1.モノトーンで纏められた部屋は灯りを抑えられている。 背後の間接照明の他は目の前のロウソクだけがオレともう一人の顔を照らすだけだ。 ゆらゆら揺れる灯りの先にある顔を見て思わず漏れたため息を聞いた相手が綺麗な柳眉をひそめた。 「…オイ、オレを目の前にため息とはイイ度胸じゃねぇか」 低いと言うにはいささか渋みが足りないが、高いと言うほど耳障りでもない変声期間近の声にビクリと肩が震えてた自分に頭を振った。 「う、うるさいな。ため息だって漏れるだろ、この状況じゃさ」 自分より3つも年下を相手に上擦った声を出してしまうことが我ながら情けない。 だけどロウソク越しの顔はそんなオレさえ不服なのか、顰めた眉をピクッと跳ね上げて睨んできた。 「これのどこが不満だ?クリスマスに二人っきり、しかもやり過ぎない程度の雰囲気を演出してやってんのに」 「……」 それが問題だと言えたらどんなに楽だろう。 けれどそんな言葉はこいつには無意味だと知っていた。 そもそも、目の前の相手はどんなに綺麗な顔をしていようとも小学生。しかも性別は男。 そしてオレは今年中学に上がったばかりの勿論男だった。 イタリアから越して来てから4年の月日を共にしたオレとリボーンは、何故だかクリスマスイブにリボーンの家で二人っきりにされていた。 理由はと言えばこれもリボーンの我が儘で、ウチに遊びに来た親戚のランボとケンカばかりしていたせいで、気が付けばオレまで巻き添えになって追い出されていたのだ。 リボーンちゃんはツナをランボ君に取られちゃうみたいに感じたのね。可愛いじゃないの。 なんて母さんは笑って料理とケーキをオレに押し付けて、今に至っていた。 そんなに可愛いもんかと言えなかったオレの負けなのかもしれない。 それにしても、である。 薄暗い部屋の奥には本物のもみの木が飾り付けられていて、流れるBGMはlastChristmasだなんてベタ過ぎる選曲に、雰囲気たっぷりのロウソクの灯りが照らすリボーンの顔は将来が楽しみなほど整っている。 だからこそつい漏れてしまったため息を咎められても困るというものだ。 これでどちらかが女の子なら楽しかったんだけどなあと心の奥でぼやいていると、横から手が伸びてきてムニリと頬をつねられた。 「いっ、た!おま、ひどいって!」 「どっちがた。オレみたいなイイ男とイブを過ごせる幸運を何だと思ってやがる」 あまりに横暴な台詞に空いた口が塞がらない。 イイ男というには年齢的に難しいと思えど、あと3年もしたら言葉通りになりそうなリボーンにどう返事をするべきか。 また出そうになったため息をどうにか飲み込むと、その間を割くようにピリリ…とリボーンの携帯がメールの着信を伝えた。 さも煩わしそうに携帯をポケットから取り出したリボーンは画面を見てギュッと眉間にシワが寄る。 「どうしたんだよ?」 滅多に動かないリボーンの表情が顰められたことに顔を覗き込むと長い睫毛の先が頬に少しだけ長い影を落とした。 何を言ってもお隣の3つ年下のリボーンに甘い自覚のあるオレは、身を乗り出して顔を近付ける。 するとリボーンはオレの手の上に柔らかい頬を乗せてポツリと呟いた。 「…オヤジ、今日も徹夜だとよ」 「今日も…」 いつも忙しいリボーンのおじさんは隣に住むオレさえ顔を忘れてしまいそうになるほど見たことが少ない。 希少な野生動物並みだ。 だからこそ、お節介な母さんの庇護欲をそそられてリボーンはウチで面倒をみている。 それにしても何もこんな日まで…と口に出しそうになって慌てて閉ざした。 ウチの父さんも同じだと気付いたから。 お互いに父親には苦労するなという気持ちで、手の上の頬を指の腹で撫でていると、突然リボーンがぽつりと言い出した。 「プレゼント、欲しかった…」 リボーンらしくない小声の呟きに胸がぎゅっと締め付けられる。 ほんのたまに見せるリボーンの子供らしさに弱いオレは思わずほだされてしまった。それが後々どうなるかも知らないで。 ふてくされたように横を向いている顔を覗き込むと、精一杯の笑顔を乗せて話しかけた。 「今日と明日は一緒にいるよ。プレゼントは…もうお小遣いないからして欲しいことがあれば何でも、」 よくおじさんが帰って来ない日が続くと、寂しさのせいか一緒に寝て欲しいと言うので今日もそのつもりで声を掛けた。 だがオレの言葉を聞いた途端、ニヤリと笑うと顔を上げて後ろから紙袋を出してきた。 「そうか、なら今日はこれに着替えて貰おうか」 と、ぽんと手渡されたそれを何気なく覗けばこの時期にはよく見掛ける赤と白の衣装で、そんなものでよければ楽勝だと二つ返事で引き受けると次にとんでもないことを気軽に言い出した。 「ああ、それからズボンは入ってねぇからな。上着に帽子は被れよ」 「うん…って、ちょ、何でズボンないんだよ?!」 どういうことだと焦るオレに、嬉しさを隠さない表情でリボーンが迫る。 いつの間にやらオレの横まできていたリボーンが、オレのシャツに手を掛けてぐいっと引き下げた。 中に着ていたTシャツのお陰でいきなり裸に剥かれなかったが、それを見たリボーンはチッと舌打ちを漏らすと手を下に伸ばしてきた。 その意図を理解したオレはリボーンの手から逃れようと身体を捩って床に手を伸ばす。 だけど逃がしてくれる訳もなかった。 まだオレより少しだけ小さいくせに、どこからそんな力が出るのかオレの腕を掴むと上半身を床に押し付けられて身動きが取れない。 それをいいことにズボンのボタンに手を掛けてそのままジッパーまで下ろすと引き抜かれてしまった。 「ばっ!」 いくら男同士だからとはいえ、下着姿はかなり恥ずかしい。 慌ててTシャツの裾で覆うも剥き出しの足が恥ずかしくて堪らない。 モジモジと膝を擦り合わせていると上に乗っていたリボーンの手が太ももを触っていく。 まさか触られるとは思わなかったオレは、その手つきにゾクッとして身体が震えた。 「や、めろって…!」 身体も小さく、性的にもまだ子供なオレだったが兆しがない訳でもない。 それが余計に恥ずかしくてキッとリボーンを睨むと、ニヤニヤと歪めた顔がオレの上から遠退いていった。 「お楽しみはこれからだったな。ツナ、着てくれるんだろ」 「何でオレが、」 とつい逃げ腰になると、リボーンは見るからに肩を落として俯いてしまう。 「そうか、嫌だよな…オレはママンがいねぇから一度【膝枕】ってヤツをしてもらいたかったんだぞ。だけどツナは嫌か…」 「ちが、そんなことないよ!それくらいならいつでもしてやる!」 いつもの不遜さが嘘のようにしおらしいリボーンの口車に乗せられ、気付けばサンタガールよりも恥ずかしい格好をさせられていた。 「……ホントこれでいいのかよ?」 ブカブカのサンタの上着に帽子だけ被ったオレは、下着だけは隠そうと必死に手で裾を引き下げる。 だけどうまく隠せる筈もなく、なんだか微妙だ。 相手はリボーンだからまあいいか、と開き直ってラグの上にペタンと座るとリボーンはすぐに頭を乗せてきた。 「最高だぞ、ツナ」 「そうかよ、よかったな」 何が楽しいのかご機嫌な様子のリボーンに脱力感に襲われて返す言葉もない。 しかもリボーンの手は太ももを行き来していて落ち着かないのだ。 内ももの柔らかい部分をついっと撫でられて漏れた声に、リボーンは小学生とは思えないような笑い方をした。 「ひっ…!も、これ以上やったら膝枕してやらない!」 クツクツと覚えのある笑い方をするリボーンを睨みながらそう叫べば、さも不満げに口を尖らせてリボーンはやっと手を引いた。 絶対にこいつの父親の手癖の悪さが遺伝している。 女の子にやったら問題だが、だからといって男のオレにやっても楽しいとは到底思えないのに変わった親子だ。 ともかくこれ以上いたずらをされないようにと上着の裾を左右から引き下げていれば、リボーンがオレの胸元に手を伸ばしてきた。 「オイ、ボタンが掛け違えてるぞ」 「へ?」 リボーンの指先がボタンの一つをつまむ。よく見れば言われた通り上から3つ目のボタンが2つ目のそれと掛け違っていて、そこから下まで掛け違えたままになっていた。 慌てて裾から手を外すとボタンを外していく。するとそれを見ていたリボーンが珍しくギョッとした顔でそこを凝視してきた。 「お前、Tシャツはどうした?」 「ん?だってこれ、内側がボアなんだよ。これで長袖のTシャツ着たら暑いから脱いだんだ」 ウチと違い室温が適温に調節されているリボーンの家ではこんなサンタ服は暑いに決まっている。ズボンの用意がなかったが、それで丁度いいぐらいなのだからここがどれほどなのか分かると思う。 サンタ服から覗く貧相な腹を隠すべくボタンに指をかけると、その隙間を縫うようにリボーンの手が肌の上に這ってきた。 「うひ…っ!バカ、変なとこ触るなって!」 「変なところだと?そいつはここのことか?」 と言いながらもっと奥へと忍び込んだ指が妙な場所を突きだした。 爪の先でツンツンとリボーンが弄りはじめたそこは自分でも気付かぬ間にぷくりと膨らんでいた。ピンと指で跳ねられてやっとそれを自覚したオレはぎゅっとリボーンの指につままれて、下から形が分かるようになぞられ次第に息が荒くなっていった。 「そ、なところ…触ん、な…って!」 掻き寄せたサンタ服を縫って動くリボーンの指に段々訳が分からなくなってきた。 そんなオレの胸を弄りながらも、膝から顔を上げたリボーンはオレの膝を掴むとぐいっと左右に割り広げる。 何をするつもりなのかと思っていれば、躊躇いもなくリボーンはオレのももとももの間に顔を埋めてきた。 ももを這う生温かいそれが通り過ぎた場所はひやりと冷たくなっていく。そんな感覚に自分のそこを舐められているのだと知って羞恥と怖さで身体が震えた。 「や、だ!やめろよ…!」 精通すらまだだというのに、それでも中心は昂ぶっていく。わずかに下着を押し上げるそれを見られまいとボタンから手を外すと、今度はもっと大胆にリボーンの指が固くなった乳首を揉み上げた。 「ひっ、あっ…あ!」 胸への刺激と内ももを舐める舌とに翻弄されて声を上げると、ももから上へと這い上がる吐息に気付いて手で下着を慌てて押さえた。 そんなオレの行動もお見通しなのか、それとも気にするほどでもないのか、オレの膝を掴んでいたリボーンの手が下着をぐいと押し上げると股間の付け根に口を寄せてきた。 「そこ、やだぁ!」 ただでさえ今までの刺激で昂ぶった中心が、チュウとそこを吸いつかれたせいで痛いほど硬くなってきた。湿り気を帯びた下着の中が気持ち悪いのに、そこから手を離すことが出来ない。 どうしようと焦る気持ちとは裏腹に、手は下着ごとペニスを掴んでゆるゆると扱きはじめた。 「すっげぇ、エロ顔だな。可愛いぞ、ツナ」 「いうな…っ、つ、はぁ…あ、んんンっ!」 足の付け根にあった顔が胸元にのぼってきたと思ったところで、サンタ服を捲られてそこに口をつけられた。 押し潰すように舌で固い乳首を確かめてから赤ん坊がおっぱいに吸いつくように吸い上げられて悲鳴のような声を上げる。 「や、もう出る…っ!出ちゃう!」 何が出るかなんて自分でも分からないのに、股間に堪った熱が解放を求めて身体中を駆け巡っていた。 下着越しの刺激では足りなくなって、リボーンに見られていることも忘れて中に手を入れると、濡れた下着を掴まれてリボーンの眼前に晒された。 「見ててやるから出してみろ」 恥ずかしい言葉に残った理性で首を横に振っても、動きを止めることが出来ない手は自分の意思に逆らうように上下に擦り上げてしまう。 それでも、一度もイったことのないそこは上手に吐き出せない。 絶頂まであと少しというところなのにイけない辛さに涙が零れた。 それを見ていたリボーンは起立を扱いているオレの手を引き剥がすと、その髪の毛一筋すら乱れのない整った顔をオレのそこに近づけていった。 「なにす、」 「よく見てるんだぞ?お前のいやらしいトコロがどうなるのか」 そう喋ったリボーンの口元がヌラヌラと光る起立の先に寄っていく。何をする気なのか分からなくてただそれを眺めていれば、リボーンの唇がオレの起立を咥えこんだ。 . |