おまけ「確かに、アレはオレが悪かったと思うよ。でもさ…」 「でもも、だからもねぇ。覚悟を決めろ。」 「ムリ!」 「…即答するとはいい度胸だ。」 って目が怖いんですけど!! 12月の24日と言えば、クリスチャンならばイエスの生まれた日の前日ということで神に感謝の祈りでも捧げる日なんだろうけど。 何で無神論者でもある純日本人たるオレが、そんな日を祝わなければならないんだ。 理不尽だ、荒唐無稽だ。 なんて言っている間もなく伸し掛かられているんだけど?! 22日はリボーンの家に泊まっていったのだけれど、初めてだからと気を紛らわせるために出されたワイン2口で夢の住人になってしまったことは悪かったとは思っている。 思ってはいるんだけれど…。 「ちょっ…?!うわわわっ!!やめ!」 ここなら大丈夫だろうと居間のテレビの前ではじめた2人きりのクリスマス。 ケーキは母さんが作ってくれたものだけど、それ以外のビーフシチューやサラダ、ローストチキンなどはここで作って、珍しく和やかな雰囲気だなと思ったのはほんの少し前のこと。 「お子様のてめぇにはコレで充分だ。」 「って、シャンメ〇ーかよ?!」 しかもピカ〇ュウの絵が描いてあるヤツって…。ちくしょう、お子様扱いしやがってといいつつもそれを飲んで気分を出していたりなんかした。アルコール分0%だから酔わないけど、微妙な苦味があってそれっぽいんだよ。 リボーンはと言えば、お国柄のせいか人種のせいかワインだろうがシャンパンだろうが一瓶あけても平気で、その時もシャンパンを煽っていた。 その横顔が大人っぽいなと、ちょっと見蕩れていたことは認める。だけど。 「物欲しげに人の面見てたじゃねぇか。いい加減認めろ。」 「ちっがーう!オレはシャンパンが美味しいかなと思っただけで…」 「それじゃ、飲むか?」 ニヤリと笑ってシャンパンの揺れるグラスを差し出された。 淡い琥珀色の液体からは芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。 しかし。 「……いい。」 「てめぇはとことん往生際が悪ぃな。飲めもしないものをあんな顔で見てるかよ、違うか?」 「……。」 どんな顔で見てたんだろうか。 冷や汗をタラリと流していると座っていたラグの上に転がされて、体重を掛けられた。 ワイン2口でも翌朝の酷い頭痛に悩まされたのだ。もう一度飲みたいとは思えなかった。 「何も今日じゃなくても。」 「そうだな、22日でもよかったんだがな。」 「ううううっ…だからごめんって。」 言っても聞いてないし。 狼に食べられる前の子羊の気分で身体を震わせていると、襟の中に手を入れて金属の鎖を確かめている。 チャリ…と音を立てて現れたのは戻ってきた指輪だった。 「返してくれって言ったのはツナだろうが。」 「言ったけどさ…。」 オレの誕生日プレゼントだから返して欲しいと言ったのは本当だ。 深い意味はない、訳じゃないんだけど。 「もうちょっとゆっくりとがいいなーなんて…。」 しどろもどろに言えば、覆い被さった姿勢でハァ…とため息を吐かれた。 「しょうがねぇ、コレ見て勉強だぞ。」 オレの上から退いたリボーンが、黒いビニール袋を投げて寄越す。 大きくないが硬いそれになんだろうかと中を覗くと………。 「またこのパターン?」 「安心しろ、今度はオレが解説してやんぞ。復習したくなったら相手もしてやるから一石二鳥だ。」 「って、ならねぇよ!」 「ならなかったら不能っつーことだな。どれ、確かめてやる。」 「ぎゃーー!!!」 またも伸し掛かられそうになって、慌てて手に持っていたその黒い袋を投げつける。 するとそこから零れ落ちたのは、一糸纏わぬあられもない姿の美女が映っているDVDだった。 「何でそんなモン持ってんの!?」 「家光が土産だって渡したぞ。今日はオレんちに泊まるって朝会ったときに言ってやったら、ツナと見ろよって言ってな。」 「あのアホ親父〜。」 年に1度、この時期にしか帰ってこない父親は、やっぱりろくでもない大人だった。 やる気満々のリボーン相手にどうしろと。 「天国に連れてってやるぞ。」 「遠慮したい。」 ニヤーと笑った顔はそれはもうイイ顔で。それを見たオレは恐怖で逆らえなくなるほど。 「オレ様と死ぬまで付き合うんだからな。ねっちょり教えてやる。」 「ねっちょりいやー!!」 それから先は、ご想像にお任せしたい。 ひとつ言えるのはリボーンはどこまでいってもリボーンだということだけだった。 happyend? |