3.温かい口腔に包まれて瞬間、息が止まる。 サービスのいい愛人たちはそれぞれオレを楽しませようと口淫をしてくれることもあるが、ただの排泄行為のようであまり好きではなかったのだ、今までは。 歯が当たらないように舌が這い、じゅぷっと音を立てて吸い上げられて痛いほど自身が起ち上がった。 「これで萎えたらどうしてくれようかと思ったが、しっかり起つじゃねぇか。よかったな、インポじゃなくて。」 「誰が…!」 初めて例の愛人にされたときは確かに萎えたが、それ以外では大丈夫だった筈だ。 キッと足の間からこちらを覗くリボーンを睨み付けると、膨らんだ先のくびれをチロチロと舐められた。 見せつけられるような行為に羞恥で視界に滲む。 「イイ顔するな、もっと苛めたくなる。」 「っつ!」 ぬるりと溢れる粘液が一筋竿を伝い濃くはない叢へと零れ落ちる。 膝を割られ、間近でそれを視姦する視線に曝されてあまりの恥ずかしさに目を閉じた。 「…ツナ、そんな顔したら逆効果だぞ?」 もっとイイ声で啼けと皮膚の薄い腿の内側に吸い付かれ情けない声が漏れる。ぷるんと震えた起立からはとめどなく粘液が溢れ出た。 そこをもう一度咥えられ、わざと大きな音を立てて嬲られる。 「んっ、んふ!ん、あっ!あふっ!」 抑えようと閉じていた唇から声が漏れ、一度零れた声は二度と抑えることはできなかった。 覚えのある追い立てられ方なのに、気持ちよさが格段に違う。 力の入らない手でリボーンの髪の毛を掴むと、こちらを振り向くことなく先を強く吸い付かれ思わず手に力が入る。 強く握ったせいでか中心からやっと顔をあげたリボーンが、呆れた声で呟いた。 「お前、本当に男は初めてなんだろうな?」 「はじ、初めてだよっ!そういうリボーンこそ上手いし、嫌がらないし…やっぱり男の愛人いるの?」 どういうつもりかは知らないが、普通は同じものがついている男とするなんて気持ち悪いと思う。しかも手だけならともかく、口でもなんてオレならご免だ。 そういう性癖があったのかと足の間に居座るリボーンに視線を落としていると、筆で書いたように真っ直ぐな眉がピクリとひとつ跳ね上がった。 「んな訳あるか、アホが。ここに毛の生えてねぇようなガキの頃から面倒見てやってたんだぞ?これくらいどうってことねぇな。」 「なっ、バッ!生えてたよ!10年前だって生えてました!」 ニヤニヤと性質の悪い顔で下生えをなぞられて、カッと頬が染まる。こんなことなら一緒に風呂なんて入らなければ良かった。 今更10年前の行いを悔いても遅いが、それでも後悔せずにはいられない。 赤い顔でニヤつく男の顔を睨んでやれば、触っていた下生えを掻き分けて根元をぎゅっと握られた。 「はぅ…んン!」 強すぎず弱すぎない絶妙の力加減で扱きあげられてビクビクと身体が跳ねた。 それを見て手を緩めずに膝を抱えられ赤ん坊がおしめを替えるような態勢を取らされる。 何も隠すことも出来ずに尻の奥まで覗かれて必死に手を伸ばすと隠した。 「邪魔すんな。ピクピクして可愛いんだぞ。」 「どこ見てんだ、変た…あっ、ん、くっ!」 罵倒してやろうと口を開けると強く扱かれて変な声が漏れた。甘い女のような喘ぎ声に押さえていた手が緩むとその隙間から強引に手が入り込んで窄まりをそろりと撫でていく。 銃を握る節くれ立ったその指先がつま弾くように触れていくと、自分でも分かるほどぎゅっと窄まった。 「やめ、」 「られる訳ねぇだろ。」 触れられたことのないそこに指を押し込められて怖さに膝が震えだした。何かのぬめりを借りた指先は痛みも引っ掛かりもなく奥へと簡単に潜り込む。 違和感だけを残したまま指が進んでいき、何かを探るように動かしはじめた。 「この奥にイイところがあるんだぞ。知ってるか?」 「しら、な…いっ!」 確かめるように押さえられたり、少し強めに擦りあげられたせいで声が掠れた。 それでもリボーンが言うようなイイ場所なんてある訳ないと頭を振って拒絶していると、掠めた指の先を中でぎゅうと締め付け、無意識に身体が縮こまる。 それに気づいたリボーンがそこをもう一度指で擦ると、もう片方の手で扱かれていた起立が一層堅く膨らんだ。 「ひっ…ひぁあん!」 「ここか。」 執拗に指で弄られて声も殺せず悲鳴を上げた。喘ぎですらない。疼きなんていう可愛げのある代物じゃなく、神経を鷲掴みにされたように身悶えながら声を上げる。 いつの間に増えたのか3本の指がぐちゅぐちゅと掻き回す音を立てながら尻の奥を犯していた。 伸し掛かるリボーンの肩に手を掛けて快楽に溺れた目で顔を覗きこむと、いつもの余裕顔がどこかに消えていた。 思いの外真剣だった顔に手を這わせるとわずかに指先が濡れた。汗だった。 汗を掻くほど真剣になるリボーンなど想像もつかなくて、好き勝手に奥を弄られる屈辱感が吹き飛んだ。 「りぼー…ん?」 汗で乱れた前髪がはらりとリボーンの額にかかり、それを指で戻してやればふっと口許が緩んで見えた。 「痛くしないとは言えねぇが、ちっとはマシだろ。」 「なにが…」 何の話だと続けようとして寛げた前から現れたそれを見て絶句した。 体格も人種も違うからそれなりだと思っていたことも吹き飛ぶほどの大きさに身体が固まる。 そこから離れない視線の先でリボーンの起立が尻の間に埋められていく様を追って、見えなくなったところでハッと正気付いた。 「待て待て待て!それどこに挿入(いれ)る気?!」 「どこってここに決まってんだろ。」 片膝を押さえつけられ、もう片足は割り広げられた格好で窄まりの周りを先でつつかれ慌てて暴れはじめた。手足をバタつかせても今更遅く、腰を押さえ付けられてぬめりを帯びた熱塊が無理矢理押し込められる。びりっとした痛みに身体が強張り、引き裂かれる痛みで逃げ出そうという気も失せた身体を撫で付けられても反応することもできない。 「息を止めるな。ゆっくり吐け。」 そう声を掛けるリボーンも苦しそうな声を出していた。 その声に頭を振って出来ない出ていけと懇願しても叶えられることはなく、そのまま奥まで突き立てられる。 腹の底までみっちりと埋まっているような感覚に指一本動かすこともできず、されるがままでいるしかできない。 恨みがましい目で下から睨んでいると、やっと収めきったリボーンがふっと笑う。 「これのどこがプレゼントだと怒るか?」 当たり前だ。誰が誕生日に男と一線を越えることを嬉しく思うものか。どう考えても悪夢だろう。 それでも痛みを堪えて噛み締めた唇を解くことはできなくて、奥で馴染ませるようにゆるく動く起立の動きにつられそうになりながらも眉間の皺を増やしていると、突然ドアの向こうが騒々しくなる。 ここはリボーンの取ったスイートだ。関係ないだろうと思っていたのだが、騒ぎは益々大きくなるばかりだ。 しかも聞き覚えのある声まで聞こえてくる始末。 「…ちょ、なあ……獄寺くんの声に似てない?」 「ああ。」 汗に濡れたシャツ一枚の上に膝を抱えられてあまつさえ起立を押し込められたままの体勢で、この部屋の向こうにある出入り口のある部屋へと繋がる扉を凝視していた。 そんな騒動など気にも留めないリボーンは、意識が他に向いている隙に無理矢理腰を進めてくる。 「痛っ!」 「嘘吐け。痛いばっかじゃねぇだろ。」 そう言うとギリギリまで引き抜かれた起立をわざとゆっくり挿し入れられて喘ぎ声が漏れた。 愛人たちだってここまで媚びた声は出さないというのに、止めることも出来ず羞恥でどうにかなりそうだ。 その声に気をよくしたリボーンが、少し起ち上がってきたオレの中心を掴むと挿抽と合わせて扱きはじめた。 「はぁ、はっ…あっ!」 自分の声に耳を塞ぎたくなって、それでも止められずに喘いでいると、扉の向こうから爆音が響き「10代目!」と叫び声が上がる。 見られちゃいけないと思うよりも、吐き出したいという欲求に突き動かされて足をリボーンの腰に巻きつけているとどこかでバタン!と音が聞こえる。それさえもどうでもいい。 シャツ越しにしこった胸の先をつままれて、腰がびくびくと震えたところを思い切り突き立てられた。 仰け反り、自らの動きで一層深く繋がったオレたちはほぼ同時に熱を吐き出した。 自分の腹を熱い迸りがかかり、シャツを汚していく。奥では叩きつけられた白濁がドロリと肌を伝って落ちていく。 荒い息を吐き出していると、横からの視線があるような気がして横目を向けた。するとそこには目をまん丸にした獄寺くんが呆然とした表情でこちらを眺めていた。 「なっ、あ…うえぇぇえ?!」 まともな言葉も出ないオレは獄寺くんに恐る恐る顔を向けると、それに気付いていただろうリボーンがオレの腰を離さないままで顔を寄せてきた。 逃げるという選択肢を放棄してしまったオレは、寄せられた唇にあっさり掴まって口付けられる。 これも覚えのあるキスのせいでトロンと蕩けた表情を晒してしまった。 長い長い口付けから開放されたオレはソファの上で身を投げ出した。 それをただ見ていただけの獄寺くんにリボーンは声を掛ける。 「こーいうこった。見ての通り強姦でもなけりゃ、セフレでもねぇぞ。」 「そんな…10代目はノンケだった筈。ここに来られたのもあの女と会うために…」 目が泳いでいる獄寺くんの声は屍のようだった。けれど… 「ちょっと待った。…獄寺くん、あの女って言ったけど君、知り合い?」 言葉に引っ掛かりを感じて問いただすと銀糸の髪がぎくりと揺れた。 それだけで大体が飲み込める。 床に落ちていたタオルを投げ付けて叫んだ。 「帰れ!バカ!」 「す、すみません!」 タオルを頭に貼り付けたまま逃げ出ていった獄寺くんの背中にバカバカバカと繰り返した。すると上からうっ…と詰まった声が聞こえてきた。 「そんなに締め付けんな。」 「なっ、」 よくよく考えるまでもなく、まだ中に居座ったままのリボーンをぎゅっと締め付けてしまった。もういい加減に出ていって欲しい。 それでもこれだけは聞いてみたかった。 「お前知ってたのかよ?」 「まぁな。獄寺がてめぇを狙ってたのも、女を使ってここにおびき寄せたのもな。」 最近はボンゴレにあまり顔を出さなくなっていたというのに、やはりリボーンは侮れない。というかオレが引っ掛かりやすいのだろうか。 顔に手を当ててため息を零すと、やっとリボーンの起立が奥から出て行った。 コプッと腿を伝う白濁のぬめりに眉を顰めて身震いした。 離れていく人肌に一抹の寂しさを覚えたせいだ。 どうやら獄寺くんの下克上(?)を阻止するためにやってくれたらしいリボーンに、ホッとするどころかイラつきを隠せない。 男なんか冗談じゃないと今でも思っているのにどうしたというのだろうか。 怒鳴る気も起きず頭をひとつ振ってソファの上から立ち上がると、よろけながらバスルームに足を向ける。 壁伝いに進んでいくと、唯一身につけていたシャツの襟裏を後ろに引っ張られ体勢を崩したところを抱え上げられた。 「リボーン!」 「っとに、てめぇはダメツナの癖に素直じゃねぇな。」 脇と膝裏を抱えられる格好に放り出されては堪らないと首にしがみついた。 その無意識の行動に含み笑いを浮かべたリボーンに気付かないまま。 . |