リボツナ3 | ナノ



15.




典型的な1LDKのアパートで、よく隣の声も漏れてくるような造りだ。
リボーンの済むファミリー向けと思われるマンションとは雲泥の差で、声を上げれば聞こえてしまうかもしれない。

唇を噛み締めて必死に逃げようとするのに、どこにどうやって腕が逃げるのかが分かるように身に着けていた衣類を剥ぎ取られていく。仰向けに転がされ、胸の先を舌でねぶられてその覚えのある感覚に身を任せているとスラックスまで寛げられた。
慌てて身体を捩って逃げ出そうとしているのに、あっという間にスラックスを脱がされ、足を掴まれると膝裏から内腿にかけて歯型がつくほど齧られた。

痛さに竦んだ身体が強張る。するとそれすら手の内だったのか、怖さに逃げられなくなった身体をゆっくりとまた舐め解されていく。
怯えていた身体に教え込むように丁寧に舌で嬲ると、簡単に中心が熱を持ちはじめた。

仰向けに転がされた状態で、身に着けているのはシャツ一枚だけだった。下着も剥ぎ取られて、しかもシャツは一番下のボタンが嵌っているだけ。肩から剥かれ、肘まで落とされたシャツが辛うじて中心を隠している状態に気が付いて手でそこを隠す。
それに構うことなく首筋から胸へと吸い付いていた唇が、尖った胸の先を見つけて舌を這わせてきた。
吸われたり、舌の先で弄ばれたりする内に手で隠している中心が頭をもたげてくる。
手の平に触れるそれはねばつく体液が溢れ、恥ずかしさと胸を弄られる気持ちよさとに身体を震わせた。
それに気付いたリボーンが呟く。

「身体は正直だよな…?」

言うと押えていた手を左右の床に押し付けられて、立ち上がりシャツから覗く中心を間近で見詰められた。
カッと焼け付くような羞恥と期待とが入り混じり、更に透明な体液が中心を濡らしていく。
何をするわけでもなく、ただじっくり眺められどうにもならない欲が膨らんでいった。
それでも必死に頭を横に振る。

「ダメ…離して。お願い…」

小さく呟くのが精一杯で、その声はどこか甘さを含んでいた。

ダメだ、このままじゃまた繰り返す。
こんないびつな関係はよくないのだとどうやったら分かって貰える?
リボーンにとっては丁度いいおもちゃが手に入った程度の興味しかないのかもしれないのに。いや、実際にそうなのだろう。たまたま興を惹かれてそういう関係を持ったに過ぎないのに、ディーノ先生がオレに構うからちょっかいを掛けて楽しんでいるだけなんじゃないのか。

そこまで考えて痛くなった胸に唖然とした。
バカな。そんなことは嘘だと。
最初は確かに助けてもらった。でも昼間には昼食を餌にキスを奪われ、翌日には同意もないままことに至った。あの時、縛り上げられた腕は2週間経っても消えない痕が残った。
そしてもう一度はそれから2日後。痴漢からガードするという条件で一ついうことを聞くと約束して…約束通り痴漢から守って貰ったのでバスであったことについて誰にもいい訳をしないことを守ろうとした。そうしたら女の子たちが詰め寄ってきて…あの時、悪かったといったのだ。リボーンが。びっくりしてどういうことだろうと思っていたのに、結局は自分で噂を消して周っていたと判明したのは後のことで。そんなことも知らず、リボーンの周りにはべる女の子たちに言い知れぬ苦いものが込み上げてリボーン相手にぶちまけた。
あの時にはすでにこの気持ちが育っていたのだろうか。
そうして、ダメだと思っていたのになし崩しでまた最後まで抱かれて…

天井を見上げそんなことを思い出していると、起立の根元からゆっくりと指が先に向かって辿っていった。
手を剥がそうとしてももう片方の手にかわされて思うようにいかないし、足の間にいるリボーンが邪魔で足を閉じることも許されない。そうこうしているうちに指が勃起のくびれまでいくと、指の腹を使ってそこばかりを弄りだす。

「ヤだっ…!」

「嫌じゃねぇだろ?こっちは素直にいうこと聞いてるぞ。」

先走りに濡れた起立を扱かれると、ぐちょりとねばついた音が耳朶を打った。
それはまるで隠しきれない気持ちのようで、暴かれることを嫌って首を横に振った。それでも、リボーンの言葉通りに素直な欲望は隠しきれずに膨らんでいく。
別の誰かにされてもここまでよくはないだろう。リボーンだからイイ。

リボーンだからダメだった。

止めて欲しいと懇願しても聞く気配などないリボーンが仕上げとばかりに先に舌を這わせ、吸い付いた。
我慢しようにも我慢できずに吐き出すと、口を離して飛び散る様を見ていた。
しばらくは荒い息を吐き、薄い肩を上下に揺らしていたが、リボーンを見てやっとしでかしてしまったことに気付く。

「ごめん…!」

急いで起き上がると自分の着ていたシャツを脱いで顔を拭こうと手を出した。それを押し留めると指で頬に付いたオレの白濁を掬いそのまま口に運んでしまう。

「なにしてんだよ!」

「ツナの精液を舐めてんだろ?…濃いな。少なくともディーノとは何にもなかったっとことか。」

疑われたことにカッとして手を振りかざすと、その手を避けずに伸し掛かってきた。
パチンと頬を叩く音と、ゴロリと床に転がされた音が同時に響く。
手加減せず叩いた頬は赤くなっていた。それでも言われた内容に怒りを覚えているオレは下からその無表情を睨みつける。
じっと睨んでいると、リボーンがニヤリと笑いだした。

「ディーノとそういう仲だと勘違いされるのが嫌みてぇだな…」

「嫌に決まってる!ディーノ先生は先輩でお前とはちが」

つい出てしまいそうになった言葉を寸前で飲み込んだ。しかし、それも遅かったようだ。
上で笑うリボーンの顔が益々愉快気に歪む。

「どう違うんだ?なぁ…前にもオレと女が一緒にいるときに焼きもち妬いてたよな?それでもオレの物にはならねぇってまだ言うのか?」

「…っ!」

言い当てられて、どうにもならない気持ちごと覗き込まれそうでリボーンの胸に手を当てて突っ張る。嫌だと思った。そんな風にすべてリボーンのいいように暴かれて、持っていかれて弄ばれるのは御免だ。違う、違う。オレは教師なんだから生徒とこれ以上の関係はよくないから。
どれもこれも本当で、どれが一番の理由かなんて分からない。

とにかく逃げたくて身体を捩って起き上がると、それを待っていたようにリボーンに口付けられた。
薄く空いていた唇から入ってきた舌は、精液独特の青臭い匂いがしてそれが自分のものだと知れた。
必死で逃げようとする身体を押さえつけられて、逃げられないように首を絞められる。
息さえままならない口付けに、ただ翻弄された。

唇の束縛から逃れたのは、もうすでに逃げる気力も体力もなくなってからだった。
首を押え付けられて霞みがかった思考が、息を思い切り吸ったことで咳き込むとやっと晴れる。
丸まって咳き込めば、肩を引かれ床に仰向けに転がされた。
もういい。好きなようにすればいい。どうせお前が欲しいのは丁度いい遊び相手だ。好きなだけヤれ。
手足の力を抜いて、目を瞑り、心を閉ざした。


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