焦ったような怖いような表情をしたまさくんは一瞬扉を開けたままの姿で固まってから、っはあああああと大きく息を吐き出ししゃがみこんでしまいました。ま、まさくんどうしたの!?と咄嗟に駆け寄ろうと腰が浮いたけど、その前にまさくんががばりと立ち上がってずかずかと未だ名前の頭に手を乗せたままの銀髪さんの前までものすごく怖い形相で近づいてきました。

「っテ、メ、エ、は、よッ!!」

名前の頭から銀髪さんの手をどけると、まさくんは銀髪さんの胸倉を掴んで頭突きしそうな勢いで顔を近づけます。ま、まさくんのこめかみに青筋が浮かんでる…!

「来る前には連絡寄こせっていつも言ってんだろうがHuh?」
「わりぃわりぃ、携帯家に忘れちまってよぉ」
「携帯の意味、ねえ!だろ、が!」

胸倉を掴まれ揺さぶられてもなおハッハッハと快活に笑っている銀髪さん。え、これ喧嘩じゃないよ、ね?あれ?引きつった口元を歪ませて銀髪さんに詰め寄っていたまさくんはしばらく銀髪さんを睨みつけていたけど、やがて大きく息を吐き出してお前に期待した俺が馬鹿だった。と呟いて胸倉から手を放した。

「ひでえ言われようだな、オイ」
「Factだろうが」

ネクタイを緩めもう片方の手で髪をかきあげるまさくんがくるっと名前の方を向く。思わずびくっと肩が跳ねた。まさくんはさっきと打って変わってにっこりととても穏やかな笑みを浮かべているけれど…なんでだろうすっごい嫌な予感がする。

「で?なんで知らねえ野郎を部屋にあげたのか…Please teach me honey?」

すっごい綺麗な笑顔で首を傾げるまさくんだけど、その瞳はいっぺんたりとも笑ってなくて、…すごく、すごく怖いです。

「だだだだって銀髪さんまさくんのお友だちっぽかったから…」
「Ah?んなもんいくらでも嘘つけるだろうが。変な輩だったら今頃どうなってたかわかんねえほどbabyじゃねえよな?」

確かにまさくんの言ってることは正論だ。だけどだけど!名前だってひとを見る目くらいあるつもりで!そう反論しようと開いた口は結局何の音も発せないまま塞がれた。まさくんが、名前の頭を掻き抱くようにして名前の顔を胸板に押し付けたからだ。

「…例えそうだったとしても、お前が他の男と部屋でふたりっきりなんて状況、死んでも嫌なんだよ…」

告げられる言葉は語尾が震えていて、まさくんが本当に心配してくれたのが痛いほどわかって。まさくんの胸の中、自然とごめんなさい…と口が動いていた。まさくんは名前のことを信用してないんじゃない、ただただ名前のことを心配してくれてるんだ。それが何よりも胸に響いて、思わずうるうると瞳が潤む。

「…つっても、honeyが名前も知らねえ男を勝手に部屋にあげたことには変わりねえんだ」

今夜は寝られると思うなよ…?
耳元で、まさくん特別仕様の低く甘やかな声で囁かれ、思わず瞳を濡らした涙が引っ込む。パパ、ママ、今夜は帰れそうにありません。


110925 元親さんマジ空気っす!