リボツナ4 | ナノ



4.




「ううっ…なんか嫌な予感がするんだよなぁ」

家主の居ない隣家の玄関先でそう呟くと両腕にリボーンの洗濯物を抱えながら、おじさんから母さんへと預けられた鍵を差し込んで錠を外した。
ガチャンと開いた音が聞こえ、中からは人気は感じない。当たり前のことに落ち着かないのは何故なのか。
昔から悪いことだけはよく当たっていたオレの勘が何かを告げていたが、ここで引き返したら母さんに文句を言われることだけは確かだ。

今日はリボーンの帰りが中学生のオレより遅いからこそ洗濯物を置いてくることを引き受けたのに、着いた途端に悪寒がしてきた。
クリスマスの一件からこっち、ひたすらおじさんやリボーンと2人きりにならないようにと気を付けていたオレは、この家に足を踏み入れることは絶対にしなかった。
というのにどうして今ここにいるのかといえば、おじさんが海外出張で1ヶ月も家を空けているせいで、リボーンの食事から洗濯まで母さんが引き受けてしまったからだ。
勿論、普段はリボーンがウチにきて食事をして出した洗濯を受け取って帰っていくのだが、今日は毛布まで洗っちゃったから持っていってあげてねと言われてこうして誰もいないリボーンの家に足を踏み入れている。

玄関に靴がないことを確認してから、家主のいないガランとした家に一歩足を踏み入れた。
リボーンが帰ってくるまであと1時間はある。
まだ大丈夫だと頷いてから、どうして自分が怯えなくっちゃならないのかと首を傾げつつ2階へと駆け上っていった。

「よく考えたらおかしいよな?オレ男だし、アレはただの気の迷いとかってヤツかも」

誰もいない階段でそう独り言を零しながら上りきると、突然視界を塞いでいた毛布を取り上げられて悲鳴が上がった。

「ひぃぃい!」

「オイ、どうしてそこで叫ぶんだ?」

毛布の向こうから現れた顔は困惑と呆れが入り混じったよく知るものだった。

「お、じさん?!」

リボーンの毛布を片手で持ち上げているおじさんを口を開けたまま見上げていると、普段より幾分かぼんやりとした様子で手にした毛布に頬を乗せるとオレからくるっと背を向けてリボーンの部屋と反対の方向へと歩き出した。

「ちょ、それリボーンの」

「あとで取りに来させるから大丈夫だ」

「イヤイヤイヤ!何が大丈夫なのか分からないですって!」

まだあと3日は帰って来ないと聞いていた筈の人物の登場に、驚いていた隙をつかれて持っていかれた。
干したてフカフカのそれが大好きなリボーンに知られたら怒られると慌てておじさんの後ろにしがみ付く。すると毛布を持っていない方の手がオレの腰に伸びてそのままぐいっと引き摺られておじさんの部屋へと押し込められた。
パタンと閉められた音を背後から聞いてゾクリと悪寒が走る。
初めて足を踏み入れたおじさんのプライベートルームに目をやる余裕もなく、そっと横目でおじさんの顔を窺うと切れ長の瞳を細めながら弧を描いている唇から少し掠れた低い声が漏れた。

「どうして今日帰ってきたと思う?」

「わかんな、」

「ガキの帰りが遅くて、ツナの帰りが早いのは今日だけだったからな」

そう言うと手にしていたリボーンの毛布を広いベッドに放ってから、ジリジリと後ろに下がろうとしていたオレの身体ごと引き寄せた。
海外出張だと聞いていたおじさんは時差ボケで今まで寝ていたのか、普段より寝乱れた髪の毛が逆にドキドキするほど色っぽい。
逃げ出そうにも足が動かなくなってしまったオレは、視線を逸らすことも出来ないまま近付いてくる顔を見詰めていた。

「それでもお前が一人でこっちに来るかどうかは賭けだった。奈々さんがあいつの毛布を干すとも限らねぇし、お前が道草をするかもしれない」

囲うに香るそれはリボーンのものとも自分のものとも違う大人の匂いで、わずかな紫煙の匂いと少し刺激的な香りの後に覗くそれの眩みそうなセクシーさにあてられた。
顔を合わせる度に交わしたキスの数だけ嗅いでいる筈なのに、その度にこうして動けなくなる。
経験の少ない子供だと思い知らされて竦む身体とは別に、今にも触れそうな唇を目で追うと酷薄そうな薄い唇がニィと歪んだ。

「だがお前はここにいる」

そうだろう?と笑われて言葉に詰った。
腰を引き寄せていた手は背中に回り、顎を掴まれて固定されてしまえば身動きひとつ取れない。
突っ撥ねようと手をおじさんの肩に押し当ててもまともに力も入らなくて身体が震え出した。

「…くつ、しまっといたじゃないか!」

「それがどうした?オレはそういうことをすると知ってるだろ」

「知ってる、けど」

開き直る態度に思わず負けてしまえば、目の前の顔と肩が小刻みに震えていた。

「なんだよ!」

「いや…出会った頃からちっとも変わってねぇな」

どうやらバカにされたことは分かった。悔しさに顔を背けるとそれを追うようにおじさんの顔が近付いてきてまた顎を引き戻された。

「バカになんかしてねぇぞ。そういうところがいいって言っただろうが」

「何回聞いてもバカにされてる気がす、」

る。まで言わせて貰えずに口を塞がれた。啄ばむように唇を重ねては離して、また重ねてを繰り返されてくすぐったさに口許が緩むと、少し強引に歯列を割られて奥まで舌が入り込んできた。
ぬるっとしたそれが頬の裏を擦って、縮こまっていたオレの舌を掬い上げる。
無意識の内に鼻で息をするオレにクスリと小さく笑ったおじさんが、重ねた舌を吸って思わず喉が鳴った。

「んっ…」

息継ぎをする度に自分以外の匂いを感じて、それに痺れたように手足が震えた。嫌とかいいとかなんて分からない。
口端から零れる唾液は生暖かくて気持ち悪く、伝い落ちた唾液が喉元からシャツへとしみを作った。
ふぁという自分の声にやっと口で息が吸えることに気付いたオレは、焦点の合うようになった視界の先でこちらを舐めるように見詰めていた視線とかち合った。

「見るなってば!」

キスの直後の顔なんて見られたくはない。熱を持った頬を自覚しながらも、恥ずかしさに逃げ出そうとしたオレの腕をおじさんに掴まれて覗き込まれた。
それを睨めば薄笑いを浮かべていたおじさんにベッドまで突き飛ばされる。慌てて体勢を立て直そうとしたところを上から乗り上げられてギョッとした。
大きい手がオレの制服のセーターを捲り上げた先には、いつの間にかシャツのボタンが下まで外され貧相な胸板から腹部が露わになっていたからだ。
今までキスはされてもそれ以上はなくて、だからこの前のアレもただの悪戯だとやっと思えるようになってきたのに。

震える身体で逃げなきゃと蹴り上げた足を掴まれまた口を塞がれた。
オレの意思を無視するように唇を塞がれ、息を吸う間もなく舌を絡め取られて息苦しさに涙が浮かぶ。
伸し掛かる背中に爪を立てて拒否しているのに、それを気にする様子もなくおじさんは手をズボンの奥へと滑り込ませてきた。
ベルトで括ってあるだけのブカブカなズボンは、ベルトさえ抜いてしまえば手が自由に動くほど緩い。
そんなところまで触られるとは思っていなかったオレは、下着の奥まで入り込んできた手に首を振る。

「いや…っ、ヤダぁ!」

アレから自分で触ることも出来ずに2ヶ月が経とうとしていた。
朝起きると下着が濡れていたこともあったが、あの時のような強烈な刺激とは程遠い生理的な夢精が一度あったきりだ。
触ることも憚られるなんて馬鹿馬鹿しいと思うのに、触れば嫌でもあの時のことを思い出してしまうのだから仕方が無い。
なのにおじさんの手はあの時と同じくらいいやらしい手付きで中心を扱きはじめた。

「ふっ…あ、あっ!」

奥へと忍び込んできた手を止める手立てはなくて、しかもズボンと下着を履いたままのせいで窮屈なそこは不自由さが逆に気持ちがいい。
ぐっと下から扱かれると下着に先を擦られて透明な体液がじわりと布地を濡らしていく。
繰り返される口付けは慣れたものなのに、それに手淫が加わったせいで今までとはまったく意味が違うのだと嫌でも思い知らされる。

されるがままで受け止めていた口付けが遠ざかり、下着から抜かれた手を翳すように突きつけられて視線が彷徨う。
先走りで濡れたおじさんの手は淫らな行為を期待しているオレを映し出しているようで居た堪れない。
恥ずかしさで視線を合わせられないオレを鼻で笑うと、おじさんはズボンを下着ごと毟り取って足の間に身体を入れると胸に顔を埋めてきた。

「してねぇのか?」

唐突にそう訊ねられ意味が分からずに考えていると、そんなオレの返事も聞かずに脇腹に舌を這わせてきた。くすぐったくて身を捩れば追うように胸へと這い上がる舌に声を漏らす。

「ひっ、ひゃ…ぁ!」

胸の周りを舐めては啄ばまれ、上げたこともないような声が零れて顔が赤らむ。
胸に吸い付く顔を押し退けようとすると、今度は乳首に口付けられて背中がしなった。
舌でゾロリと全体を押し付けられて、少し尖った先を形が分かるように舌先でなぞられる。じんじんと痺れるような感覚にはぁと息を吐き出せばおじさんの手が何も履いていない下肢へと伸びていく。
ぎゅっと強めに握られれば痛い筈なのにそれさえも気持ちいい。
自分でしていないということは溜まっているということなのだとはっきりと自覚する。
逃げるも逃げないもなく、もうイくことしか考えられない。
もっともっとと押し付けるように広げた足の間で起立から先走りが溢れていた。

「どうしたい?」

「も、イきたい…っ!」

肝心な刺激をはぐらかされて強要された言葉でも、本心に変わりはない。
今までどうして自分でしなかったのかなんて考えなくても分かる。自分の拙い自慰よりリボーンやおじさんの方がよかったからだ。
快楽の狭間で浮かされたようにおじさんの顔を見詰めれば、それを見たおじさんはひどく獰猛な顔を覗かせた。

「お前ばかりイくのはずるいと思わねぇか?」

「そーかも…」

おじさんの言葉に頷いたのは、起立の先を扱かれてイく間際で指を止められたからだ。
懇願するように頭を縦に振るオレを見て、先っぽを握っていた手を緩めてそこに口付けた。

「ならいいだろう?」

リボーンのように口でしてくれると期待したオレが頷いたのを確認してから、いやらしく体液を垂らしていたそこから口を離してオレの肩を掴むと、身体をひっくり返してシーツに押し付けた。
肩透かしを食らったオレは不満の瞳でおじさんを睨むも、気にした様子もなく腰を掴みあげられた。

「ここもよかっただろ」

ここと言われて指を押し付けられたのは、リボーンと2人がかりで弄くりまわされてよすぎで意識が飛んだ場所だった。

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