I like, but not love | ナノ
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力の差は歴然だった。相手の方が女よりも断然、強い。入ろうにも、彼女がそれを許さなかった。


「ボクは彼と話したいんだけどなァ」
「うるっさい!あなたは、わたしが、!」


殺す、とでも言うのだろうか。相手も、女も、俺も。全員、さっきの台詞に続く言葉を知っている。でも女は続きを言わない。(俺の時はあんなに言ってたのに)


「おい!」
「お、なに?ボンゴレ」
「ボンゴレはっ、だまってて!」
「そうはいかない。もしこのまま話が進まないのなら俺は帰らせてもらう」
「えー、困るなァ…」


女は動きを止めると、なぜ、というような目で俺を見ている。あたりまえじゃないか、と視線を返すと彼女は表情を歪めた。そしてそれを見て笑う、白蘭と名乗った男。彼女には傷と血がついていて、それに対して男は無傷、まったく汚れていない。痛々しい光景だ。


「俺を殺すならそいつと戦う意味はないはずだ」
「え!もしかして殺されてくれるの?」
「どうだかな」
「わー、ボンゴレったら!ボク嬉しいなァ」


君を殺せるなんて!と笑った男は奇麗すぎて悪寒が走った。瞬きをしたときだった。さっきまで男とは50メートルはあったはずなのに、奴は目の前にいる。いきなりの事で反応するのが遅くなってしまった。


「ぐっ、」
「ボンゴレ!」
「さすがだなァ、沢田綱吉くん」


強い相手は嫌いじゃない。でも戦う事は嫌いだ。視界のはじにいる女は強い、拍手したくなるほどだ。ボスのためにこんなに強い奴を相手にしていたのだ。強い、女だ。それに比べて俺は。ぼけ、と戦ってる2人を眺めているだけでなにもしなかった。悔しいと思った。でもそれでも助けにいこうとはしない自分は最低だと思った。


「警察だ!お前達、すみやかにっ、ぐぁ」
「!」
「もう、うるさいなァ、いまはボクと綱吉くんが遊んでるのに」
「お前、一般人にも手を出すのか!」
「え?だって邪魔してきたんだよ?殺すでしょ」


腐ってる。そう思った瞬間だった。空を飛んでいる自分から見てはるか舌の方に子供がいる。白蘭は次の技の準備をしている。もし、俺がここを動いたら、あの子供に当たるかもしれない。助けるには時間がない、だからと言って見殺しには出来ない。(…っ)これが、リボーンの言ってた俺の甘いところか。白蘭の攻撃が、目の前にある。わかる、死ぬのだ。ああ、もうちょっと生きていたかった。せめて彼女をつくりたかった。光で目がつぶれそうだ。


「つなよしさん!」


最後に聞こえたのはあの女が俺を呼ぶ声。




7.Say Good-bye to this world





白蘭の攻撃はなんかレーザー的な感じです(多分)
080804 星羅