その後のスク水とバカンス1青い空、青い海、白い砂浜とくれば誰もが心踊るに違いない。 だというのにオレの心はちっとも弾んでなどいなかった。 確かに運動音痴だ。だから泳ぎも得意じゃない。それでもビーチで寝転がったり浮き輪に掴まってプカプカ浮いている時間は嫌いじゃない。 それなら何故こんなにもテンションが下がっているのかと言えばひとえに自らの格好が惨めだからに他ならない。 はぁ…とため息を吐き出すと、隣で寝そべっていた先生がサングラスをわずかに押し上げて声を掛けてきた。 「どうした?」 「…ん、人間て不平等なんだなって」 そんなオレの切ない言葉をフンと鼻で笑うとおもむろに起き上がった先生は、オレの羽織っていたパーカーに手を掛けるとそのまま肩からするりと落とした。 「やっ…!」 慌てて腰まで落とされたそれを胸で掻き合わせる。 燦々と降り注ぐ太陽が肩にかかる紺色の水着を照らし出して頬が日焼けとは別の赤みを映し出した。 「いつまでもそんなもん着てんじゃねぇ。男なら思い切りが大事だぞ」 「お、男だから脱げないんだろ!いくらプライベートビーチだからって…」 そう尻すぼみに小さくなっていくオレの声にニヤニヤ笑いを浮かべたままの先生はサングラスを外すと脇に置いて身を乗り出してきた。 捕まったらパーカーを剥かれるのは明白だ。 いくらこの日のためにアンダーもスクール水着も着慣れたとはいえ何も遮るものもない場所でこんな情けない姿を晒すことは出来なかった。 追いかけてきた腕から逃れるために白いビーチベッドから立ち上がると慌ててパラソルの柄にしがみついた。 その陰から胸の前で強くパーカーを握りしめて先生を睨むとニヤニヤ笑いをおさめて真顔になる。 「ツナ」 その顔にそう呼ばれると無条件に身体が竦む。 暑い日差しに砂浜の照り返しがジワジワと気温を上げて汗が流れた。 だけど暑いのはそのせいじゃない。 じっと見つめられる視線に耐えきれなくなって、差し伸べられた手におずおずと手を伸ばすと強引に引き寄せられた。 「わっ!」 わかっていたのにそれでも強く引っ張られて体勢が崩れる。 それを先生は難なく受け止め、そのまま汗が滴る首筋を舐められた。 ビクンと反応した身体に小さく笑われ、その息が掛かって逃げ出したくなる。 先生の手がオレの背中に回ったかと思うと後ろからパーカーを肩甲骨までずり下げられ、先生の唇が首筋から肩にまで下りてきた。 そのままきつく吸い付かれてチクリと痛みが走ったかと思うと、首を捻れば自分でも見えるギリギリの位置に赤い痕をつけられていた。 「ちょ…っ、こんなとこ隠せないよ…!」 「ツナは俺のものだって印だぞ」 ニヤリと笑いながらそんなことを言うなんて不意打ちもいいところだ。 一瞬で顔が赤くなってしまったのが自分でもわかる。 先生の言葉が嬉しいなんてとても口に出しては言えないけれど、そう思ってしまうと同じように感じてもらいたいと思う気持ちが大きくなった。 自分から先生の肩に手を置いて、初めて意図して首筋に吸い付く。 これくらいだろうかと思い、唇を離して見てみると薄っすら赤くはなっているが先生が付けるほどじゃない。 もっと強めにしなきゃいけないのだろうかと再度強く吸い付くと、今度は同じように真っ赤な痕が付き、先生はオレのものだという独占欲が満たされていく気がした。 「これで先生も…オレの…?」 そう言ってから、なんだか物凄く恥かしいことをしたような気がして急に先生の目が見られなくなった。 どんな言葉が返ってくるのかも色んな意味で恐く、俯いてどうしよう…と思っていると急に途中まで下げられていたパーカーを更に脱がされてしまう。 どうにか袖口まで腕から抜き取られないようにガードするが逆に腕が上手く動かせなくなってしまい、そのままビーチベッドの上に転がされてしまった。 「殆ど経験もねぇのに煽るのが上手いな、ツナは…」 「えぇ!?なに言って…っや…!」 肩膝を掴み上げられ、まだ反応も示していなかったはずの股間に先生の張り詰めたソレを押し付けられ、その大きさを知らしめられた。 それに自身のソコが馬鹿みたいに反応して大きくなったのが自分でもわかって、羞恥で全身が焼け焦げてしまいそうだ。 「ツナの所為でこうなったんだぞ?…勿論、責任取るよな?」 擦り合わされたことで熱を持ち始めたスク水の奥のアンダーがじわりと濡れてきたことに気付いた。 言葉ひとつでこんなになってしまった自身が恥ずかしくてわずかに腰を引くと上へと逃れようともがく。 まだキスすらしていないのに期待に濡れた起立を知られたら何を言われるか分からない。 なのに纏わりついたパーカーが逃げ道を塞いで思うように動けなかった。 焦るオレを尻目に掴んでいた膝から手を離した先生はビーチベッドの下から何かを取り出した。 「水着跡がついたらツナもバツが悪いよな?」 「う、うん…」 突然の言葉に逃げる動きを止めたオレは先生の手の中のそれに視線を奪われた。 先生の大きな手の平に収まってしまう程度の白い容器。いつものような悪戯専用のローションではなく、コンビニなどでよく見るそれを確認してほっと肩の力を抜いた。 「塗ってやろうか?」 その言葉に素直に頷く。 砂浜の照り返しを甘く見てはならない。日焼けが進行すると火傷になるのだ。 日に焼けやすい肌はこんなわずかな時間でもジリジリと焼かれ始めている。 しかも先生の言う通りスク水の跡なんてつけたくはないオレは腕を引かれて起き上がった。 「パーカーを脱がないと塗れねぇぞ?」 「…うん」 こんな姿を人目に晒すことは死にたくなるほど恥ずかしい。だけどこんな水着跡をつけるのはもっと恥ずかしかった。選択肢は最初からない。 袖口に纏わりついたパーカーを手首から抜き取ると、ここからプライベートビーチだと教えられた場所の向こうから幾人かの声が聞こえてきて慌ててパーカーを羽織り直した。 「ツナ?」 「だって、」 オレの前から退こうとしない先生の陰に隠れるように身体を寄せると、パーカーの裾からスルリと指が背中を撫でた。 「先生…っ」 日焼け止めをつけた指が水着の縁を這うようにゆっくりと滑っていく。照り返しのせいだけじゃない身体の火照りに火を点けられてアンダーの奥がまたじわりと濡れていくのが自分でも分かった。 徐々に塗れてくるそこが先生に知られたらと思うと気が気ではない。 それでも背中から肩へと滑る日焼け止めを塗る先生の指に、いちいち反応してしまって変な気分になる。 「ツナ…脱がなきゃ塗り辛いだろ?」 遠くから人の声が聞こえることに気付いていないはずがない先生にそうは言われるが、万が一こんなスク水なんて着ているところを見られたらと思うと脱げるわけもなかった。 誰だって間違えることはある。いくらプライベートビーチだと言っても絶対に人が来ないとも言い切れないのだ。 「…や、脱げない…」 例え今後会うことも無いだろう他人だろうが見られれば恥かしいものは恥かしい。 絶対にパーカーは脱げない。そう思った。 「…まぁ、ツナがいいならそれでもいいぞ?ただ、塗るのに時間が掛かるだけだしな」 背中を塗り終わった指が日焼け止めを足して今度は首元へと移動した。 首元から鎖骨を滑り、肩に掛かっているスク水と肌の間を先生の指が入り込んで来たかと思ったらそのままそれを押しやられ、伸縮性の良いスク水が肩から落ちて撓んだ。 「ちょっ…!」 「きわどい所は塗っておいた方がいいだろう?」 楽しそうな顔でそう言われても説得力など皆無だ。 前だけ開いたパーカーの隙間から片方だけ剥かれた胸がチラリと覗く。 女の子じゃないのだから見られたからと言って恥かしい場所ではないハズなのに、先生の視線がそこに向いているかと思うとそれだけで下肢が疼いた。 これ以上はイヤなのに気持ちとは裏腹にじわじわとアンダーが濡れていく。 先生に気付かれるのも時間の問題かもしれない。 ドキドキして吐く息が荒くなりそうになるのをなんとか抑えていると、先生の日焼け止めを塗る指が胸の先を掠った。 「んぁっ…」 それに過剰なほど反応して声まで漏れてしまったことに恥かしく思いながらも自身の胸に視線を落とすと、少し擦られただけなのに見る見る尖っていくそこに更に顔が熱くなる。 なんでこれだけで…と思うよりも先に先生の指が尖ったそれを押し潰し、そのままカリリと爪で軽く引っかかれて急な刺激に喉が引き攣った。 「エロい身体だな…。これだけで真っ赤に尖らせて…」 「…いや…言わないで…っ」 耳を塞ぎたくなるような言葉に、先生の顔を見ていられなくて眼瞼をぎゅっと瞑った。 すると、今度は耳元に唇を寄せられて溶けてしまいそうなほど甘く囁かれる。 「下も先走りでビショビショなの…気付いてるか?」 . |