リボツナ3 | ナノ



12.




約束通りリボーン君が学校から帰ってくる前に彼の自宅を訪ねた。渡されたままだった鍵を手にして、自分が彼の特別な存在になった気がする。
そんな自分に思い込みが激しすぎると首を振ってから鍵を差し込んで中に足を踏み入れた。

「おじゃましまーす…」

誰も居ないことは分かっているが、一応声だけは掛けて上がり込む。
綺麗に整頓されているせいなのか、妙にガランとした室内は人の住んでいる気配がしなくて毎度ここでよかったんだよなと思わず後ろを確かめるぐらいだ。
そういえばあの時一度だけ入ったリボーン君の部屋は、それなりに本が積まれていたりして彼の気配を感じることが出来た。
ふと思い出したシーツの匂いに下腹部が主張をはじめてぎょっとする。今までこんな風に何もしていない状態でそこが熱くなったことなんてなかったから尚更だ。
誰に見られる訳でもないが、恥ずかしさに着てきたパーカーを引き下げて前を隠すと、手荷物も廊下に放ったままトイレに駆け込んだ。
あとどれぐらいでリボーン君が帰ってくるのか分からないが、とにかく早くこれをなんとかしなければ。
パーカーの裾を捲ればジーンズの前が膨らんでいて、これじゃあ誰が見ても一目瞭然だ。またエロいだの淫乱だの言われそうで、羞恥で赤らんだ顔を振ると急いでベルトのバックルに手を掛けた。
広いマンションのせいか、隣近所の声や音も聞こえてこない。自分のベルトを外す音だけしか聞こえなくて妙に緊張する。
こんな場所でするのかと思うと興奮するより恐縮してきた。見れば少しだけ萎えたようにも見えて、このまましばらくしたら落ち着きそうな気もする。
下着を引き下げて膨らんでしまった不肖の息子を眺めていると、玄関から物音が聞こえてきた。
掛けてきた鍵が開く音と扉が開く音が聞こえ、すぐに靴を脱ぐ音があとに続く。
早すぎだろうと焦るオレに構うことなく、足音らしい足音もなくリボーン君は玄関から廊下を歩いているようだった。
どこに向かっているのか分からなくて身体が強張る。
慌てて下着を引き上げるも、まだズボンを履けるほど治まってはいないから狼狽えた。

「ツナ?おい、どこに隠れてやがる」

何で探すんだよ!と半ば八つ当たり気味にトイレの中で文句を言っていれば、それに気付いたのかリボーン君の気配がドア越しにこちらを向いた。

「なんだ、トイレか。荷物も廊下に置きっぱなしで何かあったのかと思ったじゃねぇか」

「ごめ…っ、ん…やぁ!」

リボーン君に声を掛けられただけで、下着の中の自身がグンと勢いを増して硬く勃ち上がる。信じられない思いでそれを下着の上から押さえるも、触れたことでより手の中のそれが存在感を主張しはじめた。

「ツナ…どうした?」

名前を呼ばれただけで応えるように起立が震えて泣きたくなる。下着越しなのに手の平がじっとりと湿って、中で先走りが溢れていることが嫌でも分かった。
知られまいと息を飲み声を殺していると、扉の向こうから慌てた声が聞こえてくる。

「お前、まだ調子が悪かったのか?倒れてねぇか?」

「ちが…ひぅ、ん!」

いつになくオレを気遣う声に胸がきゅうと締め付けられて、手の中は弾けんばかりに昂ぶった。なんでこんな時にと焦るのに、身体はいうことを訊いてくれない。
扱きたいという衝動に目が眩みそうになりながら、目の前に視線を上げると鍵が掛っていなかったことに気付く。
中腰の姿勢のまま手を伸ばすと、まるでタイミングを計ったように鼻先で扉が開かれた。

「ツナ…!?」

「ううぅ…見るなってば」

勢いよくこちらに向かって開いた扉に額を打ち付けられて、ペタンとしゃがみ込みながら顔を伏せてそう呟く。だけどそれだけで精一杯だった。
そんなオレを見付けたリボーン君はホッ息を漏らして覗き込んできた。

「お前、それ…」

指摘されるまでもなく自分のソコがどうなっているのかなんて知っている。膝を擦り合わせてパーカーで隠しても、もう遅いことも分かっていた。
何を言われるのかと身を硬くしてぎゅっと目を閉じると、リボーン君の手が伸びて腕を掬い取られた。

「ちょ、なに」

強い力で身体ごと引き上げられ、トイレから引き摺り出される。
ベルトを緩めていたからズボンが腰から落ちかけて、それに気を取られている間に廊下の壁に背中を押し付けられた。
痛いと思う間もなく上から唇を塞がれて、濡れている下着の前を撫でられる。ぬるりとしたもので唇の間を割入られ、驚いて口を開けばそれが奥まで差し込まれた。

「んむ…っ、う…んン!」

突然の口付けに応えることも出来ずに目を瞠るが近すぎて焦点が合わない。視界と口腔を塞がれて、息苦しさに目の前の身体に手を伸して縋りつく。
舌を擦り合わせ、その刺激にゾクリと背中を震わせた。
まるで何年かぶりに再会した恋人みたいに片時も離したくないと深く重ねる舌先と、確かめるようにズボンの中を蠢く手に、わずかに残っていた理性も崩壊していく。

「ん…ふっ…ぁ」

追い立てるというほど性急でもなく、けれど逃がしてくれるほど優しくもない手が下着を押し下げて直接触れた。
ぬるつく先から指で輪を作って根元まで扱かれる。
足の力が抜けてガクンと崩れ落ちそうになるオレを片手で抱きとめたまま指で全体を擦り上げられイきそうになった。
こんなところで、しかも自分だけなんて恥ずかしいと首を振って堪えれば、口付けを解いた顔がそんなオレを見詰めている。
滾るような情欲を映した瞳に晒されて、最後の砦も崩れていった。
逃げ場のない快楽に喘いだ唇をまた塞がれ、身体を押し付けるように密着させて手が蠢く。
窮屈な体勢での行為と、場所も選ばない口付けに抑えていた気持ちが溢れてしまう。
自分のこんなみっともない顔も、淫らな姿も見せるなんて恥ずかしい。だけどリボーン君になら、見せていいのかもしれないと自分の中の何かに唆される。
口付けの合間にリボーン君の硬くなった前も押し付けられてドキリとした。
興奮しているのは自分だけじゃないと、オレの痴態に同じだけ興奮しているのだと言われているようで起立の先から溢れそうになる。
痛いほど張りつめた竿を幾度も扱かれて、リボーン君の視線を感じながら白濁を吐き出した。

「はっ…は、ぁ…」

イったばかりで息が整わなくて、額をリボーン君の肩に押し付けながら凭れかかるように身を寄せる。
戻ってきた羞恥心に頭を押さえ付けられ視線を合わせられずにいれば、オレの精液をしたたらせたままの指に顎を掴まれ引き寄せられた。
覗き込む視線に顔が火照る。

「ツナのイく顔は何度見ても興奮するな」

「っ!」

今にも食べられてしまいそいうなほど飢えた目を細めて、酷薄そうな薄い唇を舌先でなぞりながら笑う。
それを見て、怯えながらもどこか期待が膨らみリボーン君の顔から視線を外せなくなった。
自分の匂いのする指が、顎から首を辿って下に降りていく。
パーカーのジッパーをすべて下げられ、薄いTシャツ越しにもう片方の手を伸ばされて撫でられた。
貧相な胸板の何が楽しいのか、しきりに行き来する手に妙な感覚が湧いて眉を寄せる。

「やめろって…女の子じゃないんだから、そんなとこ…っ!」

そこを弄られた時、突然自分の声が裏返った。気持ちいい訳がないと思っていたのに、胸の先を布越しに指で擦られて身体が震える。
少し膨らんだそれを親指と人差し指でつままれて、ビリビリと身体中を駆け抜ける快楽に息を詰めた。

「っ、は…っ…ヤッ!」

知らず背をしならせ、悪戯をするリボーン君の手を掴む。するとリボーン君は手を止めて、耳元に顔を近付けてきた。

「嫌ならやめる。好きでもない男にされるのは嫌だろう?」

「え…」

言うと本当に絡めていた指を解いて身体ごと遠ざかっていった。
突然手放され力の入らない足は立っていることも出来ずに廊下に尻もちをついた。バカみたいにリボーン君の顔を見上げていれば、リボーン君はひとつ頭を振るといつも通りの顔に戻ってしまう。
顔についてしまっていた自分の精液を、リボーン君はポケットから取り出したハンカチで拭い取ってくれる。
そこでやっと下半身が剥き出しのままだったことに気付いて、慌てて下着を引き上げた。

「顔、洗ってこい。下着も貸してやろうか?」

「ばっ…!大丈夫だよ!」

少し先走りで濡れてはいたが、履いていられないほどではない。吐き出した精液は下着を汚さないようにリボーン君が受け止めてくれたようだった。
ズボンを整えてベルトを締め直しても、リボーン君は普通の顔でそれを見ている。今までの悪戯が嘘だったみたいだ。
突き離されたようで、心細く思うなんておかしい。嫌だと言ったのはオレなのに。
自分で自分が分からない。
リボーン君の手を払い、立ち上がると顔も見られないまま洗面所へと飛び込んでいった。


2012.04.20







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -