7.伸し掛かってきたリボーンを両手で抱きしめた。 硬い布地越しの体温に、もどかしさが募りプチプチとYシャツのボタンを外してゆく。 こんなことをするのは初めてだ。 震える手でどうにかボタンを外し終えると、それを最後まで見ていたリボーンは複雑そうな顔でこちらを見ていた。 「初めてじゃねぇのか?」 何とでも思えばいい。 その方が面倒がないと、そう思ってくれれば。 噛み付かれるような口付けに息を合わせることも出来ず、ただ翻弄される。 顎を掴んでいた指は、そのまま首筋から鎖骨の窪みへと辿り脇や胸、脇腹と悪戯に撫でていく。 もう片方の手は乱暴になる一歩手前の手荒さで後ろを探りはじめた。 勿論そんな行為は初めてで、痛みと生理的な嫌悪感に眦からまた涙が零れる。 どこから用意したのか、生クリームを後ろに擦りつけすべりをよくしていた。 自分の体温で解けた生クリームがぐちぐちと部屋に音を響かせる。 甘く舐め取られる舌と、段々と押し広げるように中を掻き回す指に痛みよりも気持ちよさが勝り始め、思考にもやが掛かる。 ぐるりと内を擦り付けられる指がひとところに触れれば、ビクンと身体が揺れた。 ゆっくりと、まわりに指を這わせるのにそこへの刺激はほんの掠る程度。もどかしい感覚に知らず声が漏れると、くつりと耳元で笑われた。笑ったときの息さえ刺激になり、ぎゅうと指を締め付ける。 触られてもいないのにまた中心が立ち上がると、腹で擦り上げられる。 細く見えたのにきちんとついている腹の筋肉は硬くて重い。 体重を掛けられて、唇を唇で塞がれて。 しつこいけれども緩やかな指の動きで内を押し広げ、一本また一本と指を増やされる。 とうとう三本まで飲み込んだ時には、痛さよりも目の裏がちかちかするような快感に息も絶え絶えでリボーンの背中に縋っていた。 欲しいところへの刺激をお預けにされて、けれども身体の中の熱は一向に引く気配も見せない。ぐるぐると渦巻く熱に切ない喘ぎが漏れる。 ガチャガチャと金属が擦れる音とファスナーを下ろす音が聞こえ、入っていた指を乱暴に引き抜かれた。 なくなった中の圧迫感に息を吐いていると、膝裏を掴まれ抱え上げられる。 「なっ?!ちょっ……!」 慌てて下を確認するととんでもないものが目に飛び込んできた。…サイズ的にムリ。絶対。 今更怖くなったなどとは言えないが、どう考えてもそれは無理だろう。 それでも足を掴まれた状態では、首を横に振るのが精一杯だ。 見せ付けるように殊更ゆっくり近付いてくるそれに、身を固くしているといつの間にか顔を寄せられ口付けを落とされた。 舌と舌を絡ませる深い交わりに、知らず身体の力が抜けていた。気持ちよさに霞がかかる意識が、進入してくる異物によって現実へと引き戻される。 出るところではあっても、入る場所ではないそこにゆっくりと侵入するそれはメリメリと音を立てて気持ちまで抉られる。 痛い、熱い、苦しい。 気持ちよさなんてなくて、辛くて、逃げたいのに足を掴まれて広げられて、みっともない格好でリボーンの眼前に晒されている。 でも羞恥などどうでもいい。 どうにかして欲しくて、リボーンへと手を縋らせるとあの手が掬い取り手の甲に口付けられる。場にそぐわない程真摯な面持ちでのそれに、痛みも忘れてぼうっと見入った。 その顔が欲望に染まる様まで見きっていれば、今度は手の平に舌を這わせそのまま手首、腕のやわらかい内側へと辿る。背筋を這い上がる快感に身を委ねると、またも熱塊が埋め込まれた。腕を這う舌に切ない息を吐いているからか、先ほどの痛みも引いて、逆にゆっくり挿入されるそれの形までリアルに感じてしまう。 染まっていく身体と、押し広げられて埋まってゆくそれ。 はぁ…と息を吐かれて、全て埋まりきったことを知る。 身体の中にもうひとつ心臓があるみたいに、どくんどくんとそこで鼓動する熱根。とんでもないものを飲み込んでいるのに、ジンジンと痺れるような快楽が脈打つそこから広がるようだ。 取られた腕の内側を甘く噛まれて中から疼いた。 「うぁ…ぁ…!」 自分で締め付けて、自分で疼く切なさに喘ぐなんて。 腕を舐める顔を見れば、滴るような色気と滲む雄の欲望が透ける顔に自分の中の欲求が膨らむ。 気まぐれでも、一時の気の迷いでも。 欲しい、欲しいと悲鳴をあげる心に、今だけならばと緩む自制心に突き動かされる。 「もっとちょうだい…。」 ぽろりと零れた本心に、今更照れてどうする。 腕で頭を囲うと脇から徐々に胸へと舌が這う。ざりざりと舐められて硬く立ち上がった突起に軽く歯を立てられた。痛さも快感になることを知る。 長い切れ切れの喘ぎを吐けば、やっと埋め込まれた熱塊が緩慢に動き出す。 もどかしいくらいゆっくりと、慎重に、けれど的確に抉るそれに頭を振ってやり過ごそうとしたがムリだった。 逆に自分で身動ぎしたことによって、深い快感を得てしまいもっと欲しくて腰を擦り付ける。 互いに笑う余裕もなくなって、吹き出た汗と先走りの透明な液が腹を汚してゆく。 挿抽される度に聞こえる音が卑猥だ。 けれど止めることなど今更できない。 腹で擦られていたツナの中心に手を這わせ、弱い部分ごと握り込む。中と外の刺激で目の前がチカチカしてきた。上下に扱きながら中を深く抉られる。 「あぁ……!…」 先走りに濡れたそこを指で撫で上げられ、くびれに爪を立てて引っ掻かれた。痛みに中までびくりと竦むから、熱塊が一段と中で育つ。今度は先っぽに親指で押す。すると益々透明な粘り気のある液が溢れてきた。 弾けたいのに根元から握られて塞き止められている。 酷い。 身体の中を溢れる熱でどうにかなりそうだ。 中心から手を外されたが、後ろをぐりっと抉られる。 育ちきったそれは中を浅く深くと内膜の隅々まで隈なく触られて突き入れられた。 何も隠すもののないこの行為に次第に没頭していく。 広い背中にしがみ付いて、穿つ動きに合わせて腰を擦り合わせるともっと気持ちよくなる。 高みに押し上げられ、浅い息と細い喘ぎが漏れることも止められなくなった。 膝裏を高く持ち上げ、勢いよく中に突き立てられると我慢しきれずに弾けた。 2度目の吐精に真っ白になっていれば、中のリボーン自身も一段と膨らみ、内膜に熱いものを注ぎ込まれた。どくんどくんと中を熱くするそれ。最後の一滴まで注がれるように擦り付けられ、酷く敏感ないったばかりの中はそれさえよくて泣きがはいる。 「やめっ……ぁ!」 びくびくと身体を震わせて身を捩るが、入ったままのそれは一向に出て行く気配がない。 勘弁して欲しい。 力の入らない身体で、リボーンを押し退けて這い出ようと思うがまた腰を掴まれた。 今度は背中から圧し掛かられて、うつ伏せの状態で項を噛み付かれる。 一旦治まった熱が、また内から湧いてきた。内膜に居座る楔もまた熱を持ち、硬くなって存在をいや増す。 逃げようとしたのが悪かったようで、左足は下敷きにされて身動ぎ出来ず右足は抱えられて横から串刺しにされていた。 啄ばむ唇は、項から背中へと辿って背骨のひとつひとつを舐め取る。その度に敏感になった背中は波打って内膜を締め付けた。どんどんと育つ熱塊に、またも身体の奥が疼きだした。 自分の身体はどうなっているのか不安になる。 けれどもそれを凌駕する悦楽にまたも身体が動き出した。 先ほど注がれた白濁が、はじまった激しい抜き差しで内股を伝い出る。そのどろりとした感触と、いやらしい濡れた音にすら感じてうっすらと涙が出てきた。 シーツに染みを作り、縋るもののない手がそのシーツを染みごと握り締める。 そのまま意識が飛ぶまで貪られ続け… 優しかったとかではなく、欲望の赴くままの行為に胸の奥は抉られて、けれどもそれは声に出すことすら出来なかった。互いの欲に駆られただけの行為に、訳も分からず涙が零れて仕方がなかった。 . |