ごうごうと音を立てて燃え上がる城。赤い赤い赤い炎が城を侵略する。ぱちぱちと火花がすぐ傍で爆ぜる。やめて、やめてよ。大切なの。その城は、みんなでたくさん、たくさん過ごした大切な、想い出がたくさん詰まった城なの。三人でかくれんぼしたり、お団子食べたり、些細なことで喧嘩したり。だけどどれも、どれも全部きらきらしてて大切で、大好きで。ふらふらと城に戻ろうとするわたしを、才蔵が羽交い締めにして止める。姫さまッ!と切羽詰まった声が聞こえる。いやだ、やめて、だってまだ、城にはふたりが残ってるの、やめてよ。
やめて、ねえ、やめてよ。


「さすけ…ゆきむら……」


やめてよ、もうこれ以上遠くに行かないでよ。置いてかないでよ、だって、わたし、ずっと一緒って、ねえ、約束したじゃない。ねえ、ねえってば。


「いやあああああああああああああ!!!」



前略、返してください
(ふたりを、ねえ、かえしてください)
(かみさま)



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