5.ガタガタと震えはじめた身体に乗るように後ろから体重をかけると、逃げる代わりにツナの指が床に爪を立てた。 答えを拒むその姿に思わず舌打ちが漏れる。 「お前は…オレの返事はいらねぇのか?」 「…いらない。」 頑なな横顔にイラついて、手の中の濡れた起立を強く扱くと声を堪えるように閉じた瞼からポロリとまた一粒零れ落ちた。 これだけ近くにいるのに、欲しい答えもすぐそこにあるのに最後の最後ですり抜けてしまうのか。 声を上げまいと自分の腕に噛み付いていたツナの下肢から手を引くと、うつ伏せになっていたツナの腕を掴んで引き起こした。 「何だよ…」 「うるせぇ。黙って見てろ。」 突然の行動に目を白黒させているツナを余所に自分のベルトに手を掛けると、ボタンを外して勢いよくジッパーを下げ窮屈だと訴えていた自身を曝け出す。 ツナのお陰で随分と大きくなったそこを呆然と見ているツナの手を取って押し付ける。 すると熟れたトマトのように顔を赤くして逃げ出そうとした。それを許さずツナの手首を押さえたまま握らせる。 「お、おま…バカッ!手放せよ!」 ジタバタともがくツナを無視していれば、疲れたのか諦めたのか大きなため息を吐いてやっと大人しくなる。 恥ずかしさにか俯いてしまったツナの、シャツからわずかに覗くソコを見詰めていればオレの視線とそれに気付いたツナが膝を立てて見せまいと暴れた。 「っ…!なんで大きくなるんだよ!」 「隠し方が悪いんだぞ。」 チラチラと見える起立と、それを隠そうとするせいで奥が見え隠れしていたせいでツナに掴ませていた自身が一層硬くなる。 身の置き所のない風情で必死に手を引こうとするツナが赤い顔のまま呟いた。 「お前に羞恥心はないのか…」 疲れたように吐き出された言葉を攫うように口を寄せると、一瞬だけ躊躇ってから顔を上げねだるように寄せられた唇に自分のそれを重ねた。 逃げない口付けに先ほどよりも深く唇を合わせて舌を絡ませる。 好きだという言葉に嘘はないことを確かめてから、誤解の元を絶つために唇を離し顔を上げると上気した頬と潤んだ瞳が上目遣いでぼんやりと見詰めていた。 ツナの手の中で反応するそこは隠しようもないし、隠すつもりもない。同じ男だからこそ分かる状態を曝け出して訊ねる。 「どうしてこうなると思う?」 「こう…って、」 自分以外のそれを初めて触れたらしいツナは、オレの言葉と握った起立にハッとしてキスの余韻で虚ろだった顔を朱に染める。 シャツの裾から覗くツナのそこも同じように起ち上がり、わずかに布地を濡らしていた。 「なら、どうしてそうなった?」 「ぁ、」 自分の状態に言われて気付いたツナは慌てて俯くと隠すようにシャツの裾を太腿で挟んだ。それでも膨らんでいるシャツの前にクツクツと笑ってやれば、意を決したように顔を上げて睨みつけてきた。 「っ…!好きなヤツとしたからだ!悪いか!」 羞恥ではなく興奮したせいで赤くなっているツナの顔を見ながらあぁと頷く。 「悪くねぇぞ。むしろそれが当然だろ?誰だってそうだ。」 「お前と違って…って、……は?」 オレの声がやっと届いたのか素っ頓狂な声を上げてツナが目を瞠る。零れ落ちそうな大きな瞳がオレだけを映していることに満足しながら、ツナの手にあまるそれを包み込むようにツナに握らせるとビクっと細い身体が揺れて恐々といった調子で訊ねてきた。 「…お前は違うよな?」 「そんな訳あるか、このダメツナが。大体このオレが好きでもない男とキスして濡らしたソコをみてこんなに怒張させるとでも思ってんのか。」 「ぬ、濡ら…イヤ、そうじゃない、そこじゃなくて、あの…」 思うように声が出せないのか口の中で意味不明な音を出すツナの頬に噛み付くと、また逃げ出そうともがき始めたツナの手を放す。 まさか手放されるとは思っていなかったのか体勢を崩してゴロンと床に転がったツナの上に跨ると肩に手を掛けてから覗き込むように額に額を押し付けた。 「う、あ…」 「本当に返事はいらねぇのか?」 大きな瞳が期待と不安とに揺れている。そんなツナに笑い掛けながらゆっくりと震える唇を塞いでいった。 瞬きの音さえ聞こえてきそうにしばたく瞼は、信じようかと信じまいか迷っているのだろうことが見て取れる。 ネロリと上顎を舐め上げると熱い息を零してツナの手がおずおずと首の後ろに伸びてきる。 捲くりあがったシャツのせいで曝け出したままのツナの起立に手を伸ばすと先ほどよりもぐしょぐしょで硬く起ち上がっていた。 「どうする?」 訊ねながらも少し強めにソコを扱き上げれば堪えきれなかったツナの声が聞こえ、それすら逃さないとまた唇を重ねた。 廊下に響くこもった息遣いとネバついた音に煽られて、手の中のツナ自身へ愛撫を続けるとツナの身体が快楽に震える。 そんな余裕のない様子に自分の余裕さえ霧散して、ツナの内腿に硬いそれを押し付けるとオレの首にしがみ付いていた腕が頬へと伸びて引っ張り上げられ顔を覗きこまれた。 「リボーン、はオレでもいいのかよ?」 イきたくて、不安で、それでも期待がわずかに混じる瞳が縋るようにオレを見詰める。返事を待つツナの表情に大きくなっていく自身がツナのそれに触れて擦れた。 気持ちよさにか羞恥が膨らんだ顔が艶かしい。息を飲むツナをもっと喘がせたい。腰を押し付けて中心を擦り合わせるとわなないた唇が切ない息を吐き出した。 「逆だぞ。お前は本当にオレのもんになるのか?」 過ぎる快楽にぎゅっと目を閉じて顎を引いているツナの耳元に吹きかけるように問い掛ける。 面白いようにビクビクと震えるツナの肩にシャツの上から歯を立てていれば、聞き取れないほどの小声でツナが呟いた。 「なるっていうか…なってた、」 言外に前からだと告げられて止まる筈もない。肩からもっと下へと顔を落とし手の平で震えるツナに口をつけると弛緩していた下肢が暴れだした。 「バッ、そんなとこに口つけるなよ…!」 手で顔を押し遣られても構わず舌を這わせると、暴れていたツナの肢体から力が抜けて床の上にあられもない姿を晒す。 薄い胸板が忙しなく上下し、自ら広げた腿の間でツナ自身に吸い付けば躊躇う間もなく弾けていった。 最後まで飲み込んだオレの顔を見ていたツナは、赤い顔のまま手を伸ばすとオレの頬を両手で挟んで引き寄せる。 見せ付けるようにわざと指で唇を拭えば想像通りに居た堪れないと視線を逸らしたが、ごくんと飲み込んだ唾がそれだけではないことを伝えていた。 クククッと笑いながら顔を寄せ、唇を塞いで舌を絡ませ合う。ツナの匂いの残る舌を擦り合わせると首を振って顔を背けた。 「変な味。」 「そうか?オレにはイイぞ。」 ツナの痴態のお陰で限界近くにまで膨らんだ中心を押し付ける。するとツナがそうっと視線を下へと向けて顔を歪ませた。 「…オレも、する。」 視線をソコから外せないまま悲壮な顔で宣言したツナに肩を竦めてみせると、お尻と床の隙間から手を差し込んで奥に指を這わせた。 先走りで濡れた下生えからしたたり落ちてぬめるそこを指で円を描くように擦る。 「ひ…ぃ!」 爪の先ほども入れられない奥を指で押すとツナは情けない声を上げた。 「逃げんな。誕生日プレゼントなんだろう?」 周りを解すように指を這わせていけば、少しずつだが綻びをみせるそこにぐいっと差し込んだ。 強張る身体を宥めるようにシャツの裾から手を差し込んで撫でる。 柔らかくはないがすべらかな肌理を堪能していると、ツナの手が縋るようにシャツの袖を引っ張った。 「どうした?」 「どーしたも、こうしたも…オレ、まだ返事貰ってない!」 だから手を離して欲しいというツナの震える手を取ると床に押し付けて顔を覗き込んだ。 「今日はオレの誕生日だからな。オレがお前を貰うんだぞ。明日はツナの誕生日だっただろう?代わりにオレをくれてやる。たっぷり堪能しろよ?オレも日付が変わるまで堪能させてもらう。」 「…あと6時間、も?」 勘のいいツナがブルリと身体を震わせて玄関に飾られている時計とオレとを交互に見詰めた。逃げ出したいという気持ちが見て取れる顔に唇を寄せていくと、フウとため息を吐いた唇が下から近付いてきた。 「手加減してくれよ。」 「分かってる。あと30時間もあるんだからな。」 目を見開いて事の次第に気付いたツナが騒ぎ出す前に唇を塞いだ。 終 |