「名前ちゃんはいいよね。性別が女ってだけでかすがの傍にいられるんだから」
夕焼けの燃えるような赤に包まれた教室で、俺は自分の容姿を最大限活かせる笑みを浮かべてそう告げた。
「本当、目障り」
上杉に呼び出されたとかで職員室に向かったかすがをひとりで待っていた名前ちゃん。
親友だかなんだか知らないけど、かすがに気に入られてずっと、それこそ四六時中一緒にいる。目障りで目障りでしょうがない女。
「猿飛くんはいいよね。性別が男ってだけでかすがとの子どもができる可能性持てて」
顔を歪めて泣きだすと思ったのに、名前ちゃんは俺様そっくりの笑みを浮かべてそう言った。思わず目を見開き、それから腹の底から愉快な気分になった。
「目障りなのよ」
俺の知らないかすがを知っている俺とそっくりなオンナは、憎しみを顕に醜く顔を歪めた。
ひたすらあなたを憎みます
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