リボツナ2 | ナノ



30.






「…父さん、確かにオレはリボーンと2人きりは困るって言ったよ?でもさ……」

「何を言うんだ、ツナ。これで安心だろう!?」

「………」

全然安心できないと思うんだけど。

えへんと自信満々な父さんには悪いけど、これって意味ないんじゃないかなぁ。
いや、オレは確かにリボーンと他の4人の面倒も見るっていったよ?
マネージャーに戻るとも。
でもね。

「ここに5人を押し込めて、しかもオレが面倒見るのってどう?!」

「「「「「最高だ!」」」」」

「おまえら黙れっ!な、聞いたろ?こいつらと一緒なんてヤバイってば!」

「チッ、チッ、チッ!分かってないなーツナは。ここなら5人もいるから互いに監視し合って意外に安心なんだぜ!」

「父さん…オレの勘がそれはムダだって言ってるんだけど!?」

リボーンを筆頭に、並みの頭じゃないらしいお子様たちはあの手この手でオレの部屋にやって来るだろうと勘が告げているんだって。
何が気に入ったのかさっぱりだけど、コロネロやラル、マーモンに果てはスカルにまでリボーンに飽きたらオレが貰ってやると言われたのだ。
だからオレは中学生はご免なの!男だからダメって言うとラルがオレは女だって言うからね。
そもそも、一番の危険人物と一緒に住むのってどうなの。

「よかったじゃねぇか。これで公私なくイチャイチャできんぞ。」

一人掛けのカウチに座り、これ見よがしに長い足を組んですっごく楽しそうなのはリボーンだ。

「勘弁して…!大体さ、お前ら5人で生活なんで真っ平ご免だとか言ってなかった?」

そういう意味で好きだけど、公私共にっていうのは教育上よろしくない。まったくもって。
だから止めようって言ってるのに。

「綱吉を一人にさせる方が危ないでしょ?そんなことしたら明日にでもペロリだよ。」

「…そうかもしれないけど、マーモンはマーモンでオレは怖い。」

最初にチューされそうになったことを忘れていない。
ジト目で睨んでいると、横からコロネロが声を掛ける。

「オオオ、オレが守ってやるぜ、コラ!」

真っ赤になりながら宣言してくれるのは本当にありがたいんだけどね。

「リボーンがお前はむっつりだから、いきなり豹変するぞって。」

「誰がむっつりだゴラァ!」

耳まで赤く染めながらリボーンに飛び掛っていった。
おー…すげぇ跳躍力。

「オレは平気だろう?」

「…色んな意味で洒落になんないから嫌だ。」

見た目は女子高生でも通るほどだけど、本当は女子中学生なのだ。そんなラルと2人きりでいるのはリボーンと2人きりで居るのと同じくらいヤバい。

「オレなら大丈夫ですよ。」

「「パシリは引っ込んでろ。」」

リボーンとコロネロの2人に言い渡された。
いや、この5人の中では一番の苦労人だし性格的にも大人しいから一緒にいて疲れないんだけどね。
それでもしょせん、この5人の中ではだろう。

「本人たちもこれでいいって言ってくれたことだし。」

「オレ言ってない!」

「今週中には引越しを済ませような。」

「「「「「了解した!」」」」」

「オレはしてないっ!」

卒論は終わってるし、もう就職も決まった。と、言うか勝手に決まっていた。
4月になったらこいつらも高校生になる。
そうなったらいつまで無事でいられるのか……

「か、考えたくねー…」

自分の想像でぐったりしてテーブルに突っ伏していると、その向こうからリボーンが声を掛けてきた。

「ベッドは買わなくていいぞ。この前と同じように一緒に入れてやる。」

「ちょっ…バカ!」

慌てて口を押えても、もう遅い。すでにリボーンの口から発せられた言葉を拾っただろう他の5人がシーンと静まり返っているのがその証拠。
そろりと肩越しに振り返ると父さんは無言で男泣きしてて、コロネロは鼻血を吹いていた。…何想像したのか、後で聞こう。マーモンは何故かベッドのカタログと首っきりになっていて、ラルも赤くなって震えていた。だからお前ら何想像してんの。スカルはと言えば、一人思案に暮れた顔で腕を組んでいたのだが。

「大丈夫ですよ、ツナさん。オレのベッドも大きいから寝床に困ったらいつでもどうぞ。」

…さらりと言った。
うん、やっぱりお前もそいつらの仲間だ。

それを鼻で笑うと口を塞いだままのオレの手の平に大きな音を立ててキスしやがった。
恥ずかしさに慌てて手を退かそうとしたのに、一瞬遅かったせいでリボーンの手に握り締められた。

「残念だな。ツナはオレの恋人になったんだ。てめぇらは大人しく指咥えて見てろ。」

握られた手の甲に口付ける様はさながら王子様といったところだろうか。
さすがイタリア人、嫌味なくらい様になる。

「真っ赤だぞ。」

「うっうるさい!」

オレは日本人なんだからそんなことされたら恥ずかしいんだよ!
握られる手を振り解けないのが嫌だ。
一番の心配は、オレがリボーンに流されることなんじゃなかろうか…。

「愛してるぞ、ツナ。」

「…遺憾ながらオレも。」

なんてことを繰り広げていたら、父さんがオレとリボーンの間に割って入ってきた。

「まだツナを嫁にやった訳じゃないんだからな!」

「いかねーよ!」

というかいけないだろう。
アホなんじゃないかと父さんを睨むと、オレの周りを他の4人が取り囲む。

まだまだオレの周りは騒がしそうだ。





終わり



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