「なにやってるの?早く座りなよ」 「は、はい!」 あのあと沢田の気配が消えて、奈美が僕の後ろをついてきた。応接室に入って、ソファーに座る僕とは違って、奈美はドアの所にひっついたまま動こうとしない。それがまたむしゃくしゃした。 「委員長、すみませんでした…」 「君、本当に悪いと思ってるの?」 「思って、ます」 ちょっと遠慮した感じで言う君の顔はさっき沢田と話していたときよりも暗い。いらいらする。ためしにもう一回聞いてみると「悪かった、て本当に思ってます!」て、少し怒りながら答えた。この表情の方が生き生きしている。どうせ見るならこの顔の方がいい、と思った。 「ふーん…」 「…委員長、なにか飲みますか?」 「いらないよ、奈美さえいれば僕はなにもいらないからね」 そう言うと奈美は顔を少し赤くして何も喋らなくなった。僕が立つと、それに反応したのか少しだけ体が跳ねた気がした。これは、僕の事を意識してるって事なんだろうか。前々から何回かこういうことを言ったことがある。 「顔、赤いよ?」 「ほ、ほっといて下さい!そういう冗談、やめてください!」 「冗談じゃないんだけど」 そういうとまたさらに顔が赤くなった。おもしろい、と思う以上に、可愛いと思う。さっきとはまた違う、生き生きとしていてなんとも平和な空気が流れた。おもしろくて、ついついからかいたくなる。それが、僕が奈美を気に入った理由だ。 「君、可愛い反応するんだね」 「っ!!委員長…」 「その委員長っていうのやめてくれない?」 は?と目を大きく見開く奈美の顔に僕は自分の顔を近づけて話す。ほら、みるみるうちに顔が赤くなっていく。ぞくぞくする。この表情を作っているのは僕だ。彼女のは、いま、僕の、 「恭弥、ていいなよ」 「む、無理ですよ!」 「…じゃあ雲雀でいいよ」 「そういう問題じゃ、いいんちょ…、ひっ、雲雀さん!」 02.流れる時間に (こんな時間も結局は、僕が壊すんだ) 080214 星羅 090308 書き直し |