6.噴き出すように零れ落ちる先走りがおじさんのシャツと前を寛げただけのスラックスを濡らしていく。 オレの起立から口を離したリボーンは真上から手を握り締めて覗き込んでいた。 膝を折り重ねた格好で奥まで突き上げられると、今まで知らなかった快楽がイイも悪いも吹き飛ぶ勢いで理性を攫っていき声を抑えることが出来ない。 耳元に掛かるおじさんの息遣いの荒さに腰が砕けてしまいそうになりながらも薄目で上を見上げれば、いつもの余裕綽々の顔が鳴りを潜めて喰らいつくようにオレだけを見詰めている。 「気持ちいいのか?」 確かめるようにリボーンに訊ねられ恥も外聞もなく即座に頷くと、おじさんに耳裏を舐められて悲鳴のような声があがる。 腰を押し付けられているせいでおじさんの腹に擦られた先からまた我慢しきれず白く濁った汁が溢れた。 閉じられない口端から零れた唾液を上から啄ばまれて意識がそちらに向きそうになると、すぐ腰を打ちつけられて引き戻される。 どちらにも集中できないのに身体だけはどちらの刺激も拾っていく。イきたくて、今にも弾けそうなほどなのに決定的な刺激を貰えない。切なさにリボーンの手を握る指に力を込めてどうにか声を張り上げた。 「ね、がいっ…イきたい!」 噴き出た汗の合間から流れた涙がみっともない。そんな自分すらどうでもいいほどイきたくて堪らなくて視線を横に向けると、オレの首筋から顔を上げたおじさんがひどくイイ顔で笑っていた。 「ツナのエロい顔を見せてやるんだぞ。分かったか?」 おじさんのそんなひどい言葉に頷くしかなく、操られたようにコクコクと首を縦に振れば腰を下から掬い上げる手に導かれて深々と起立を挿入された。 「ふぁ…あぁ!」 角度を変えて穿たれる熱い塊に喘ぎ声が零れる。止められない声に煽られるように自分の中心も熱い体液を流した。 仰け反る身体を逃げられないように掴まれて引き戻されれば、また奥まで硬い起立がソコを擦り上げて中が狭まる。頬に掛かる息と同じ律動を繰り返されてもう出てしまいそうだと顎を上げる。するとそんなオレの顔を見ていた視線とかち合って逸らせなくなった。 怒るでもなく、ただオレの表情を食い入るように見詰める視線は熱を帯びている。子供のそれじゃないことに気付いたオレは、突き上げるヨさと全てを見透かす視線とに侵されて自我を手放した。 自分の物とも思えない声を上げながらおじさんの腹に2度目の白濁を噴きかけると、すぐ後に熱い迸りが奥を満たした。ビクビクと中で震える起立からは精液が溢れてシーツとオレの下肢を汚していく。 指ひとつ動かすことも面倒なぐらい疲れ果ててベッドに身体を預けていると、中から出る気配のないおじさんが唇を寄せてきた。 「いい加減ツナから出てけ、エロ親父」 重なる寸前でリボーンの手が横から伸びてどうにか助かった。おじさんの身体の下から抜け出したオレをベッドに座らせるリボーンの視線は熱を纏ったままオレを見詰めている。 「な、なんだよ…」 どんな顔をすればいいのかさえ分からなくて俯いていると、シーツを掴んでいたオレの手を取ったリボーンは自身のズボンの真ん中へと押し付けてきた。 熱を持った硬いそこを手の平に感じてギョッと顔を上げれば、少し潤んだ黒い瞳がオレを捉えていた。 「ツナを見てこうなったんだぞ」 「う…っ」 だからどうしたと言えない時点でオレの負けだ。掴まれた手をぐいぐい押し付けられて顔が赤らむ。どうすればいいのかと迷ったオレの背後からおじさんがいかにも楽しげに声を掛けてきた。 「だったらツナが面倒を見るしかねぇだろう?」 「面倒って…」 言われて咄嗟に浮かんだのはオレの中心を舐めているリボーンの顔で、そんなことを思い出した自分に羞恥を覚えた。 恥ずかしさに頭を振ると、いつの間にか後ろに迫っていたおじさんがオレの白濁にまみれたそれを擦りながら耳元で囁いた。 「…最初はうまくイけないことが多いんだってな。お前は誰に面倒をみて貰ったか覚えているか?」 「それは、」 忘れる方がどうかしている。忘れられなかったから自慰すら出来なくなったことまで自覚したオレは恐る恐る視線をリボーンに向ける。 おじさんの手に性懲りもなく勃ちあがりかけていたオレ自身の先をリボーンはジッと見詰めていた。 「ふっ、やだ…見るなって」 「どうしてだ?オレ以外に触らせるなと言った言いつけを守らなかったじゃねぇか。…それとも守り通したから我慢できなかったのか?」 そんなにグショグショにして…と薄く笑われておじさんの手から逃れようと立ち上がるも、足に力が入らずにベッドの端から転がり落ちる。 そんなオレの腕を掴むと、おじさんから引き離すようにベッドの横のスツールに腰掛けてその前へとオレを据えた。 「してくれねぇか?」 自分はして貰ったのにするのは嫌だなんてどの口が言えるだろう。オレを見詰める視線はどこか縋るような色をしていて、そんなリボーンの顔に弱いオレは首を縦に振り下ろすしか出来ない。 小さくうんと呟けば、リボーンはすぐに前を寛げてオレの目の前にそこを近付けてきた。 緊張で震える手を伸ばし、膨らんでいた下着へと手を掛ける。ままよ、と勢いよく下着を下げると見覚えのあるそれが見覚えのない状態になっていた。 風呂場で見たそれとの違いにショックを受けていれば、促されるようにツナと声を掛けられる。 「う、ん…」 口を開けて歯を立てないように含めばなんとも言えない味がして、それでも吐き出す訳にはいかないと舌で先を舐め取った。 「見てみろ。ガキが一人前にイイ顔してるぞ」 言われて咥えたまま視線だけ上に向ければ、丁度こちらを見ていた視線とかち合って口の中のそれが膨らんだ。 いつもは小生意気な表情しか浮かべないリボーンの切なげに眉を寄せた顔に心臓が鳴る。もっと気持ちよくなって欲しくて、リボーンにされたことを思い出しながら舌を這わせれば小さな呻き声が聞こえてきた。 「おまえ…っ、その上目遣いやめろよ!」 意味の分からないリボーンの言葉を無視して根元に手を添えながら唾液を絡ませるように口に含んでいると、突然後ろから抱きすくめられてビクンと身体が震えた。 後ろから伸びた手がオレの起立に触れてくすりと笑う。グチュリと自分の起立から零れた音に身体の裡から疼きが走った。 「そんなにチビのそいつがうまいのか?咥えてるだけでこんなにしちまって…なぁ?」 と乱暴な手付きで扱かれても首ひとつ横に振ることも出来ない。恥ずかしさに顔も上げられないまま先に吸い付けば、口の中のそれがビクビクと震えて苦いものが広がった。 頭を押さえつけられて、口いっぱいまで含まされながらも必死にそれを舐め取っていれば、後ろから伸びていた手が下生えを掻き分けておじさんの精液がしたたる中へと入り込んだ。 ぬめる奥まで容赦なく突き入れた指がぬぷぬぷと抜き差しを始めて腰が揺れる。 その動きにつられるように口の中のそれを舌で激しく擦りあげた。 イイところを覚えている指に擦られてしまえば簡単に身体は煽られて、一層膨らんだ起立の先に吸い付くと迸りを喉の奥まで叩き付けられた。 飲み込めなかった白濁に噎せていれば、いつの間に増やされていた指がずるんとソコを擦りながら引き抜かれる。もう出ないと思っていた起立から滲むように零れた白濁が床の上を汚した。 息も絶え絶えでリボーンの股間に凭れるように顔を伏せていると、上から手が伸びて頬を掴まれて無理矢理視線を重ねられた。 オレを見詰めるリボーンはどこか熱に浮かされたように口を寄せてくる。それを阻む手が後ろから伸びると肩を抱かれて引き離された。 「なにしやがる。ツナはオレのだぞ」 「はっ!精通したばっかりのお子様がよく言うな」 いつもの如く始まった親子喧嘩を仲裁しようと床から立ち上がろうとするも、2人に付き合わされた身体は全然力が入らない。 それでもリボーンの腰にしがみ付いてからどうにかこれだけは言い切った。 「ぜっったいにもうしない!しないったら、しない!」 唸るように呟きながらも意識を手放した。 「もう、ツッ君たらいくらお隣のおじさんと気安いからって看病までして貰って…本当にごめんなさいね」 事情を知らない母さんの言葉に顔が引き攣る。 言い掛かりも甚だしい。誰のせいで寝込んだかといえば、そもそもはおじさんがオレに無体を強いたからだと思い出して顔が赤くなった。 「あら、まだお熱が引かないのかしら?母さんじゃツッ君を運んであげられないから、もう少し寝かせて頂く?」 「いい!大丈夫!全然平気だからっ!」 おじさんはといえば空々しくもうちでもう少しお預かりしましょうかなんて母さんに話しかけている。冗談じゃない。 慌ててベッドから飛び起きると、あらぬ場所が痛みを訴えて思わず呻いた。 「大丈夫か?そんなにムリに動くことはないぞ。オレがゆっくり看病してやる…」 ニヤリと笑うリボーンにゾゾゾッと背筋が凍る。お前の看病は本当に看病だったのかと問い質したい。 おじさんを受け入れたときはよかったが、その後やはりというか当たり前というか抜き差しされた場所が切れてしまっていて、そのせいで熱を出したオレを見てくれたのはリボーンだった。 動くことすら億劫だったオレを甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたり、薬を飲ませてくれたまではありがたかったのだが、その後が余計だったと今なら思う。 切れた中を治さなきゃならねぇだろうと、傷薬をたっぷり塗りこんだ指を奥まで埋めて悪戯をされた。 ちなみにおじさんの指ではまた傷を広げるだけだと2人で役割分担を決め、逃げ出すオレの足を掴まえていたのはおじさんだ。 仲が悪い癖に、そういう時だけ結託するのはやめて貰いたかった。 二度と流されまいと誓ったオレは、リボーンの手を振り払って立ち上がると転がるようにお隣さんから逃げ出した。 おじさんの適度なスプリングの利いたベッドとフカフカ布団より、ウチのあまり物がいいとはいい難いベッドがこんなに安息の地だとは思いもよらなかった。 少し重い自分の布団を頭から被りながら、自分の懲りない性格とあの親子の懲りない性分を思い出して深いため息が漏れたことを付け足しておこう。 終わり |