リボツナ2 | ナノ



9.




何度も何度も繰り返されているのに慣れることも出来ないキスから逃れようともがいても、顎を掴まれていては横に動かすこともできない。
後ろから覆い被さるように顔を寄せられているせいで身動きがとれないためでもある。
入り込んできた舌に歯列を割られ上顎を舐めらてビクンと身体が震えた。

「ゃ…!」

絡まる唾液に血の匂いが混じっている。いつもより強引に舌を絡め取られてついていけずに喉の奥が鳴った。
漏らす喘ぎに合わせるように身体をまさぐられて、その性急さにあがった息さえ吸い取られる。
ヒヤリとした冷気に驚いていれば体操服の裾から忍び込んだ手がするりと肌の上を這いはじめた。
自分より少し体温の低い手が胸元に触れていく、その度にぞくぞくするような何かが湧き上がる。

膨らみのない胸の先にあるそれを手の平でわざと触れられて、擦られるもどかしさに逃げることも出来ずに絡めていた舌を震わせた。
大きな手で隠されてしまいそうな胸元をゆるりと撫でられるだけで過剰に反応してしまう。この先を知っている手が止めようと身体をまさぐるリボーンの腕に手を伸ばしたが縋るだけなら意味がない。
オレの手を貼り付けたまま体操服の中で蠢く手はまるで別の生き物のようだ。
口腔を蹂躙する舌についていくことも出来ず、口端から溢れた唾液が肌を濡らす。
逃げ出さないように顎を押さえていた手がするりと外れて、下肢へと向かっても止めることも出来なくなっていた。
手の平で転がされぷくりと膨らんだ胸の先を捏ねられて漏れた自分の声に、やっと口付けが外されていたことが分かる。

自分が吐き出す息が響く階段の向こうから授業が始まる鐘が聞こえてくる。
体育に行かなきゃと思う気持ちはあるのに、足は動くことが出来ない。
その間にもリボーンの手は体操服の裾を辿ると短パンズをくくる紐へと伸びていく。
グラウンドからは笛の音と人の声が聞こえてきて、自分たち以外の日常を遠くで感じた。
いつ誰が通るかもしれない場所だというのに、行為を続けるリボーンを止められないオレはどうかしてしまったのかもしれない。
ズボンの上から緩く揉まれた中心がダメだと思う気持ちとは裏腹に硬く膨らんだ。

「ツナ…」

低く呟く声は魔力でも宿しているというのか逆らえる気がしない。
布地越しの手の動きに喉を鳴らして目を閉じると、後ろ襟に食いつかれて捲り上げられていた体操服から腕を抜かれた。
剥き出しになった肩から背中を唇が伝い、啄ばむように落ちていく。
気配も胸や下肢をまさぐる手も人間のそれなのに何故か黒豹のリボーンに襲われているような気がして後ろを振り返ると、ギラギラした瞳に射抜かれた。
一番最初のあの恐怖を思い出して逃げ出そうと踏み出した足から力が抜けて、つんのめるように階段に手をついた。

「っ!」

それでも逃げようと手を伸ばせばそれを阻むように上から腰を掴まれる。中途半端に脱がされた体操服のせいでうまく動かせない腕を後ろ手に捻られたオレは、反転させられて階段の壁に背中を押し付けられた。

「何逃げてんだ…?」

なぁ、と笑う顔の妖艶さに身の裡からゾクリとそれが這い上がる。
奥まで抜き差しされ、よかったのか痛かったのかすら分からない熱さに支配されたあの時を思い出して顔が引き攣った。
なかったことにした筈なのに忘れられなかった記憶に震えていると、そんなオレを気にした様子もなく短パンの前に手を伸ばしてきた。

「う、わ…ぁ!」

片足を一段上に置かれ、もう片方を掴まれてガバリと左右に割かれる。下着を押し上げている膨らみを見せつけられて思わず顔を逸らすと、その下着から起立を引っ張り出された。
腕は体操服ごと後ろに押し付けられているせいで動かせず、隠すことも出来ない。
伏せていた視線を恐る恐る上げるととんでもない場所にリボーンの顔があった。

「やめろよ…そんなこと、しないよな?」

嘘だろうと首を振りながら訊ねると、ニイと笑った口許から尖った牙が見えた気がしてぎょっとした。
どんどん獣に近くなるリボーンの気配に身体の震えが止まらない。
思い切り首を横に振ってやめてと声に出すと切れ長の瞳がうっとりするように細められた。

「残念だな、ツナ。お前がどれだけ美味しいのか、お前にだけは分からねぇってのが。」

「お、おいしい…って、」

食べる気なのかと目を瞠るオレに視線を寄越しながらも、見せ付けるようにそこに口を付ける。
食べられてしまうんじゃないのかという恐怖と、それからほんのわずかな期待が入り混じる。
そんなオレをよそにリボーンは敏感な先をパクリと咥えた。

齧られるかもしれないと怯えていたオレは、齧るどころか今までにない気持ちよさにびっくりして腰が砕ける。温かくぬるりとしたそれで直接舐められことにどうすればいいのか分からなくなって、ただ呆然と下肢にうずくまる黒い髪の行方を見詰める。
そういう行為をすることもあると聞いたことはあったが、それがどれだけ気持ちいいことなのかをオレは知らなかった。
欲望の先を口に含められ舌で擦られることのよさが、罪悪感よりもイきたいという気持ちを押し上げていく。
自分で射精するためのそれとはまったく違う快感に逃げ出そうという気持ちが萎えて足に力が入らない。
ガクガクと震える足を掴まれて邪魔だとでもいうようにもっとそこを広げられる。
溢れ出る先走りを舐め取られ、吸い付かれてしまえばもう逆らえない。
腰を掴まれてリボーンに下肢を差し出す格好になってしまっていても、止めることも出来ずにされるがままに身体をひらいた。

「イイ格好だな、ツナ。」

「やぁ…っ!」

オレの腰を掴んでいた手がスッと下に伸びて尻の奥へと伸びていく。恥ずかしいポーズを強要されながらの行為に涙は滲んでも、どこか期待の色が消えていかない。
自分の起立を舐められながら、尻の間を行き来する指が次第に奥へと入り込んできて思わず声をあげた。

「いたっ!やだ…ヤ、ぁ!」

痛いのに、苦しいのに言葉ほど嫌ではない自分に気付いて顔が赤らむ。そんな自分を否定したくてぎゅっと瞼を閉じると、リボーンの指は躊躇いなく中へと吸い込まれていった。
血の乾いた指先が無理やりそこを押し広げていくから引き攣れるように痛い。なのにリボーンの口の中で膨らむ起立は萎れるどころか限界まであと少しのところまできていた。

「だめ、だめぇ…っ!!」

こんな誰が通るとも知れない場所で、しかも口の中になんて。
力の入らない手でリボーンの顔を押し戻そうともがいても、獣のときのような猛々しさに身体が竦んで思うように動けない。
怖い、痛い、だけど気持ちいい。
膨らんだ先から溢れる透明な体液を根元から舐め取られてイきそうになる。首を振って正気を保とうとするオレの奥へと入り込んできた指が、快楽に蕩けた隙をついて抜き差しをはじめる。
その痛みに身体が強張れば、宥めるように起立をしゃぶられて喘ぎ声が漏れた。喰いつかれる勢いでのそれに経験のないオレは抵抗出来る筈もない。
広げるために増やされていた指が中を掻き回して、それが痛いだけの行為でなかったことを思い出す。
熱の塊で狭い中を広げ、擦られた記憶にリボーンの指を締めつけてしまえば、起立を咥えていた口元から淡い笑いの気配を感じた。

「っ!」

全部、リボーンの手のひらの上で踊らされているような気さえする。
怯えも悦びも、嫉妬さえ逆手に取られて使われているかもしれないと気付いても、この場所から逃げ出せなかった。
今だけなら、この瞬間だけはオレしか考えられない筈だ。女教師も女子生徒も、白蘭さえ消えて、ここにあるのはオレを求める欲望だけ。
オレを見詰める理性の箍が外れた視線の熱さに、長い指を飲み込んでいた奥がぞわぞわと疼いた。まるで飢えているようにもっと欲しいと指を食む動きを止められず、そんな淫らな自分を恥じてリボーンの目を覆い隠す。
唾液と先走りのまじる音と、それから中を弄る音が踊り場に小さく響いている。
堪え切れず漏れる荒い息遣いの合間に喘ぎがまじり、それを聞いているだろうリボーンは口を離すとオレの身体の上に乗り上げてきた。

「イきたいか?」

なんでそんなことを聞くのだろうか。
リボーンが言っていたようにオレの体液はおいしいのだから、オレの意思なんて聞かずに好きにすればいいのに。
嬲られ、硬く昂ぶった起立は、もう我慢の限界まできている。あと少しで弾けてしまいそうなそれを掴んだまま訊ねるリボーンの顔から手を外して視線をあわせれば、獣じみた視線の中に違うものを見付けて戸惑った。
イきたいと言ったらリボーンとの関係が変わってしまうかもしれない。何故かそう感じて素直に頷くことが出来なくなる。
だけど正直な身体は先を望んで、先の割れ目から体液をしたたらせた。

「ここで我慢してもそんな状態じゃ歩けねぇだろ?…気持ちよくなりたくねぇのか?」

確かに短パンを履いてもここまで膨らんだ起立は隠しきれないと思う。指摘され、唆されて逃げ場を失ったオレの足を掴んだリボーンは、自らの前に手を掛けるとスラックスの中から熱塊を引き摺り出してオレの尻の間に押し付けてきた。

「ひっ…!」

ドクドクと脈打つ熱い起立を感じて悲鳴が漏れた。
一番最初の黒豹姿のリボーンとの酷い行為を覚えている身体が逃げを打つ。そんなオレの肩を掴んだリボーンは、そのまま唇を上から塞いできた。
自分の匂いのする口付けに眉を顰めて首を横に振っても、すぐに差し込まれた舌に蕩けていく。キスの気持ちよさに身体の力が抜けて、抵抗が緩んだ隙にリボーン自身が入ってきた。


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