My dear! | ナノ


しとしとと雨が降っている今日はめずらしく奈美から話しかけてきた。(しかも雲雀、て)内心、嬉しい気持ちもある、けれどそれと共に不安もある。なんで、今日は君から話しかけてくるんだい?


「今日、用事あるので委員会、出れないんです…」
「…そう。それで?」
「え、き、今日は帰らせてもらってもいいですか?」


少し遠慮ぎみに聞く奈美。本当は行かせたくないけど、そんな事をする資格を僕は持っていない。別に付き合ってる訳でもない。ましてやクラスメートでも近所でもなし、幼なじみでもない。ただの、委員長と委員という関係だ。


「別にいいよ」
「あ、ありがとうございます!」
「で、用事ってなんなの」
「え、」


少し気になる、なんてレベルじゃない。もの凄く気になる。なぜなら奈美はもともとあまり委員会を休まないからだ。調べたところ、学校も休んだ事もなければ、遅刻も早退もない。校則違反をしてることもあまりない。だからなおさら気になる。そこまでしてなにをしに行くのか。


「綱吉と買い物に行くんです」
「…そう」


ほら、あんなに楽しい時間だったのに。もう終わってしまったじゃないか。すべては僕が彼女のに聞いたからだ。あのとき、用事ってなんなの、て言わなければこんなにむなしい気持ちにならなくてすんだのに。数秒前の自分を僕は呪った。窓の外を見るとまだ雨は降っていた。



03.まるで旋律のように聞こえてくる、それは



(時を刻みし、世界の崩壊の音)




080219 星羅
090308 書き直し