リボツナ3 | ナノ



3.




震える唇がどうにか重なるもそれはひどくゆっくりと柔らかさを伝えてきた。ふっくらとした淡い色のそれが自分の唇に押し付けられた途端に逃げるように顔が離れていく。
物慣れぬ仕草に煽られて今度は自分から重ねていくとすぐにツナの身体が強張った。
上唇に吸い付けば息も出来ずにプルプルと震えだす。齧りつきたいほど可愛らしい仕草に誘われて舌を這わせるとオレのシャツを握る手に力がこもった。

「っ…!」

わざと体重を掛けるようにツナに反応した身体を密着させれば驚きに息を飲む音が聞こえる。
閉じたままの目元が赤く染まり、だが逃げ出そうという気配は見当たらない。
嫌じゃないという言葉に後押しされるなんて落ちぶれたもんだと思いながらも、それでも怖がらせないようにツナの頬を手で撫でながら口付けを深くしていった。

薄く開いていた歯列をムリにこじ開けることを避けて唇を優しく啄ばんでいく。するとやっと呼吸を思い出したらしいツナの唇が安堵の息を吐き出した。
甘い吐息にがっつきそうになる自分を抑えながら唇を強めに押し付ければ、ツナが応えるようにわずかに歯列を緩ませる。
目の前にあるかたく閉じた瞼の先の睫毛が羞恥を堪えるように震え、それを視界に入れたところで理性の手綱を手放した。

「ん、あ…っ!」

絡め取った舌先が震え、その奥にある喉から漏れた声の卑猥さにむしゃぶりついて身体を抱き寄せると無意識になのか身体を摺り寄せられる。
互いの体温と体臭とが交じり合う口付けに手加減を忘れて舌を絡ませ、手は邪魔な布地を剥いでいく。ベルトを外し、シャツを毟るように捲り上げて緩めたズボンの裾から手を差し込んだ。

くぐもった声は驚きと羞恥とを伝えてきたが、聞く耳も持たずに下着の中を確かめるように指を這わせた。
わずかに湿り気を帯びている下着の奥にあるそこに触れるとまたも悩ましい声が聞こえ、だが構わずそれを握り締めた。
手の中で少し大きくなったそれからはぬるりとした体液がしたたり落ちて、それを塗り付けるように動かすと重ね合わせていた舌が口の中で跳ねる。
どちらのものとも知れぬ唾液を零しながら、それでも逃げようとしないツナの必死な様子に煽られて中心を擦り上げると人の手を知らないそこが容易く膨らんでいった。

頬に添えていた手は後頭部を掬い上げながら項をなぞる。
下肢と項と、それから唇を責められて荒い息を吐き出しながら一つひとつに反応する様に抑えきれなくなってきた。
こいつは記憶が飛んでいるのだからと諌める気持ちが薄れていく。手を動かせば絡めた舌が跳ねて、余計に抑えきれなくなる。
唇を外すと快楽に身を委ねたツナがトロンとした瞳でこちらを見上げてきた。

「り、ぼー…?」

呂律の回らない淫猥な表情のツナを滅茶苦茶にしてやりたい衝動が沸き起こる。
このまま強引に身体を重ねてしまえと唆す声に一瞬従ってしまいそうになったが、自分に舌打ちすると正気づかせるために目の前の低い鼻に齧りついた。

「痛っ!」

「ぼんやりしてんな、喰っちまうぞ。」

わざといやらしく口を歪めてみせれば、赤くなった鼻に手を当てたツナが迷うように視線を彷徨わせてから呟いた。

「いいよ…シタことないオレでもよければ、しよう。」

自分で言ったくせに顔を赤らめて逃げ出そうともがき始めたツナの肩を掴んでラグの上に押し付けた。視線を逸らすツナの横顔をただ黙って見詰めていればぎゅっと眉根を寄せて苦しそうな顔を見せる。

「ゴメン、忘れて。わざわざオレなんかとしなくても他にいっぱいいるもんな。」

横を向いたまま噛み締めたせいで唇が白く歪な形になっているそれに指を這わせると、オレの視線から逃れるように瞼を閉じた。そんな頑なな態度のツナの本心を垣間見てニヤリと口許が緩む。
一つだけ欲しかったそれが今目の前に転がっているのだと知って笑い出したくなったが、それを手に入れるためにはまだ足りないピースがあった。

どんな女よりも魅惑的な唇をこじ開けて親指で噛み締めていたそれをな撫でれば迷うように震えて、いまだ下着の中に入ったままだったオレの手に気付いてモゾリと身動ぐ。
バツの悪い顔をしたツナの萎縮した手の中のそれを掴んで顔を近づけていくと、逃げようかそれとも受け入れようかと逡巡している隙に顔を覗き込んだ。

「どこの誰よりもお前がいいと言ったらどうする?」

その言葉に驚いた表情で視線を合わせたツナに唇を寄せ、触れる寸前でぴたりと止めた。

「お前はオレに何をくれる?記憶のない身体か、それとも本当のツナか。どっちだ?」

「あ…っ、」

震えるツナの指が恐々と頬に触れた。

.







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -