新学期早々校長の長ったらしい話を聞いて教室に戻る。当然だけど外部生のわたしの隣にひとはおらず、周りは2人から6人くらいのグループばかり。んー、昴にぃの心配していた事態になっちゃうかもなあ。まあ、いっか。焦る必要もない。友だちは焦ってもできるものじゃないし。ありのままのわたしで生きてそれを受け入れてくれるひとができるのを待つだけだ。

「今日から1年間、3Hを担当する村山だ」

教室に入ってすぐ担任の村山先生が挨拶をしだした。転入手続きとかいろいろとお世話になったので、既にその人柄のよさは知っている。なんていうか、ひとことで表すなら快活な先生だ。

「いくら内部進学者がほとんどとはいえ、3年っていうのは進路やこれから先のことをいろいろと考える時期だと思う。そんな多感で不安定な時期を、君たちと過ごせることを俺は誇りに思う。きっとぶつかり合ったり俺の顔を見るのも嫌になったりすることもあるだろう。それでもこの1年を決して無駄だったとは言わせないよう、先生も真正面から君たちに向き合うから、君たちも全力でぶつかって来てくれ。3年生としての自覚を持って一生に一度のこのひとときを、一緒に最高のものとしよう!」

初日から熱いことを言う先生だとは思うけど、いやな感じはしない。口先だけでも自分に酔ってるわけでもない。ちゃんと、生徒のことを考えている人だ。
一応精神年齢三十路過ぎてるんだから、それなりに人を見る目はあるつもりだし。いい先生に恵まれたな。
クラスメイトたちも、中学生特有のスれた雰囲気を醸し出している子も中にはいるけど、根っこから腐ってるような子は基本的にいなさそう。これなら、友達もできるかもしれない。
少しばかりの期待を胸に、自己紹介の時間を楽しみにした。


110(初めまして苗字名前です)


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