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その後 2




勝手知ったるなんとやらで、リボーンはオレの許可も得ずにズンズンとプライベートルームに入り込んだ。
リボーンが赤ん坊姿の頃からオレのプライベートはこいつのおもちゃでもあったなと少し遠い目になる。
そんな情けない過去を思い出しながら肩に担がれて寝室まで運び込まれたオレは荷物のごとくベッドの上に放り投げられた。いくら広いベッドだからとて転がり落ちたらどうしてくれるんだと文句を言おうとして動きが止まる。
「な、に?」
いつの間にベッドに乗り上げていたのか、目の前に迫った顔があまりに近くてぎょっとした。
この顔に慣れないなんてもんじゃない。だけど存在には慣れ切っている。2人きりになったのに落ち着かないのはこの関係になったせいなのか、それとも慣れない見た目にだろうか。
いい加減に落ち着けと浅い息を繰り返していると、そんなオレの心情すら見透かした顔でくすりと笑われた。
「菓子が口に付いてるぞ」
リボーンの指摘にかぁと顔が赤らむ。子供みたいな自分が恥ずかしい。慌てて下唇を手で擦っていれば、そっちじゃねぇと上唇をペロリと舐め取られた。
「ふっ…ん、」
手の隙間を縫うように舌を這わせられて息が漏れる。唇を擦っていた手を取られ口端から上唇の先までチロチロと菓子の食いかすを舐め取る舌使いに身体が震え、自分とリボーンとを支えていた腕が力をなくしてベッドの上に崩れ落ちた。
そのまま落ちてくる口付けに身を任せて応えていれば、悪戯な指がするりとシャツのボタンを外しにかかる。
「まっ、て」
リボーンの手首を掴んで止めると唇を離して顔を覗き込んできた。
「どうした」
いかにも手馴れていますといわんばかりの表情に唇を尖らせると、それを見ていたリボーンが笑いながら頬を撫でた。勘がいいにもほどがある。それすら面白くなくて、頬にかかってきた手を払い除けるとオレの上に乗り上げていたリボーンの肩を掴んで横に押し倒した。
「今日はオレが、する」
嫌だと言わせないように体重を掛けてリボーンの腹の上に乗ると、抵抗するどころかイイ笑顔でベッドの上で身体の力を抜いた。
「ツナがしてくれるんだな?」
「う、うん」
あまりにあっさり了解が取れたことに驚きながらもリボーンのネクタイに手を伸ばす。
前の時にはただ流されるだけで、勢いと感情に翻弄されて何をしたのかはっきり覚えていない。覚えているのは自分以外の熱。残されていたのは身体の痛みだけ。残り香すらないベッドの上に一人転がっていたあの瞬間を思い出して口を曲げた。
だから一人きりの夜に思い出そうとしてもそれもできず、熱い身体を慰めるられずに朝を待つ羽目になって。
この時間だけは自分のものなのに、またすり抜けていくことが我慢出来ずに顔を近づけた。
拙くてもいい。どうせリボーンと比べれば児戯程度しか経験もない。
オレとリボーンしか知らない時間なのだからそれを誰に笑われる謂れもない筈だ。
自分だけのものだと実感したかった。
見慣れない顔に自分のそれを重ねて舌を忍び込ませる。オレを受け入れるように薄く開けられた歯列を割ってそっと舌を入れるとすぐに絡め取られた。
ネクタイを解こうとしていた手が止まり、縋るようにシャツの襟に指が触れてその奥の体温を感じる。自分だけが熱いわけじゃないと確かめながら口付けを深くしていくと、堪え性のない中心が熱を持って膨らんできた。
早すぎだと笑われるかもしれないが、それくらいこの存在を待っていた。
スラックス越しに硬くなった自身をリボーンの腹に擦りつければ、後ろから尻を撫でられてビクンと下肢が跳ねた。
していた筈がいつの間にかされていたキスを解かれてぼんやりしながら視線を合わせると、どちらのものとも知れない唾液に濡れた唇が開いた。
「脱がしてくれ、ツナ」
きついと導かれた手が触れた先には、形が分かるほどはっきりと勃ち上がったそれがスラックスを押し上げていて、そうさせたのが自分だと思うと堪らなく嬉しくて、恥ずかしかった。
のたのたとリボーンのベルトのバックルに手を伸ばすオレを待つ顔はどこまでも余裕綽々で少し癪に障る。
ジッパーを下げ、膨らんでいる下着に手を掛けると下から声がかかった。
「お前も脱げ。それとも脱げねぇのか?」
「っ!」
リボーンの腹に跨っていた腿に手を這わせられて声が詰る。ぞくぞくと這い上がるそれは快楽に他ならない。
キスだけでのっぴきならない状態になっていることが恥ずかしくて、押し付けていた自身の熱を逃がそうと腰を上げればその隙を狙ってスラックスをさげられた。
いつの間にオレのベルトを抜いていたのかなんて知らないが、あまりの手際のよさに慌ててまた腹の上にしゃがむと今度はシャツをめくられて引き寄せられた。
ぐらりと傾いだ身体がリボーンを押し潰してしまわないように、慌ててリボーンの顔の横に手をつくと胸の先に食いつかれた。
チリッとした痛みに身体は強張るのに、続きを求めるようにリボーンのされるがまま押し付けるように身体を仰け反らせば、半分脱がされた状態のスラックスからはみ出た起立がリボーンのシャツに擦られて息があがった。
胸と下肢の刺激に身悶えて漏れた声を聞いていたリボーンはそれがよかったとでもいうように、今度は舌で転がしながら胸の先を弄られる。
形を舌先でなぞられる気持ちよさに刺激を求めて腰を押し付けると、後ろから下着越しに膨らんだそれが当たった。
邪魔な下着を退かそうと手を伸ばしてリボーンのそれに手を掛けるが力が入らない。
その間にもリボーンの舌は膨らんで形を変えた胸の先を執拗に弄り続けた。
「も、それ以上はダメ…っ!」
「何言ってやがる。こんなにしといてダメもクソもねぇだろ」
喋る度に息が唾液に濡れた先を刺激して余計に気持ちよくなる。
知らずにしたたり落ちていた先走りがリボーンのシャツを濡らしていることにも気づかないままモゾリと腰を揺らすと、下着を掴むだけで精一杯だったオレの手を握って自らの下着を引き下げた。
跨がるオレの尻の間に熱い楔が現れてその質量に逃げたしたくなるが、そんな自分に首を振ると快楽に震えていた腕に力を込めてリボーンの腹の上に起き上がった。
散々弄られたせいかシャツに擦られるだけでヒリつく痛みを覚えながら腰をずらそうと膝をつく。するとリボーンが枕の下に手を入れて何かを漁り始めた。
「お、やっぱりあったか。お前はガキの頃から物を隠す場所が変わらねぇな」
「う、うるさい!」
自分で用意していたのに、いざそれを目の前に出されるとバツの悪さに視線が泳ぐ。リボーンとするために用意した潤滑ジェルをマジマジと見詰められたことに照れて慌ててそれを取り上げた。
「自分でするのか?」
器用に寝転がりながら肩を竦めるリボーンの表情に気付いて意味を考える。
明らかにおもしろがっているリボーンは今なんと言った?
「覚えてねぇだろうが、それを塗っただけじゃ入らねぇぞ」
言われてチロリと後ろに視線をやる。確かにすんなり入らないことだけは分かってじわりと汗が噴き出した。
手にしていたチューブ状のジェルを脇に置こうとすれば、その手を取られて握らされた。ぎゅっと握り込んだせいで軽い音を立てて開いた蓋からすぐにジェルが垂れて手の平で急いで受け止める。
どうすれば…と思ったときには手の平から零れそうなジェルを前に心底楽しげに笑うリボーンの顔が見えた。

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