「絞め合いっこしようか」

彼はわたしの上に跨りながら絶世の美女も裸足で逃げ出すような笑みをたたえた。柔らかなベッドに沈む肢体を両手首を引っ張られて起こされる。首が据わっていない赤子のように首がのけ反った。彼はわたしの首に陶磁器のように白く長い指を絡める。温かくも冷たくもない。生温い彼の体温がわたしの首に纏わりつく。

「ほら」

彼の色欲を湛えた瞳に射抜かれ、わたしの身体は彼の意図した通りの動きをする。生きた造形美そのものの彼の完全な稜線を描く首筋へと両手が触れた。その首筋を撫でるように指を絡めれば、彼は満足そうに微笑む。

「イイコだね」

彼の指が、わたしの首に沈む。除々に込められていく力。喉を潰される感覚に目を閉じる。咎めるような声色で名を呼ばれ、目蓋をこじ開けた。生理的に浮かぶ涙の膜の向こう。全てを拒む白を纏う彼を網膜の裏に焼き付け、力の入らない指で彼の首を絞める。それに応えるようにわたしの首を絞める彼の指の力が増す。ぎりぎりと骨が軋む。頭が真っ白になって視界も彼と同じ色に染まる。彼と繋がったままの秘部が、ぐちゅりと音を立てた。


懐胎


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