頬:祝福・友情/精市
「今度のテスト、30番以内に入ったらご褒美あげる」
にっこりと女の子顔負けのキレイな微笑みを浮かべる精市。精市がくれるご褒美なんだもん、そりゃ豪華なんだろう。わたしはいつもの何倍も頑張って頑張って頑張って、見事学年23位に輝いた。一気に50番もアップしたぞ!
「せーいち!23番だったよ!!」
「ふふ、頑張ったね。偉い偉い」
成績表を見せながら精市に報告すれば、精市はキレイで柔らかな笑みを浮かべ、わたしの頭をよしよししてくれた。
「ごほーびちょうだい!」
そうすれば精市はにっこり笑って、わたしの前髪を掻き分け、そのままおでこにちゅってした。
……ちゅってしたぁああ!!?
「なんで真っ赤になってるの?」
「だだだって!い、今せーいち、ちゅ、ちゅうしたじゃん!!!」
「名前は馬鹿だなあ。いい?額へのキスは祝福とか友情って意味なんだよ?」
「へ?そう、なの…?」
な、なんだ…そっか、だから精市はおめでとうって意味でちゅうしてくれたんだ。そっか、これがご褒美かあ…。
「って、超安上がりじゃん!」
「ん?何か言った?」
「うっ…せーいちのばか!!」
「ははは、おもしろいことを言うのはこの口かな?」
「いひゃいいひゃい!いひゃいよしぇーいひ!」
精市のおっきな手がわたしの両頬をむにりとつまんでぐいぐい引っ張る。伸びちゃう!伸びちゃうよほっぺ!
やっぱり精市はいぢわるだっ!
理不尽で意地悪な神さま
いくら俺だって好きな子以外にこんなことしないのに。
早く気付けよ、馬鹿。
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