撃に精一杯押し殺そうとした嬌声があがる。 太い先端部分が半ば強引に捩じ込まれ、揺すりながら残りのすべてが埋め込まれるのを、シーツに爪を絡めて耐えた。 「はぁっ……ぁ」 「はじめ、少し慣らしただけなのに、帝のココはズイブン簡単に俺を飲み込んだじゃねぇか。んなに、欲しかったかよ」 トラの低い肉声にぶるり太腿が震える。緩いと言われたわけではないので、傷つきはしないが、恥ずかしい。羞恥で身体が焼け焦げそうだ。トラの肉棒を前にすれば、ぱくぱくと欲しがる身体が。 「んっ……ぁふぁあ……! ひゃぁあっあぁ」 「動くぞ」 返事をする前に、腰を小刻みに動かされる。ぎりぎりと狭い内道をこすりたてられる感覚がした。 「なっ帝! お前の、ココ、俺のサイズになってて、すっげぇイイ」 「ひゃぁ……ふぁ、それっ、ぐ、ひゃぁ、どういう、いっみ」 「ハァ!? そのまんまだろうがァ! 俺のころ好きすぎる帝が可愛いってことだよ!」 「ひゃぁぁあぁあん! ふぁ、なに、そ、れ。あ、ト、トラぁぁ。ぼ、僕のこと、いやじゃ、な、い」 「なに、言ってんだ? お前、日本語喋れよッ! 俺は、頭ワリーんだから!」 熱い囁きが上から降ってきて僕は素直に快楽へ身を委ねる。 亀頭付近まで抜かれ、突き落とすように挿入され、達してしまう。 「イくぅぅ! イクよぉぉ、トラぁぁ!」 「くっ俺もイくぞ!」 覚え込まされた感じる所を容赦なく突き上げられ目がちかちかと白く点滅した。淫液を吹き飛ばし、射精する。トラの熱いものが、僕の中へ、どくんと吐き出された。 眼をあけると、明け方だった。朝日がカーテンの隙間から覗き見出来て、そろそろ、起きなきゃいけない時間帯だけど、今日は寝ていたかった。 横を見つめるとトラが穏やかな顔つきで寝ていて、柔らかい髪の毛をそっと撫でる。今日はアルバイト先へ行った後、卒論の参考文献を漁りに大学へ行くと言っていたので、一緒に入れる時間は朝と、夜だけになってしまう。だから、もう三〇分だけ、この寝顔を眺めていたいと思って、ずっとトラを見ていた。大丈夫、朝食の準備には間に合うよう、きちんと起きるから、と自分へ言い聞かせながら。 |