「ん、はぁっとら」 「ンだよ、帝」 「うぅ」 トラの指が僕の後孔をなぞる。収縮を繰り返す襞は、敏感で触れられた途端、きゅうっと締まるのに、トラはあくまで上辺を這うだけで、終わってしまう。 「な、なかぁ」 「中がどうしたんだ?」 指で突かれる。じれったい、疼く身体だけが残る。 情けが欲しくて、肩に手をやり、トラの唇にキスする。粘膜と粘膜が絡まり合う音がして、唾液が僕の中に入ってきた。 「ふぁ……ん」 熱い舌が僕の咥内を犯す。トラの舌は他の人より長いから、吸いついてきて、喉ちんこに触れると嗚咽が込み上げてくる筈なのに、上手に絡まされ、火照る身体だけが残る。 「んっ……トラぁ」 「なぁ、帝、お前さぁ、なんで、ココもう濡れてるんだよ」 散々、嬲られた唇が離れ、後孔を触れていた指が、下腹部へとあがってくる。自己主張した性器がゆるく勃起し、我慢汁が溢れていた。 「ひゃぁ! み、見ないでぇ。恥かしいよぉ」 「恥かしくなんかねェだろう? いつも見てんだから」 「そういう、問題じゃ、ないよ」 真っ赤になって、身体を縮ませてしまう。トラのお膝の上にいるから、舌を向いても自分のおちんちんが見えて、目を瞑るしかなかった。けど、トラはそれが気に食わなかったみたい。 「な、なんで漏れてんの? 喋れよ、ワケを」 低い声色で脅される。涙目になりながら、震える口を動かした。 「トラ、と……キスしたから」 「キスしたくれぇで、こんなになるのか?」 「ひぅ!」 性器を掴まれ、尿道口を弄られる。いつも僕が切っている爪先が、ぱくぱくと淫らな液を出す口を弄くる。爪先が、ぐちゅっと入ってきて、身を震わせた。 「いやぁだぁ、痛いよぉ」 「痛くねぇだろ。勃ってるクセに」 「ひゃわぁん!」 完璧に勃起してしまった僕の性器をトラは強く握る。トラに触れられているっていうだけで軽く達してしまいそうだ。 「ココ、いいだろう」 「いいよぉ」 気持ち良い涙が眸の端っこから落ちてくる。裏筋を指腹で押される。上下に繰り返し握られ、刺激を与えられる。 「泣くなって」 「ふえ、だって気持ちよくてっ」 涙を食べるようにトラが僕の頬を舐める。自分の意思で出ていない涙だと言うと納得してくれたみたいで、楽しそうに顔を歪めた。 「軽くイくか?」 「いやぁだよぉ。トラ、とっ! トラと一緒がいい」 主張するとトラはくすりと笑い性器から指を離す。ベッドの脇に置いてあったローションを手に取り、手のひらに取りだすと人差し指と中指ですくい、僕の眼前に見せる。 「いじって欲しいなら、オネダリしてみろよ」 「ふぁ」 一緒にイきたいと言ったのは僕だけど、理性が残っている状態でおねだりするのは恥かしかった。だって、トラのいう「おねだり」はエッチな単語を並べなきゃ成立しないんだもん。悠々とトラは僕が言うのを待っている。言わなきゃ、次の行動は打ってくれないみたい。正直な話、トラの眸で見つめられるだけで、達してしまいそうになる。 もう随分、長い付き合いになるけど、トラの顔はいつだって僕を感じさせる。長く、透けてしまいそうな睫毛。切れるような双眸。深いブラウンの眸で見つめられると身体が熱を持つ。蛇が身体に巻きついているみたい。 「と、トラ」 着衣しているトラのズボンを触る。布の上からトラの性器も膨張していることが判って安心と興奮が同時に僕に降り注ぐ。恥かしさのあまり口許に手をやり、ゆっくりと口を火かき懇願した。 「トラのおっきくて、ぶっといおちんちんを、僕のお○んこに、ハメハメしてぇ、ブチュブチュついて、くださ、い」 合格の合図だというように口許を覆っていた手のひらを退かされ、絡み付くキスをされる。キスに押されるように僕の身体は倒れ込み、ベッドに後頭部が付く。 「んっ――ぁ」 「帝」 名前を呼ばれると体温があがる。 赤ちゃんがオシメを変えるような格好にさせられ、僕の秘部が曝け出される。達する直前で止められたので、今にも弾け飛びそうな性器は我慢汁を垂らし、その汁が太股を伝い、後孔に辿り着く。 「ひゃぁぁぁっ!」 「まだ指、一本目だぜぇ」 「ふあぁっだって」 いかにも男のものだと判る太く長いトラの指が僕の後孔に突き刺さった。 内壁が吸いつくように邪魔するのにローションの滑りを借り強引に押し入ってくる。トラは体格に見合って、肉棒も大きいので、丹念に慣らさなければ僕の窄まりは切れてしまう。 昔、僕とトラが名ばかりの恋人であった頃は、切れる方が多かったけど。僕の一方的な片想いにトラが付き合ってくれていただけで、元々、ノンケであったトラにアナル性交は抵抗があったんだろう。 早く、終わらせたいっていうのが聞こえていたもん。血を流す、受け付けない身体を見て、何回も「別れようぜ」と口が動きかける瞬間を僕はよく眺めていた。その度に「ごめんなさい」と謝罪を繰り返したのだ。繰り返す謝罪が更にトラの神経を逆なでしているとは知らずに。 「ふあぁっ――! トラぁん」 「ココだろ、お前が好きなの」 けど、今は違うから、素直に気持ち良いだけを感じることが出来る。 トラの指先が僕の前立腺に触れた。人差し指で引っ掻くように嬲られ、身体が震える。 「ひゃぁぁぁっそれ、トラ、だめだよぉ、頭、真っ白にぃ、なっちゃうっ!」 「真っ白になれば?」 「ひゃぁっだ、だって、イっちゃうよぉ!」 「我慢しろ」 「ふぇっぁぁっん!」 無茶な台詞が飛んでくる。我慢するために、頭の上で纏めていた手を下ろし、自身の性器を握り、射精を抑制する。 「うっわっ。エロ」 「ひゃぁ、ふぁっ、あぁ、トラ」 「自分で握らなきゃならねぇ、くらい我慢できねぇのかよ」 「だってぇ!」 「まだ、一本目なんだけど」 「ひゃぁ!」 ずるっと後孔から指を引き抜かれる。 一本しか入っていなかったと僕に見せびらかすように。 指が無くなったことにより、窄まりはまた収縮するが、隙間からねじ込むように間髪いれず二本の指が入ってきた。 「ふあぁぁぁ、あっぁ、とらぁ、もっ!」 「ダメか?」 「だめじゃっないふあぁぁ、けどっ」 「もっと、欲しい、だろぉ」 頭を下げて頷く。欲しいよ、もっと。トラに触れられると、トラのことしか考えられなくなる。自分の身体なのに制御が効かない。簡単に僕を翻弄し、指、一本でさえ僕のではないみたいだ。 「もっとぉ! もっとぉ、ちょうだい、とらぁ」 叫ぶと、前立腺を挟むようにびくびくされる。僕が苦手なやつだ。これをされると頭の中が白く飛んでいく。 達するのよ抑制する為に握った性器が痛い。 「あぁぁぁん、ひゃぁらもう、らめぇっトラぁ、もうっ、おちんちん痛いよぉ! トラぁぁぁん」 「可愛い、帝」 「ひゃぁぁぁぁ! トラぁぁぁぁん、ふあぁ!」 三本目をするりと入れられる。僕の内壁はトラの指でいっぱいになって、無理だと言っているのに、止まらない。 前立腺は相変わらず掴まれたままだ。三本目が浅い所を引っ掻いてくる。 「そこ、や、二つも同時に」 「さっきダメじゃねぇって言ったろが」 「けどぉ! ひゃぁぁぁ、ひゃぁ」 激しく前後にスライドさせられる。 も、駄目だよ、達しちゃう! と思い瞼を強く握ると、絶妙のタイミングで指が抜かれた。 「ふあぁ、な、んで」 「一緒にイきたいつったの帝だろ」 ベルトを外す金属がぶつかる音がして、衣服が脱がれる。鍛え抜かれ、均等に美しく筋肉がついた裸体が露わになる。外国人の血が4分の一混ざっているせいだろうか。トラの肉体は、誰もが羨み、下手したら僕みたいに眺めるだけで欲情する人がいるかも知れない。それくらい、美しく、言葉じゃ表しきれないくらいの魅力が詰っている。 「ひゃ!」 ボクサーの下から、一物を取り出し、僕の後孔に宛がう。 「イくぞ、帝」 「う、う、ひゃぁぁぁあああん、とらぁぁ!」 合図をするより早くトラの肉棒が僕の中に入ってくる。トラの形を覚えてしまった内壁が、彼の形へと姿を変える。 腰を持ち上げられ、ピストンが激しくなる。 「おっきっあぁっおきいいよぉぉ! トラの、とらのだぁぁ!」 快楽で痺れる。本来、受け入れる器官ではないので圧迫感が酷い筈なのに、快楽の前ではそんなもの無意味だった。きゅうっと僕の孔はトラを締めつける。 「ひゃぁぁぁ、ずこずこやめてぇ!」 「奥までお前が咥え込んでんだよ!」 「ふぁぁぁぁん、ぼくのお○んこがぁ、いけないっひゃぁぁぁ! ぎゅうぎゅう、トラの締めつけてるよぉぉぉ!」 「ああ、咥え込んで離さねぇぜェ」 パン! パン! パン! 肉と肉がぶつかる音が僕の鼓膜で響く。 同じくらいトラの微かな息遣いが僕の鼓膜に届いて、快楽が倍になる。ペニスを抑える手の力が抜けていき射精してしまいそうだ。 「も、げんかい、なのぉぉぉぉ! トラぁぁ、おねがいっいっしょにぃ!」 「チっわかってんだよ! オラ!」 奥を突いていた肉棒がぎりぎりまで抜かれると、ズンっと打ち込むように、奥を刺激する。 「ひゃぁぁぁイ、イクゥゥゥゥ!」 「オウ! イけよ! 俺もっ!」 奥を抉るような動きに合わせ僕は手を離し射精した。ブシャァと、白濁がトラの見事に割れた腹筋にかかる。ごめんなさいと謝る前に僕の中に同時達したトラの、熱い精液が広がっていく感覚に酔ってしまう。 「はぁ、はぁ……ん、トラ」 肩で息をしていたらトラが覆いかぶさるようにキスをしてくれた。粘膜を絡ませながら、正しい呼吸を覚えて行く。 「明日、休みだしもう一回やるか」 「けど……トラ、卒論はいいの?」 「なんとかなんじゃね? それに、ホラ」 下腹部を見るように言われると、射精して収まった筈のトラの性器がまたゆったりと膨張しているのがわかり、頬を染める。 僕、個人としては、続きをしたいので、こくんと頷く。だって、トラとセックス出来るんだったら他のことなんか、後回しにしても僕は全然良いの。 明日、予定、僕もない、から。休日だし、トラとずっと一緒にいれたら、それだけで幸せだけど、してくれるっていうんなら。恥かしいけど、断る理由なんてないから。 翌日、腰が立たなくなることだけが、心配だけど。 そんなことを思っている間に、乳首に手が触れ、第二ラウンドが開始された。 |