リボツナ2 | ナノ



7.




「お。」

「ムッ。」

「へ?」

「…チッ。」


4者4様な反応をしたのは、リボーンを待っていた駅でのこと。





地味な変装で足早に歩いてくるリボーンを見つけて、車から出るとお帰りと声を掛ける。いつものことだ。
この時だけは皮肉気な笑みではなく、ほんの淡い笑みを浮かべるリボーンが可愛い。


思わずにこっと笑いかけると、益々足早にこちらへと近付いてくる。
競歩並みなのに絶対に走らないところが、逆におかしいのだがそこは譲れないらしい。そんな小さなところに拘るのはガキんちょの証拠だと思うのだが言わないでいる。
笑いを噛み殺していると、横から声が聞こえてきた。
喋っている本人たちは小声のつもりだろうが、オレにはしっかり聞こえている。


「やっぱりこいつなんじゃないのかコラ!」

「ふーん、リボーンの趣味って変わってるね。」


『リボーン』という単語にピクリと反応した。すわ変装がバレたのかと、声のした方へ首を向ける。
そして冒頭へと繋がる。





声の主たちを発見すると、目を擦ってもう一度確認する。
…間違いない。


「何でてめぇらがここにいやがるんだ?」


オレの視線の先を追ってか、目敏く見つけたリボーンは隠れ切れていない彼らを見つけた。
一人は金髪碧眼、もう一人はフードを目深に被った少年。
リボーンにとっては馴染み深い2人だろう。
なんと言っても同じバンドのメンバーだ。


「コロネロ、マーモン。出てきやがれ。」


物陰からしぶしぶ出てきた彼らに、一番びっくりしたのはオレだと思う。
リボーンはと言えば、能面のように表情のない顔になっている。その顔こそ真剣に怒っているのだろうと思わせて怖い。
よく見ればリボーンと同じ制服を着ている。この制服は中等部のものだ。
と、いう事は。


「お前らみんな中学生?!」

「そうだぞ。」

「へー…!」

「おいコラ。てめーだけで納得してんな。」


衝撃の事実に、往来だということも忘れて思わず大声が出た。
回りの視線が少し気になり出したので、慌ててオレの車に3人を押し込める。


「狭いよ。」

「足が入りきらないぜコラ。」

「文句言ってんなよ。てめぇらが付いてくるから悪ぃんだぞ。」

「……。」


今どきの中学生ってこんなに発育いいんだ。それともオレが貧弱なだけ?
3人が3人とも、オレより身長がある。しかも足が…もう何も言うまい。
ちょっと黄昏ながらも車を出すと、後ろの席に座っていた金髪くんが訊ねてきた。


「てめーが沢田綱吉か?」


確かこの子がコロネロだ。
バックミラーで確認すると、本当に窮屈そうでちょっと悪いな…と思ってしまう。


「うん。オレが沢田だよ。」

「社長の一人息子だよね?」

「そうだよ。」


この子いつもフードを被っているけど実生活でもそうなんだ。
今度はコロネロの隣のマーモンが口を挟んだ。


リボーンたちアルコバレーノと言うバンドは、父さんの事務所に所属している。だから父さんのことを知っているのは分かるのだが…。
何でオレのことを知っているんだろう?隣に座るリボーンは彼らに知られたくなかったと見える。苦虫を噛み潰した表情で腕組みしている。


「あ、どこで降ろそうかな。どこがいい?」


オレが連れてきちゃったから、どこかで降ろさないとね。
すると、マーモンが答えた。


「今日はどこに行くんだい?」

「ドラマの撮影だよ。」

「ふ〜ん。たまには撮影を見学させて貰おうかな。」


そんなことを言うとは思わなかった。実はマーモンも俳優に興味あるのかな?
それだと父さんが大喜びしそう。
だってこの子、まだ線は細いけど綺麗な顔立ちをしている。その上度胸もありそうだし、いい役者になれるんじゃないのかな。
などと考えていれば、マーモンの返答がお気に召さなかったリボーンが、助手席から低い声で呟く。


「…てめぇ、何考えてやがる?」

「何にも?いいだろ、別に。」


リボーンとマーモンのはた迷惑なことに車の中で冷戦はしばらく続いた。










制服のままで行くと年齢がバレるので、一度マンションに戻る。
聞けば彼ら2人も同じマンションに住んでいるのだとか。
着替えを終えた3人をまたもミニクーパーに押し込めると発進した。


「ツナヨシはいつの間にリボーンと同居始めたんだい?」

「ん〜2週間前だったかな。」

「…お前、大丈夫なのかコラ。」

「へ?何が?」


妙に言い辛そうにコロネロが訊ねる。何が大丈夫なんだろう。
ハンドルをゆっくり切ると、クラッチを切りシフトチェンジして回転数を上げる。
それでも4人も乗っているのでいつもの加速がない。
運転に集中してしまったオレはそれ以上詳しく訊ねることもしなかった。


現場に着いてリボーンを送り出すと、リボーンはオレの後ろに張り付いている2人の仲間たちに釘を刺していった。
「余計なことは言うじゃねぇぞ。」って何のことやら。
それだけで分かったらしい2人は肩を竦めたり、そ知らぬ顔をしていた。


渋々現場に向かったリボーンに手を振ると、さてと後ろを振り返る。
金髪のコロネロは興味津々とオレを見返してきて、私服でもフード姿のマーモンは視線がどこを向いているのか分からない。


「どこ見たいの?」

「違うよ、本当はツナヨシと話がしてみたかったんだ。」

「へ…オレ?!」

「そうだコラ。お前のせいでバンドが休止になったんだからな。」

「って、オレのせい??!」


自分より背の高い2人に囲まれて、しかも内容が内容だ。
2人を連れて、手近な部屋へと引っ張り込んだ。



.










「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -