生臭い鉄と血のにおい。噎せ返るような土煙を鎮めるように降り注ぐ雨。赤黒く染まる大地には吐き気がするほど多くの兵がこと切れ横たわっている。腕の中でだらりと首を垂れる肢体は固く冷え、その腹は血のりでべっとりと黒く染まっている。真っ白で血の気のない頬を撫でれば、雨がその頬を濡らす。きれいな夕焼け色の髪はかすれ、雨に濡れ、地に散らばっていた。

「さすけ、」

ぽつりと口にした名は、すべてを鎮める雨音に紛れて消えた。


瞬きをする合間に
ものすごくものすごく
遠くへ行ってしまったあなたへ



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