リボツナ3 | ナノ



7.




午後の授業を終え、学年会議やら各教科ごとの先生方による授業の進め具合の打ち合わせなどをしてから細々した書き物を終わらせると7時ちょっと前になっていた。
ディーノ先生が帰り支度をしながら行くぞ、とジェスチャーする。それに満面の笑みで応えるとオレも適当にパソコンを終了させてテストなどの類は鍵のかかる場所へと移すとすぐにディーノ先生の後についていった。

職員室から一歩でると、薄暗い廊下には人影はなかった。
そういえばリボーンも一緒にと言っていたけど、どうするのだろうか。そう思っていれば、ディーノ先生が携帯電話で話していた。

「…ああ、こっちも終わったからオレの車まで来いよ?…じゃ後でな!」

そう言うと通話を切った。
あの会話から察するにリボーンだろう。

「あいつも生徒会の仕事で残ってたらしくて、丁度よかったよな。」

「…そうですね。」

やっぱり来るんだ。
あれからオレのところに顔を出さなくなったから、余程怒っているのだろうと思っていたのに。
自分勝手に構って、自分の思い通りにならないなヤツは切り捨てる。そんな程度の興味だろうと高をくくっていた。そしてそれに苛々した。
…来ることに少しホッとした自分はおかしい。
自分自身の気持ちの浮き沈みについていけない。

そんなことを思いながらも、ディーノ先生と車で待っていると向こうからリボーンがやってきた。
ディーノ先生と並んでも遜色ない長身は、すらりとしていて半分は足だというくらい長い。見た目だけは本当にカッコいい。
悠々と歩いてくると、ちらりとこちらを振り返り確認してから助手席に座る。

「じゃあ出発するか!」

やっぱりオレとリボーンの間に流れる微妙な雰囲気に気付くことなくディーノ先生は車を発進させた。








うひゃひゃ…とご機嫌で笑っているオレはリボーンの肩に掴まると、どうにか店の外へと出てこれた。
足はもつれるし、視線は定まらないけど、身体は軽いし気分がいい。

「ツナー?平気かー??」

ひらひらと目の前でディーノ先生が手を翳している。それに気付いているんだから勿論平気だ。

「へーきですよ!…ひっく、なにしんぱいしてるんでスか。」

「…漢字が出てきてねぇぞ。おい、ディーノこいつやっぱり怪しいからうちへ連れてく。」

「ふざけんなー!オレはへいきだってば!」

勝手にリボーン家に連れていかれてなるものかと、リボーンの肩を叩くのにちっとも痛くないようで眉一つ動かさない。ムカつく。
そこからは、ディーノ先生の車に入ったまでは記憶にあるけど、車の中で目を閉じてしまってからはブッツリと途切れた。







目覚めたら見知らぬベッドだった。
それはいい。
いや、よくないけどこの状況よりはマシっつーか…

ごそごそと布団の中で身動ぎしたせいでか、同じ布団の中にいた相手も目を覚ました。…っていうか、何でオレがこいつと同衾してなきゃならないの?
パニック状態だけど、頭痛が酷くて声にならない。
そうこうしている内に隣で寝ていたリボーンが目を開けるとオレを視界に入れた途端ガバッと起きた。

「お、おはよう…?」

「あぁ…そうだった。」

「?」

何かガッカリしたような、やっと腑に落ちたような顔をすると、頭を掻いて起き上がる。
チャームポイントだというくるっとした揉み上げは今は少し跳ねている程度だ。オレの頭はすごいことになっているだろうと思う。シャワーを借りるか。
そう思うとオレもベッドから出ようとして固まった。

……。

「これ…なんで?」

布団を押し上げたら、スラックスもシャツも見事に剥かれていた。ギリギリ下着は身に着けていたけど。布団を握ったままで固まっていると、リボーンがため息交じりに教えてくれた。

「昨日、喰いにいった先でディーノとオレの飲んでたワインをオレから取り上げて飲んだのは覚えてるか?」

「…おぼろげに…」

アルコールが体質に合わないオレは一杯のワインで泥酔になる。

「どのくらい飲んでた?」

「オレの飲みかけだからグラス半分ってところだったな。」

「あー…うん。分かった。」

多分ハイな気分になった上で寝ちゃったんだ。

「ここってどこ?」

「オレの住んでるマンションだぞ。」

オレに背中を向けて着ていたパジャマを脱いでいくリボーンの背を見る。滑らかな肌に広く張り出した肩から背骨のラインが綺麗に伸びていてドキンとした。
慌てて視線を横に逸らすとオレの背広がかかっているのが目に入る。
皺にならないようにきちんとハンガーにかけていてくれたようだ。

そういえばと思い出して、着替え終えたリボーンに声を掛ける。

「ご両親は?みっともないとこ見せちゃって…お礼とお詫びをさせてくれないか?」

「…いねぇ。」

「は?」

「だから、一人暮らしだ。」

シャツを着て、ネクタイを嵌めていく指を見ている内に妙な気分になってきた。あの指に身体の奥まで探られたんだと思い出してじんわり熱くなってきた。それに気付いて頭をひとつ振ると布団から這い出す。

「…悪いんだけどシャワー貸してもらえるか?」

言えばピタリと動きを止めてこちらを振り返る。

「先に言えば一緒に入ってやるってのに…」

「いらんわ!オレはただ、この爆発ヘアをどうにかしたいだけだっつーの!」

「そのままでも可愛いぞ、センセイ。」

パチンと綺麗に決まったウインクに怒りのボルテージが上がったことだけは確かだった。

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