リボツナ3 | ナノ



2.




電話が切れないのならば、せめて受話器をどこかに置けばいいのにそれも出来なかった。
そんな葛藤も分かっているだろうに、リボーンはベッドの端に腰掛けたオレに指示をだした。

『身につけているものをすべて脱げ。』

「できな、」

『いいから受話器を放すんじゃねぇぞ?』

そう言われ携帯を強く握りながら自身の格好を眺めた。
まだシャワーも浴びていないままで、スーツのジャケットとネクタイだけは外しているがそれ以外は身につけたままだ。

どうせ見られる訳でもなし、適当でもバレないだろうと思っていると低い声が耳朶に落ちた。

『まずはシャツのボタンを上からひとつずつ外せ。上からだぞ…』

言うことなんか聞くもんかと思っていたのに、携帯を持っていない方の手がシャツの襟元に伸びていく。
ぷちんとひとつ外すとまたひとつ、そうして気が付けばベルトの近くまで開け放たれたそれにぎょっとした。

「あ…っ、」

はだけたシャツから自分の肌が見え、途端に羞恥が湧いた。慌てて手で胸元を掻き合せるとまたも携帯から声が響いた。

『次はベルトだ。バックルをつまんで引き抜くんだ。』

「ゃ、できな…っ!」

携帯を握り締めたまま膝を立てて背中を丸めるとフッと回線の向こうからの吐息が漏れ聞こえた。
その息遣いに反応した中心を隠すように益々身を縮める。

『傍に居ればオレがすぐに外してやるんだが…なぁ、ツナ。そこを外さねぇと可愛がれねぇだろ?いやらしく涎を垂らしたツナの先っぽが。』

「ちがう!そんなになってないよ!」

『いいや、はだけたシャツから覗く淡い色の乳首も硬くしこってきてるだろ?』

「ちがうってば…」

リボーンに言葉で嬲られる度に下着の中で膨らむ中心と、掻き合せたシャツに擦られてツンと立ち上がった胸の先が否定したい言葉を裏切る。
それでも違う違うと否定していると、またも勝手に声が掛かる。

『そんなに嫌ならそのままでするか?ツナ、手を下に這わせるんだ。そう、ベルトを通りスラックスのジッパーを上から下に少し強めになぞってみろ。』

聞かなければいいのに、シャツから手を外したオレはベルトを越えてジッパーに指を入れるとそこを押えるように強く上から下へとなぞっていった。

「…っ!」

『気持ちいいだろう?もっと動かすんだ、ツナ。』

「あっ、あ…ぁっ!」

請われるままに指を押し付けるとじわりと広がる腰の疼き、それからスラックスを押し上げる膨らみに理性が消え去っていくのをどこか遠くで感じた。
誰にも見られていないという開放感と、毎晩の行為を覚えている身体はオレの意思を裏切ってリボーンの言葉のみに反応する。

『イイ場所を親指でグリグリ擦る…』

「ふっ…んんーっ!」

『まだイくなよ、勝手にイったらどうなるか分かってんな?』

「さ、さどっ!」

『違うぞ、ツナがマゾなんだろ。それはいいからスラックスの上からツナのエロい棒を掴め。』

「エロいのはお前だっ!っつ!うぁ…あ!」

口答えはしつつも言われた通りに起立を握れば肌着が纏わり付く感触とごわついたスラックスからの自分の手の動きに一層硬く起ち上がった。
荒い息を電話口に晒すとその先でリボーンもわずかに息があがってきていることに気が付いた。

「…リボーンも、してる?」

そんな素振りもなかったので違うと言われるかと思いきや、あっさりやってるに決まってんだろと返された。

「あ、えぇぇえ!?」

『恋人の痴態を聞いて起たねぇ男がいるか。』

かぁと赤らんだ頬にずくりと疼きを覚えた中心がまた下着の奥で先走りを零した。ドキドキと煩い鼓動に邪魔されながらも携帯電話から名を呼ぶと耳元にチュと口付けの音が響く。

『言うことを聞けるな?』

「う、うん。」

『いいか、勝手にイクなよ?ひとりでイったらお仕置きだぞ。』

「分かった。」

『ベルトを外してスラックスと下着を脱ぐんだ。』

操り人形のようにリボーンの言葉に従ってベルトに手をかけた。ガチャガチャという金属が擦れる音が広い寝室に響くと、電話口からも同じ音が聞こえてきた。
電波の先で繋がっていることを実感したオレはスラックスのジッパーに手を掛けるとそのまま下げて下着ごと膝までおろす。

『まだ触るんじゃねぇぞ。』

「なんで…っ!」

胡坐をかいた中心で起ちあがるそれは触って欲しくて、触りたくてどうにかなりそうなほどぷるぷると震え、先走りをしたたらせていた。
もぞもぞと落ち着きなくベッドの上で座っていると、リボーンがとんでもないことを言い出した。

『ツナ、今どんな状態がオレに教えてみろ。』

「なっ!?」

『どれだけイキたいかオレが納得できればイかせてやるぞ。』

「できな、」

『できなきゃこのままだぞ。ツナの先っぽがどれだけぐしょぐしょになってるのか…言え。』

リボーンの言葉で縛られたままのオレには、リボーンを無視して起立を握ることもできやしない。だけどこの状態を言葉で伝える恥ずかしさに声を詰らせていると、なぁと猫なで声が携帯の向こうから聞こえてきた。

『言わなきゃ伝わらねぇんだ、ツナ。オレもお前でイきたい。ダメか?』

「あ、」

耳朶からじんわりと響く低い声が身体の隅々まで侵食していって理性を鈍らせる。
一緒にイキたいのはオレも同じで、そして魔法のようなその声に脆くも崩れ去った理性は跡形もなく流される。
痛いほど起ち上がった中心を眺め、それから小さく小さく声を吐き出した。

「…先が淡く色付いてきてて、割れ目から液がこぼれちゃっ……っ!」

言葉で説明すると反応するように余計に溢れる先走りがつっと亀頭を伝って零れ落ちた。そのわずかな刺激にすらはじけそうになる中心を我慢して声を殺すとリボーンから声がかかる。

『あぁ、ツナの先っぽは可愛いピンク色だからな。その可愛くもいやらしい先っぽはどうされたいんだ?』

「ぁ…触っ、て…!」

『どんな風に?』

「つよく、ぎゅっ…て握ってほし、」

『いや、違うだろ?ツナは先のくびれをやわやわと扱かれんのがイイんだよな?』

根元から強く握っていた手を言われるがままにくびれへと絡め、ゆるく上下させれば悲鳴のような喘ぎ声があがった。

「ひ…っ!ひぁ…ん!」

際限なく零れる先走りのぬめった液に助けられ、引っ掛かることなくスムーズに動く指が止められなくなる。
声を抑えなきゃとさえ思うこともできずに漏らし続ける喘ぎに受話器の向こうの息遣いも熱を帯びていく。

『先っぽの割れ目に指を添えながら下から一気に扱くんだ。』

「ん、あぁぁ…っ!」

ぬるんとぬめるそこに爪を立てながらくびれに沿うように扱き上げると堪え切れずにどぷんと白濁を吐き出した。
ドクドクと溢れるそれに荒い息を零していると、電話口からツナと不機嫌そうな声が聞こえてきた。

「リ、ボーン?」

『リボーンじゃねぇ。っとに、勝手にイったらお仕置きだぞって言っただろう?』

「だって…」

息も絶え絶えにそう返事をすると、ため息を吐いたリボーンがアレはそこにあるかと訊ねてきた。

「アレ?」

『アレだ。独り寝が寂しくねぇようにオレが用意してやったヤツを持つんだ。』

ニヤリと笑っていることが分かるような楽しげな声にまさかと思いつつも、先ほどのそれに視線を落とした。

『そう、それだ。イクにはイったがまだ終わってねぇだろ、ツナ。』

聞かれてカッと顔が熱くなった。
恐る恐る手にした大人の玩具を目線の位置まであげてはっとする。

「まさか…」

『そのまさかだぞ、ツナ。』

「ムリっていうか、ムチャ!」

妙にリアルなそれを手に携帯に掴みかかると、もう一度名前を耳元で呼ばれて動きが止まる。

『出来るな?』

出来ないと言えればどれだけ楽か。
長い長い夜は始ったばかりだった。

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