リボツナ2 | ナノ



22.




およそ半月ぶりとなるリボーンたちの住むマンションへと足を向ける。
マンションの近くまでスクアーロさんのバイクに乗せて貰ってきたのだが、帰り際に襲われそうになったら携帯電話で掛けてこいと言われた。…リボーンって狂犬かなんかと間違われているようだ。
ザンザスさんと違って励ましてくれただけマシだけど。

そのザンザスさんは、本人に会って来いと言ったくせに今日も女のところじゃねぇか…なんて酷いことを。まるで振られることを前提にした口ぶりにかなりへこんだ。だって半月も前に振ったのはオレで、なのに今更やっぱり好きでしたなんて言えないし…言う気もない。
やっぱり中学生には中学生らしい可愛い女の子が似合うと思うのだ。そうじゃなくとも、男とは付き合って欲しくない。
弟みたいに思ってるのも本当で、だけど今でも好きなのも本当だ。

正直、今さら何と言って声を掛ければいいのか分からないままここまで来てしまっていた。

マンションのエントランスへ続く道へと一歩踏み出そうとした瞬間、ポンと肩を叩かれる。

「ぎゃぁあ!」

覚悟もないまま、それでも話を聞こうと決めた途端にいきなり背後から叩かれて思わず悲鳴が上がった。ついでに飛び上がる。

「おま…失礼だな、コラ。」

「…って、あれ。コロネロ?」

聞いたことのある声に恐る恐る後ろを振り返ると、金髪を隠すようにバンダナを頭に被ったコロネロがオレの肩に手を掛けた姿勢のまま笑っていた。

「久しぶりだな。」

「あー…うん、久しぶり。」

気まずさに視線を泳がせていると、いきなり腕を掴まれてマンションへと連れ込まれそうになった。

「なななな…なに?」

「何ってお前、リボーンが芸能人辞めるって言い出したから止めにきたんだろうが。」

「…………えっ……?」

今なんつった?リボーンが辞める?何を?
きょとんとしていると、コロネロがやっと不審に思ったのかこちらを振り返って足を止めてくれる。

「ツナ…お前、社長から聞いてここに来たんじゃねーのか?」

「…まったく!なんにも!聞いてないよ!」

そう言えば、ここんとこ父さんの着信を拒否設定にしておいたんだった。
慌てて携帯電話を手にすると着信拒否とディーノさんからの電話が交互に着信履歴いっぱいになるまでかかってきていた。
咄嗟にディーノさんへと電話した。だって父さんだと煩いし。

呼び出し音が3コール目に入る前に出てくれた。

「あ、ディーノさん…すみません、電話に出なくて…ええ、はぁ?……はぁぁ?!あっ、ちょっと!……って切れた…」

言うだけ言って切られた電話を呆然と握っていたが、切られてしまったのだから相手が出る訳もない。仕方なく通話ボタンを切ってコロネロを振り返る。

「聞いたかコラ!」

「…マジ?」

「マジだ。ここんとこ半月くらいよくあっちの女こっちの女と出掛けてたが、まさかツナに振られたぐらいでそこまで思い詰めるなんて信じられねーぞ。」

「ちょっ!オレのせいかよ?!」

「お前以外ねーだろ。」

きっぱりと言い切られた。
コロネロの青い瞳がじっと見詰める。
本当にそうだろうか。
だったら嬉しい…って違う、違う!

「コロネロだって、友達がオレみたいな冴えない男と付き合ってるなんて気持ち悪いって思わない?」

オレだったらいくら友達でも趣味悪いって思うよ。絶対。
コロネロはすごく複雑そうな顔でこちらを見ると、首を横に振った。
お前いいヤツだなぁ。

「…8年越しの初恋らしいからな、諦めてやったぜコラ。」

「は?何が?」

8年越し?初恋?何だそりゃ???
小首を傾げているとマジマジと顔を見られる。うん?何?

「お前、覚えてねーのか?」

「って言われても。何のことやらさっぱり。」

今はリボーンが芸能界辞めるって話だったよね?それが何でそんな話になるの?
ハテナマークをいっぱいにしていると、コロネロが左右に頭を振った。処置なしって何。

「お前はどんなつもりでここへ来たんだか知らねーが、アイツはお前のことずっと前から好きだって言ってたぜ、コラ。」

「…今でも、かな…」

「それは本人に聞け。」

「うん…」

会って何を話せばいいんだろう。芸能人でいてくれ?うんん、オレはもうマネージャーじゃない。オレのことはすっぱり諦めろ?…それも言いたくない。すき…?
まで考えた途端ぼわんと耳まで熱くなった。

「……なんだ、結局ツナも好きなんじゃねーか。つまらねーな、コラ。」

「ちちちちっ違うぅ!あんな生意気なガキすすすすきなんかじゃないっ!」

「そこまで顔赤くしながらどもって言っても説得力ねーぜ。」

コロネロに鼻で笑われた。
お前も可愛くないガキだな。
でもそうやって背中をお前なりに押してくれてるんだ。
オレの周りはみんな口は悪いけど、オレのこと一番に考えてくれる人が多い。ザンザスさんといい、スクアーロさんといい、コロネロといい。
オレばっかり逃げてちゃダメだよな。

「今、リボーンが事務所で父さんとディーノさん相手に辞める辞めないの押し問答してるんだって。…オレ、行ってくるよ。」

「ああ、しっかりぶち殴ってこいよ!」

「何で殴らなきゃならないの?!」

オレの傷心分だって、訳分かんねーよ。
そうしてコロネロと別れ、今度は父さんとリボーンがいる事務所へと足早に向かった。



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