リボツナ2 | ナノ



1.




「おい、てめーらよく聞け。」

横暴な長男、リボーンが兄弟たちを見回して言い含める。
また何か厄介事かと、少々ではなくうんざりしながらスカルは振り返った。他の兄弟たちは聞いてはいるのだろうが興味はないようだ。
オレもないんだが。

「結婚することにしたぞ。これから相手が来るからな。ちょっかい出すんじゃねーぞ。」

視線を向けているスカルは勿論、どこ吹く風のコロネロ、経済新聞に熱中しているマーモンにまで寄ると噛んで含めるように言い募る。

「とうとう…いつパパになるんですか?」

「ブハッ!!」

聞いていないようで聞いていたコロネロが、飲んでいた牛乳を噴出した。
ゲホゲホと噎せている。

「てめぇ、デキ婚かコラ!」

「そんなヘマはしねぇ。…いや、いっそそれの方が楽だったな…。」

珍しく長兄が遠い目をして呟く。どんな相手だ。
すると今まで興味なく新聞を見ていたマーモンが顔を上げてやはり興味なさそうに呟く。

「それなら何でなんだい?大体、結婚願望なんて蟻の心臓ほどもなかっただろう。」

その通りだ。あっちの女こっちの女ととっかえひっかえな長兄が態々一人の女に捕まるとは考え難い。

「ハン!アイツが手に入るなら結婚も悪くねぇ。」

気障な言い回しもよく似合うが、やはり腑に落ちない。
結婚するとオレたちに報告する理由はなんだ?

「新居はどうするんだ?」

「ここでいいんだとよ。弟が高校生なんだから面倒をみろって煩くてな。」

煩いといいながらにやけている。レアすぎて明日は槍でも降るんじゃないか?
スカルががたがたと震えていると、長兄のケータイに電話が掛かってきた。
ディスプレイを確かめると嬉しげに目を細める。
これは噂の相手か?

「チャオ。愛してるぞ…何だ照れるな。……ああいいから来い。待ってるぞ。」

最後にチュっとケータイにキスをしている長兄に、兄弟一同鳥肌が立った!
ハルマゲドンって明日だったっけ?!世界の終わりだ!
あまりの気持ち悪さに吐き気を催していると、リボーンが眉を寄せて兄弟たちを眺める。

「何だ?変な面して。…まぁいい。それで今日やってくるからな。一応言っとくぞ。」

「って、アンタ報告遅すぎだ!」

「いいじゃねーか。てめーらには関係ねぇ。」

「あるだろーが!いきなり他人と一緒に住むなんてできるかコラ!!」

ピンポーン!
軽いチャイムの音が騒がしい居間に鳴り響く。
にんまりとご機嫌なリボーンがダンスでも踊るような足取りで玄関に向かう。

「今更なに言っても遅いんでしょうね…。」

「諦めなよ。ボクはボクのテリトリーに入ってこなければいいよ。」

「ったく、こんな男所帯にわざわざ嫁ぐヤツの気がしれないぜ!」

スカル、マーモン、コロネロが三者三様に呟くと、居間のドアが開いた。
ほっそりとした身体が滑り込んできた。

…アレ?

「ツ…ツナヨシ?」

「あ!マーモン!ごめんな…コイツから聞いた?」

どう見ても男だ。ちょっと小柄だが、確かに可愛いかもしれないが、間違いなく男だ。
スカルが目を見開いて硬直していると、横から名指しを受けたマーモンがやっと解凍される。

「…どういうこと?ねぇ、ツナヨシはボクの担任だよ?何で兄さんの嫁としてウチに来るの?!」

最後の語尾が荒い。激昂しているようだ。

「何それ??!嫁?…また…お前なんでそういう笑えない冗談言うの?ったく、はじめまして、とこんばんは。マーモン君のクラス担任の沢田綱吉です。」

バックに花が咲いたかと思うような満面の笑み。
咄嗟に反応したのは、野生的な次男。

「はっはじめましてだ、コラ!コロネロだ。」

次兄の好みのど真ん中だったようだ。
…くどいようだが男だ。

手を差し出して握り合っていると、マーモンが次兄の手を抓る。

「どうしたんだい?何かあれば言ってっていつも言ってるだろう?」

三男の意中の相手でもあるらしい。

「それがさー…住んでたアパートが取り壊しになって、いいところが見付からないって探してたらこいつが家にくればいいって。まぁ女の子の居ない世帯だし、いいかって。ごめんな、よかったかな?」

眉をハノ字に寄せての上目遣いに、まともに直撃したマーモンと聞いていたコロネロ、スカルも撃沈した。
…もういい訳はすまい。オレの好みでもある。

「…いいか?ツナはオレが連れてきたんだから、ちょっかいは出すなよ?」

長兄の黒い瞳が底光りする。守れなきゃ殺す!とそれは言っていた。
だがしかし。
この兄弟にはそれは通用しない。

「アホらし!兄さんの嫁じゃないじゃない。ボクの担任なんだから、ボクが面倒をみるよ。」

日頃の面倒臭がりはどこへやら。マーモンが綱吉の手をしっかりと握り締める。

「いいや!てめぇはまだガキだしな。オレが色々教えてやるぜコラ!」

マーモンから奪い取ると肩を抱いて荷物を持つコロネロ。

「いつも面倒事はオレの仕事でしょう?いいですよ、オレが見ますよ。」

勿論オレも参戦する。

「…てめーら、遺言はそれでいいんだな?」

ゆらり…とリボーンが殺気を放つ。

「まとめてぶっ殺す!」

そうやって夜は更けていった。



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