「あーすみません部屋2つもないです」 「…どこで寝ろと」 「じゃあボンゴレはベッド使って下さい、きしみますけど」 「ていうか歩くと床、軋むんだけど」 「どんまいですよ」 なにがなんだか、という感じでついてきたけど待っていたのは予想をはるかに越えていた。古ぼけたホテルはやはり中も古かった。歩く度に軋む床はどこか頼りないし座ると、やはり軋むソファ、そしてベッド。なんだか、とんでもないところに来てしまった。 「じゃあお風呂入りますか?」 「え、あんの」 「ありますよ、ちょっと古いだけですし…ただちょっと上の階から水が漏れてます」 「…まあそれだけだったらいいよ、入る」 「どーぞどーぞこれ着替えです日本製ですよ」 「変なところで準備いいね」 「え、そうですか!どうもどうも!」 褒めてねーとか思いつつも風呂に行く。シャワーを出して、疲れを癒そうにも今日一日はいろんなことがあってまだ頭の中が整理できていない。だいたい俺を殺したいならなぜ、いま殺さない。ただの馬鹿なのか、それともなにかの計画なのか。 「出たよ」 「あ、はーい、ベッドどうぞ!」 「で、お前はどこで寝るの」 「そうですねー、お風呂でたら考えますよ」 「じゃあ俺は先に寝るぞ」 「ええ、どうぞどうぞ!おやすみなさいボンゴレ!」 るんるん、なんていいながら風呂に行く背中を見て溜め息が出た。なんだ、ただの馬鹿だった。ベッドはぎしと軋む。これ、落ちるんじゃないの。嗚呼、眠い。いつもはまだ眠れない分、今日は多く寝ようとか俺の体は思っているんだろう。寝てみろ。あんな馬鹿に殺されるはめになる。 「ふぃー、今日も疲れた!あう、ボンゴレ寝てるんだったぜいけね。ふー、にしてもよくついてきてくれたなー、あのボンゴレが。てっきり殺されると思ってたんだけどなあ…でもまあ、必ず殺さなきゃなあ…ボス、大丈夫かなあー…、次に会ったら絶対殺してやるんだから、あの銀髪!しかもなによ、交換条件なんて…うあああむかつくー!って、あれ?ボンゴレ、コーヒー飲まなかったのか…うーん飲むかねカフェイン摂取しちゃうけど大丈夫かな」 独り言が多い奴だな、こいつ!ていうか今のは、聞いてよかったのか…否か。(まああっちが勝手に話し始めたんだから俺に非はない)ボス、というのはあたりまえだけど俺のことじゃないだろう。きっと奴のボスのことだ。…銀髪ってだれだ。 「さあて、寝ますかね!」 そして電気が消えた。少しの間だけ起きていたけど寝息が聞こえてきた物だから俺も寝た。さっきの話がなんとなくわかってしまった。きっと奴のボスはどこかのファミリーに捕らえられていて交換条件で俺を殺す、とか連れてこいだとか言われたのだろう。…なんで俺が。夜は更けて行った。 「ボンゴレー、おきてくださーい」 「…最悪の目覚めだ、背中が痛い」 「すみませーん、まあとりあえず着替えて下さい」 「…ああ、うん」 「今日でこことはおさらばです、隣町に行きます」 「またどうして」 「契約の場がそこなんです」 「契約?」 着替えながら聞く俺と、荷物をまとめながら答える彼女。雰囲気は昨日と変わらず、のほほんとしていた。契約、と言われて俺は昨日の仮説があっていたのだ。と思った。 「ていうかボンゴレ、昨日起きていたでしょ?」 「なんのことだか」 「だからわかりますよね?…すみません巻き込んでしまって」 「…まあ、別にいいけど」 「え、本当に起きてたんですか」 「はあ!?」 「いや、まさかな、とは思っていましたけど…まさか本当にとは」 2歳年下にはめられた。しかも結構あっさりと。リボーンが俺をいつまでもボスとしてだえだと言われるのはこういうことがあるからなのかな、と思った。服を着て、それで顔を洗ったりする。彼女は俺を待ちながらなにやら考えているようだった。 「なに考えてるの」 「え」 「眉間、しわよってるぞお前」 「え、えー…!そんな!朝ご飯の店をどこにするかを迷っていただけなのに!」 「どうでもいい!俺はサンドイッチがいい!」 「さ、さりげなく要望をいれましたね、ボンゴレ…憎い人!」 とかなんとか言いながらホテルを出て、大通りに出る。奴はある店の前に止まるとここにしますか、と言いながら店内に入って行った。うん、なかなか美味しいにおいがする。彼女はここらへんの地理に詳しいのだろうか。 「ボンゴレー」 「ちょ、外でその名前はやめろよ」 「あーじゃあ綱吉さーん」 「…大声で呼ぶな!恥ずかしい!」 なんで俺は敵と朝ご飯を一緒に食べてるんだ。(あ、でも美味い) 4.Say Good-morning to sandwich 目的がわかってしまった綱吉さん 090803 星羅 |