リボツナ3 | ナノ



9.




抱き合うのも4年振りだから、そこへの挿抽も同じだ。
ぐっと押し込んでくる質量を忘れていたとしか思えない。
無遠慮に進入する熱い塊は、悦楽と一緒に痛みも連れてきた。浅い息を吐いてやり過ごそうとしているのに、弛緩する瞬間を狙って奥へと突き入れ主張する。
痛みでジンジンする内壁に埋めきると、互いに汗まみれになっていた。

「浮気はしてねーみたいだな。」

「だれが、するかっ…!」

埋め込まれたまま動かずにいてくれるせいか、大分痛みも和らいできた。大きさに馴染んだのかもしれない。
代わりに中で主張する熱さをぼんやり感じていると、ついと起立を咥え込んだ窄まりに指を這わせてくる。粟立つこれは快楽の走りだ。知らず中を締め付けてしまう。

「あぁ……ン。」

自分の物とは思いたくもない声が漏れて、顔が赤らむ。それでも正直な身体はもっと確かな刺激が欲しくて揺れ始めた。
気付いているだろうにわざと焦らしているのだろう、顔の横に手を付いて覗きこんできた。

「次はどうして欲しい?」

「リ…ボーン!」

動いてくれないそれに、増した身体の中の熱は捌け口を求めてぐるぐると渦巻く。眦から零れる涙に舌を這わせ舐め取ると、そのまま耳朶へと辿りわざと音を立てて舐める。ぴちゃぴちゃという音と舌の感触に背中から這い上がるそれ。泣きたくなるほどもどかしい。
もう駄目だった。

「動いて…!いっぱい。」

言えば待っていましたと言わんばかりにニタリといい笑顔になった。いや、言わんばかりに、ではなく待っていたのだろう。
放っておかれていた起立に指を這わせると、先走りで濡れていたそこはいやらしい音を立てる。恥ずかしさに顔を隠すと片手を取られ、覗き込まれた。

「期待に応えてやるぞ。」

「も…や、ぁ…!」

言おうとして言葉にならなかったのは急に動き出したからだ。粘膜を擦り上げられる刺激に息を殺して悶えていると、腰へと手が周ってきた。ぐぐっと掴み上げられ益々深くなる。
どろどろに溶けてしまいそうな気持ちよさが怖くて、腕をリボーンの首へと回すと口付けを落とされた。
交わす互いの唾液を漏らすほど舌を絡ませあう。
握り込まれた手の中の起立は痛いくらいに熱を帯びているのに塞き止められて、中を荒らす熱塊に合わせてびくりと揺れた。
どこもかしこも触れられるだけで快感が増す。

激しく打ち付けられる腰に足を絡ませていると、いっそう激しくなる律動に限界が近いことを知る。
起立を塞き止めていた指は外され、邪魔されるもののなくなったそこは内壁の一番奥へと強く挿し入れられた瞬間に弾けた。次いで中の塊も白濁を注ぎ込む。
奥へと注がれたそれの熱さに身体を震わせる。
気だるい身体を弛緩させて、事後の気持ちよさに浸っていると、上からまた唇が落ちてきた。
首に回した手を髪の毛に入れて、長いキスを楽しむ。
最初は啄ばむだけだったそれが、舌で上顎と歯列の裏をなぞり出したので抗議する。
口付けたままの抗議など声になる筈もなく、あっけなくやり込められてキスひとつでまたも陥落していく。
口付けを解いたときには、すっかり燃え上がっている身体の熱に浮かされていた。

触られるところはどこでも、触られる度に気持ちよくなっていって拒めない。
気持ちが追いついた交わりの悦楽は理性をどこかへ押し遣ってしまったようだ。
段々と質量を取り戻していく熱塊と、這い回る手に自身も芯を持ち始める。
知らず漏れる喘ぎは甘い。

背中に手を差し込まれてぐいっと引き寄せられると膝の上に跨る形で座らされ、腰を落とすとじんわりと広がる甘い痺れ。
リボーンの肩に額を埋めてやり過ごそうとしたが、すぐに突き上げられてあっけなく箍も崩壊する。
そうして与えられる欲に塗れる生き物となった。










何度目だか記憶にもないほどいかされた末、少し意識が飛んでいたらしい。
はっと目が覚めるとまだ身体を撫で回す手と、後ろに居座るそれが行為の途中であったと分からせてくれる。
と、いうか。

「……いい加減、やめる気は?」

「ない。」

「多分、オレ動けないよ……。」

ため息しか出てこないオレに、後ろから伸し掛かったままの体勢で胸元を弄る手を止めないまま言った。

「抱えて行ってやるぞ。」

「いらない!誰がそんなみっともないことを!」

肩越しに睨むとするりと胸から下へと手を這わせる。もう何度もいかされていて、立ち上がりもしない。…どんだけいかされたのか考えたくもない。
それでもゆるゆると扱かれると、内膜はうねって熱塊を奥へと取り込もうとする。
吐き出せない快楽は痛みに似ていた。
泣きそうになりながらも睨むと、ごくりと飲み込んで凝視する。

「もっと酷くされてーのか?」

かぶりを振って否定する。冗談じゃない。
すると顎を掴まれて肩越しに口付けられた。
乱暴なほどではないが、優しくもないキスはまたも身体の熱を上げていく。
唇を離されると腰を高く持ち上げられて、深く挿されて浅く抜かれることを繰り返す。
またも激しくなる動きについていくのは身体だけだ。
泣きが入りそうになりながらも甘い吐息を零すと、イイところを擦られてまたいった。



「もーぜったい、ムリ。」

明日、というか今日起き上がれるかさえ怪しい。
やっと開放されたのは空が白み始める時刻になってから。
社会人、しかも社長付きの秘書が社長を放って休むなんてできないけど。
どうしてくれようかと横にある顔を睨むと腕の囲いを狭められた。

「だから言っただろう?抱きかかえていってやるって。」

「いらないってば!」

どこの世界に社長に抱えられて出勤する秘書がいるというのだ。
体液まみれだったシーツを剥がし、毛布を下に敷いて裸のまま抱き合ってはいるけれども。

「離さないって言っただろうが。」

「言ったけど!そういう意味だったの?」

「あらゆる意味で、だぞ。」

ニヤリと笑う顔は清々しいまでに綺麗だった。
頭が痛い。

それでも。
好きなのも、傍に居たいのもこいつだけだ。
呆れた風を装ってため息を吐けば、また唇が重なってきた。
それに応えていると、またも怪しくなる手の動きを掴んで封じる。

「這ってでも出社するんだから、これ以上は止めろって!」

「這えるんならもう一回…。」

「できるかぁ!」



もう一度、始めよう。



終わり







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