3.シャツの裾から指が忍び込んできた。 冷たいその指が腹を辿るとぞわぞわと肌が粟立つ。 机の上には掴むものもなく、逃げようとすれば机から転がり落ちるだろう。 たとえ机の上から逃れられたとしても場所が床の上に変わるだけかもしれない。 人気のない社長室のあるフロアーで叫んでも誰が来るものか。 「…言うことはねぇか?」 「ありません…」 下手に大声を出せば警備員が飛んでくる。それだけは避けたかった。 何を思ってこんなことをしようとしているのかは不明だが、会社の…社長の評判を落とすことに繋がりかねないこんな場面だけは知られたくはない。 硬く閉ざした瞼の上を、噛み締めた唇の上を、羽のように柔らかく触れていくそれに泣きたくなった。 逃げ出すことも諦めてどこまでするつもりなのかと薄目を開けて窺えば、ベルトを外してスラックスを取り払われた。トランクスにまで手を掛けられて怖さに身体が竦むと、口付けが落ちてくる。 熱い舌に絡め取られて息さえままならない口付けに思考がぼやけていくと、その隙をついてトランクスを下におとされた。 空調の効いていない部屋に晒された下肢がヒヤリと冷え、本気だと知れる。 ただ殴るだけでは気が済まないのか。 辱めて、貶めたいのか。 大切に育てられたのにそれを裏切ったことへの返答がこれということなのだろうか。 剥き出しの下肢を手が辿っていく。その手付きのいやらしさに塞がれた口の中で呻くと半立ち状態の中心をゆるく握られた。下から扱かれて勝手に反応するそこから滲み出す体液に羞恥が湧いてくる。 足を閉じようとしても片足はリボーンの身体に押さえつけられ、もう片方は手で膝を抱え上げられているせいでびくともしない。 手の中の起立が膨らんで、それに気付いたリボーンの手が激しく上下に擦りだした。 無理矢理の一方的な行為でも身体は快楽を追うことはやめられなくて、気が付けば解かれた口付けからか細い声が漏れた。 大きな手に擦られる感触に意識も感覚もすべてそちらに奪われ、追い立てられていく。 「ん…っ、は…ぁ…」 漏らさまいと噤んでいた唇から零れていく淫らな声はぐぐもって、それを聞いたリボーンがもっとだというように手の動きを早める。くびれを親指で扱かれてあがった嬌声は虚しく響いた。 「信用してた社長に犯される気分はどうだ?」 「…っ!」 最低です、と言ってやりたかったがそれも叶わない。 オレを嬲ることで少しでも気が晴れるのならばなんて思い上がりも甚だしい。 その間にも手の動きは急緩をつけて起立を追い立て、もう弾けてしまいそうだ。 「もう、や…!」 縛られた手でリボーンの肩を押し遣るも、少しも力の入らない腕では退かすことなどできはしない。 先走りのネバつく音に煽られてあっという間に白濁を飛び散らせた。 「しばらくぶりだったのか?濃くてたくさん出たぞ…」 手の平で受け止めた白濁を翳して見せ付けられた。何ともいえない青臭い匂いと、汚れてしまった手に罪悪感が浮かぶ。 「すみませ…」 縛られたままの腕を付いて起き上がろうとすると、ぐるりと身体を反転させられて胸を机に押し付けられた。 上から押さえ込むように肩を押し付けられて、縛られた腕は身体の下敷きになっている。思うように身動きが取れない。 足をバタつかせてもビクともしない体勢に背筋が冷たくなる。 「はじめてだからな…最初は細いもんがいいだろう?」 「なにを…」 動かせないせいで後ろが分からない。 首を捻るといかにも年代物の黒光りする万年筆を持ったリボーンが見えて、それが自分の身体に隠されていく。 次の瞬間、ヒヤリと尻の窄まりに何かが触れて捻じ込まれた。 「い…っ!いた!」 ぐりぐりと遠慮なく中を進む冷たいそれに、中を引っかかれて悲鳴が上がる。 それでも無視して奥に差し込まれた。 「これっぽっちで痛がってたら入らねぇだろ、きちんとついてこいよ。」 言うと差し込まれたそれでぐるりと中を抉りだす。 痛くて怖くて、いいなんて思えない。 なのにペンが中を引っ掻いていくと、訳の分からない熱さがじんわりと湧いてきた。 強張っていた身体が奥で疼く熱さに溶かされていくと、一気に奥まで捻じ込まれてから引き出された。 いきなりの喪失感に小さく身体を震わせていれば、ぬるりとしたものを塗りつけられていく。 ペンよりも太いそれが襞をなぞって奥へと入ってきた。 「や…ぁ!」 卑猥な音を立てて2本の指に掻き回されていくことが怖い。 自分の身体なのにいうことを利かず、指が動く度にぎゅうと締め付けてしまう。 明らかに喘ぎと分かる自分の声は聞くに堪えない。 触られてもいないのに性懲りもなく立ち上がった自身が、机に擦られてまた膨らんだ。 後ろからジッパーを下げる音が聞こえ、中を弄っていた指がゆっくりと出ていく。 変わりにそこを指で広げると、熱塊が奥へと挿し込まれた。 . |