苗字家に転生したらしいわたしも、ようやく3歳になりました。精神年齢的には無事25歳を迎え、子供らしく振舞うことにも慣れた今日この頃。そんな訳で、大分遅めの公園デビューです。
お兄ちゃんとお母さんに連れられてちょっと遠くの大きな公園にやってきました。
幼稚園に通っていないわたしはお家でのんびり絵本を読んだりおにいちゃんと遊んだり。すくすく元気に個性的に育っています。本当はもうちょっと早くデビューするはずだったんだけど、心配性なパパに止められ結局3歳と1ヶ月を迎えるまで公園デビューは止められていたのでした。
一応この世界に来てから初めての公園。しかも子供の体では遊具が無限に広がってるみたいに大きく高く感じる。
いくら精神が大人とはいえ童心にかえることだってある。自分でもわかるくらいにわくわくと瞳を輝かせ、にぃにぃの手をぐいぐいと引っ張って、同い年の子たちの群れへと突っ込んでいった。
随分と幼い自分の体に慣れたつもりだったけれど、ここまで体を動かすことがなかったからこんなにも子どもの体が小さくてぎこちないとは思わなかった。小さな手を精一杯に伸ばして遊具の棒を掴み、飛んだり跳ねたり進んだり。小さな秘密基地みたいな空間に潜り込めば、先客がいた。
大きな瞳に少し癖のあるやわらかそうな髪の毛。とてもきれいな顔をした男の子がひざを抱えて座っていた。

「こんにちわ!」

声をかければ男の子は少し驚いたような顔をしてから、にこりと柔らかな笑みを浮かべた。

「こんにちわ」
「ねえ、おなまえなんてゆーの?」
「せいいちだよ」
「せーいちくん?」
「うん、きみは?」
「わたしは名前っていうの!」

せーいちくんの隣に同じように膝を抱えて座り込む。んー将来が楽しみになるイケメンだ。

「せーいちくんひとりなの?」
「うん、おかあさんがあそんできなさいって」
「じゃあいっしょにあそぼう?」

にっこりと小さな手を差し伸べれば、せーいちくんはやっぱり嬉しそうにふわりと笑みを浮かべて、ぎゅっとわたしの手を握った。
初めての公園デビューで初めてのお友だちが出来ました!


1015(初めての友だちは将来有望なイケメンです)

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