リボツナ3 | ナノ



8.




触れ合った唇は、重ねるときと同じくらいゆっくりと離していった。
突然の行動に戸惑うリボーンを余所に、触れた頬に指を滑らせ視線を逸らさずに見詰めあう。
綺麗だな…と、見詰める度に思う。顔の作りも、その佇まいも。
遠くで眺めると胸が詰まり、近くで見詰めると身体が震える。

重ねた唇から吐き出された息が唇にかかり、やっと意識が追いついたらしいリボーンは目を瞠っている。
それに淡く笑いかけ、背中に腕を回す。
スーツの背に手を這わせれば、今度は上から唇が落ちてきて逃げることなく受け止めた。
軽く触れては少し離し、また重ねていく。
冷たく見えるそれは、触れれば存外暖かい。目を瞑り暖かい感触に身を委ねていると徐々に深く重なっていくから合間に小さく待ってと呟いた。

「ツナ…」

そんなに恨みがましく見ないで欲しい。身体に燻っている熱は互いに消えてはいないのだから。
それでも、どうしても言いたい一言がある。
4年もの間に育って膨らんだそれは信じられる唯一の気持ちの在りかだ。
背中から手を外し、オレの顔の横を囲っていた腕に自分の手を這わせると、気付いたリボーンが手に手を取って絡めていった。しっかりと、握り締められた指はこれから紡ぐ言葉を思って少し震える。

「好き、なんだ。…ダメツナだからどこがいいんだか分からないし、正直好きって言われても信じられないけど。でも、オレがお前を好きな気持ちだけは信じられる。……大好き。」

「………」

勢いじゃなく、やっと告げることができた言葉にリボーンの頬が赤みを差していく。
チッと舌打ちして握っていた手をひとつ解くと染まった顔を隠すが、白い手が余計に赤みを強調していた。
可愛い。
不意打ちだったせいか、中々引かない熱に視線を彷徨わせているリボーンの顔を覆おう手にひとつキスをする。唇で軽く触れた手は少し冷たくて、ひょっとしたら緊張しているのかもしれない。

「リボーン?」

呼べば戻ってくる視線に知らず笑みが零れた。

「小悪魔が…。」

ブツブツ小さく呟く声がそんなことを言っていたけど何のことだろう。
目を閉じて待っていると、ほどなく落ちてくる唇に身体の力が抜ける。
片手は握られたまま、もう片方は後頭部へと差し入れられて掬い取られた。
ゆっくりと、深く重なっていく唇に息が乱されていく。
握り合っている指が徐々に縋るそれへと形を変え、縋るもののないもう片方の手はリボーンの肩へと辿っていった。
息をつくことさえままならない程貪られ、段々と身体の中の種火だった熱が大きく育つ。
伸し掛かられた身体の上にある重みにすら疼いて、吐いて出た息に甘さが混じった。

「ツナ。」

やっと唇を離し、そのまま耳元へと辿った唇が名前を呼ぶ。
鼓膜を叩く低い声にすら感じて、びくりと肩を震わせるとその反応が気に入ったのか耳元に口を付けたまま喋りだした。

「信じられないなら、信じるまでずっと一緒にいてやる。どこにも行かねぇし、行くときは今度こそ連れてく。」

「っ…!ふっ!」

堪えきれなかった涙がまたも流れていく。今日は泣いてばかりだけどそういう日もたまにはあると言うことにしておいて欲しい。
自分の気持ちに気付いて、形になるまでにかかった時間は長いかもしれないけれど、待っていてくれた。歩調の違うオレとリボーンはこれからも色々あるかもしれない。
それでもリボーンはきっと待っていてくれるし、オレも一歩踏み出してみよう。

「オ、レなんか…あいしちゃってるんだからな。」

泣き顔のままへにょりと笑って呟けば一緒だぞと笑い返される。

「本当に?」

「当たり前だろ。」

くすくすと笑い合いながら、互いの衣服を落としていく。邪魔な布もなくなって肩から背中へと手を滑らせていると、同じように脇腹から胸へと意図を持って触れてくる手に喘がされた。
漏れた声の甘さに一瞬羞恥が戻ったが、すぐに指と唇で胸を弄られ意識が遠のくほどの気持ちよさにそれもどこかへ行った。

「随分気持ちよさそうだな…。」

またも膨らんできた胸の飾りを摘まれると、そこから溶けてしまいそうなくらい熱くなってきた。声と一緒に漏らす息さえ敏感に拾う肌に、違う涙が零れる。
今までとは異なる感覚は、リボーンの手が触れる度に強くなっていく。

「ど…なっ、てんの…?」

頭を振ってやり過ごそうとするのに、腰から腿へと手を滑らせていくだけで嬌声が上がる。
元々上手なのだろうリボーンとのセックスは、過ぎる程の悦楽をもたらすものであったのだけれど。
今のこの状況は、今までより凄い。
触られているだけでこれなら、中で感じたらどうなるのか。
思わず考えてしまえば、ズクリと中が疼いた。

「イイ顔になってんぞ。」

「ば…か……。」

下から覗きこまれて恥ずかしさに手で顔を隠す。すると嬲っていた胸元から、腰へと唇を這わせて吸い付かれた。腰骨から内側へと辿っていくそれに、やり過ごせない熱が溜っていく。
触られてもいないのに起立しはじめているツナ自身に指を絡ませられて息を飲んだ。
上下にゆっくりと扱かれると芯を持ち始め、溢れてくる透明な液が卑猥な音を立てて耳まで犯される。

片膝をリボーンの肩に掛けられると後ろまで晒す羽目になった。慌てて逃げようとしたが、膝裏を掴まれ固定されて動けなくされる。

「いや…ぁ!」

両手で顔を覆い、首を横に振るが許して貰えない。
固定されたままでいると、後ろの窄まりに息が掛かって身体が硬直した。
それに構わず、熱く湿った何かが触れていく。
最初はそっと触れていたのに、思わず漏らした声の甘さに気付いてか徐々に大胆にそこへと這わせていった。
起立を扱く手と、後ろを嬲る舌に意識が朦朧とし始めるが、今度は違う何かが奥へと押し込まれる。
ぬめりを借りて押し入るそれに痛みは伴わず、触れていく端からぞくぞくと這い上がる熱にどうにかなりそうだ。

増やされていく指によって拾い上げられる快楽にどろどろと溶かされていると、抱えられた膝裏に吸い付かれてぎゅうと窄まりにある指を締め付けてしまう。恥ずかしさよりも物足りなさに喘ぐと、それに感づいたリボーンがニタリと笑う。

「どうして欲しい?」

分かっていて訊ねるなんて。それでも溶かされた身体には我慢がきかなくてねだってしまう。

「リボーン、のが…ほし…」

「オレの何が欲しいんだ?」

押さえきれない獰猛な雄の目をしているくせに、まだ焦らすリボーンが恨めしい。
早く言えと内腿を撫で上げ、内壁のいいところを擦る。
よ過ぎて仰け反ると喉元を甘噛みされた。

「ほら、言え。」

喉元から耳たぶへと唇が辿り、ネロリと舐め上げながら耳元で囁かれる。
消えない熱に浮かされてぽろりと口を付いた。

「…っ、おっき、いの……ちょ、だい。」

顔の横にいるリボーンにねだると物凄くイイ顔で笑っている。
擦り上げる指を引き抜くと、膝を抱えられて後ろに熱塊をあてがわれた。

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