「"猿飛佐助"って、やっぱり先輩の事だったんですね」


少女は何の表情も作らないままあっけからんと言い放つ。

混乱を極めた頭が考えられることはふたつ。目の前の少女が名前であるという事とどうして名前が此処に居るのかということ。只其れだけが頭の中を低徊している。きりりと痛む喉が酷く水を欲していることに気がついた。


「嗚呼もう時間だ…」


先輩と軽やかな鈴の音のような声が俺を呼ぶ。馬鹿みたいに何も考えず視線を名前に戻せば少女は無表情のまま静かにクナイを腰袋に仕舞った。


「逃げて下さい。逃げて逃げてもう二度とこの土地に足を踏み入れないで下さい」


俺の方に視線を寄越すことなく名前はそれだけ告げると腰袋から爆弾を取り出した。


「ちょっ…!?」


俺の静止の声など聞こえないのか名前はそのまま導火線に火を灯す。爆風と衝撃派から身を守るために反射でその場から出来るだけ遠くへと跳躍を始める身体。


「…ごめんなさい佐助お兄ちゃん……今だけ…約束破ります」


辺り一帯が炸裂する閃光と衝撃派に呑まれる寸前に聞こえた小さな声は凄まじい轟音と爆風に掻き消されてしまった。



動き出した歯車に鳳仙花は嘆く



100528

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