わたしには、悪魔みたいな幼馴染みがいる。その名も伊達政宗。頭もよけりゃ運動神経も文句なし。モデル並みのスタイルに信じられないくらない整った顔。街中を歩けばモデル事務所からスカウトされるのは日常茶飯事で、政宗が通れば10人が10人振り返るという絵に描いたような非凡っぷり。しかしあくまで一般人を貫く政宗だが、そんな彼のファンが県内県外問わずに500人以上いるらしい。アンビリーバボー。
そんな超絶かっこいい幼馴染みがいるなんてうらやましいと思うかもしれない。だがしかし、ここで断言させてほしい。あいつは悪魔だ。正真正銘の悪魔だ。わたしの人生はすべてアイツに潰されてきたと言っても過言ではない、いいや事実潰されてきたのだ。
幼稚園のときにわたしのファーストキスを奪いやがったのを筆頭に小学生のときには男子を味方につけてわたしにイジメを仕掛けてきた。中学時代には政宗のことが好きな女子から総スカンをくらい、高校時代はようやくできた彼氏にあることないこと吹き込んで別れる原因を作りやがり、大学に入ってからは合コンやらWデートやら徹底的に邪魔してわたしの淡い恋ごころや出会いの場を悉く潰してきた。
そうしてようやく就職してアイツと離れてとても穏やかな人生を送っていたというのに、勤めていた会社がいきなり政宗が興し急成長を遂げていた会社に買収されあわや職を失う、という寸前で、脅迫じみた引きぬきにより政宗専属の秘書にさせられた。
なんなんだこいつは。わたしをいじめることに人生を賭けているとしか思えないんですがね。
嫌味をたっぷりこめてそう言えば、予想外にも真顔でさらりと返って来た。

「Of course.お前をイジめることがオレの生き甲斐だからな」

という一言に、思わず握っていたコーヒーカップの取っ手に罅が入った。
ちょっと待て、わたしはコイツの生き甲斐のために存在しているというのかふざけんじゃねえ。
下剋上するなら今しかないとコーヒーの中に何か劇物でも仕込んでやろうかと策を練っていれば突然ぐいと腕を引かれて高級カーペットの上にコーヒーが零れた。その光景に唖然として口を開いていれば、顎を掴まれ無理矢理政宗の方を向かされた。そうして強引に口唇を重ねられ思わず全身がぎしりと固まる。ちょっと、待て。おいこれどういうことだ。なんだこれキスか。キスなのか。新手の嫌がらせなのかそうなのか。がちがちに固まる身体とは逆に頭の中はオーバーヒート寸前でぐるぐるとフル稼働していて今にも爆発しそうだ。
そうして目を白黒させるわたしを、その鋭い色を湛えた隻眼で貫いた政宗は、にやりと不敵な笑みを浮かべてわたしの口唇を舌でいやらしくなぞった。


「お前は一生オレに振り回されてりゃいいんだよ」


…ああどうやらわたしはこの悪魔から一生解放されそうにないみたいです。ジーザス!



おれと恋愛してください

(全力でお断りさせていただきます)


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