リボツナ2 | ナノ



11.




スポットライトが集中しているステージで歌う4人の少女たちには興味は惹かれず、後ろの席の反応が気になって仕方がないツナは、リズムに乗って揺れる人波にワンテンポどころかツーテンポ遅れながらもどうにか白い目でみられない程度に揺られて辺りを窺っていた。
最前列は女の子が多く、2列目は若干男も見られるのだがやはり女の子が多い。中学生と思われるような子も居て、大丈夫なのかと心配になるが大きなお世話だろうか。

やっとシャカシャカ音から解放され、ほっとしたのもつかの間。
リボーンたちの出番だ。
何かしでかさないかとごくりと喉を鳴らす。
番組も中ほどといったところでの出番に、中々人気あるんだなと少し感心したのは内緒だ。言ったら周りは勿論、本人たちにも怒られそうなんで。

ステージ中央でメイン司会と会話するリボーン。他のメンバーはそういったリップサービスに向かないのか見事に視線がどこかを向いている。その内、セッティングの関係でスカル、マーモン、ラルと次々と消えていく中でコロネロとリボーンが残されてMCが続く。
司会のアシスタントの女性アナウンサーは、リボーンの声のファンだとかでべったりと離れない。
横から後ろから女の子たちの悲鳴が聞こえてきて、いい加減に離れろと苛々してきた。
メイン司会が取り繕って引き剥がすと、やっと曲へと場面が流れる。

先ほどから見ていれば、あのアシスタントもリボーンたちが座っていた席の近くのアイドルの一人も思いっきり媚を売ってリボーン狙いがバレバレだ。ファンの子に失礼だろ、という思いとは別の胸のムカつきが収まらない。

コロネロたちのセッティングが済み、ステージのライトの量が絞られる。
少し暗めのステージで紡がれはじめた曲に少し聞き覚えがあった。
CM曲にもなっていたらしいのに、はじめてコイツらの曲だと知ったなんてマネージャー失格だろうか。

ラルの刻むドラムのテンポに乗せて、スカルのベースとコロネロのギターが重なり、マーモンのシンセサイザーが纏めているとリボーンの声がその曲へと流れていく。
声も音の一種だと初めて感じた。
一音一音拾っていけば、かなり奔放とも感じる音なのに重なると曲になっている。
歌詞が拙い訳じゃない、この曲としての完成に必要だと思うのだが歌詞を追うより気が付けば曲を身体が追っていた。
左右の女の子たちと一緒になって手を身体をリズムに乗せて精一杯音を追う。
最後の一音が終わるまで、会場を満たした熱気と同化しながらリボーンたちの存在に釘付けになっていた。


いっぱい動いて汗だくになった顔を袖で拭っていると、ステージを後にするリボーンたちがこちらを振り返る。しっかりと足を止め、投げキッスを寄越したリボーンに、ピックを投げるコロネロ、スカルは淡く笑みを浮かべるだけだったけど、それも珍しいことらしい。
真後ろに居た女の子が失神して、それを左右で支えている女の子たちが今日のスカルは余程機嫌がいいらしいと騒いでいた。
マーモンは足を止めずにこちらに手を振り、ラルは口端を上げると親指を立てて挨拶していった。
バレるとかはもう気にならず、ひとり一人に声を掛け手を振る。
どうせこんな騒がしさじゃオレの声なんて聞こえない。何せ左右の女の子たちに埋もれてしまっているほどだから。
楽屋に帰ったらかっこよかったと伝えようと視線をリボーンへ向けると、何故かザンザスさんとリボーンが睨み合っていた。
ザンザスさんはスクアーロさんに、リボーンはスカルに腕を引かれて引き剥がされると、互いに視界に入れないよう背を向けて座る2人。そう言えばリボーンとスクアーロさんも仲が悪かったと思い出して、でも何でだろうと首を傾げる。
事務所も違うし、ザンザスさんたちは滅多にこういった番組に出ることはない。音楽性の違いでだろうかと考えていると、リボーンとザンザスさんが揃ってこちらに視線を向ける。

片方はそこから早く立ち去れと視線で脅し、もう片方は聞いていけよと余裕の笑みを浮かべて。
どっちがどっちだと言わずとも分かって貰えるだろう。
ザンザスさんたちの出番は一番ラストだ。

勿論この席を用意してくれたこともあるし、何年も果たしていない約束を守る必要もあるので、リボーンに口だけでムリと伝える。
するとリボーンは一見笑っているような表情でこちらを見るのだが、目が笑っていない。ってな、オレにも義理とかあるんだからな。お前らだけって訳にはいかないんだよ!
と、声のない会話をしていれば、ザンザスさんの機嫌まで悪くなってきた。
よーく見ないと分からないだろうけど、眉間の皺が一本増えている。
…どうして。

横のスクアーロさんがそいつとの会話をやめろぉ!と声を荒げると、歌よりも彼らの行動を見ていたらしい一部の熱烈なファン(男含む)がざわつき出した。
やめて下さいスクアーロさん。声でか過ぎなんだってば。
恥ずかしさにステージから視線を逸らすしかなかった。


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