リボツナ2 | ナノ



2.




案内された部屋に辿り着くと、そこはオレが予約していた部屋とは段違いのスイートだった。
仕事柄こういった部屋に泊まることもあるオレだが、今日は気兼ねなく普通を満喫するつもりだったのでよもやこんな部屋に通されるとは思ってもいなかった。

もう少しまともな格好でくればよかったと思ったが、これはリボーンによる突発イベントだ。一々気にするだけバカらしい。
そう開き直ると後ろからリボーンが入ってきた。

「いい部屋だろ?初めてくらいは雰囲気を出すのも悪くねぇしな。」

「はじめて?」

不穏な単語を聞いて思わず訊ね返す。するとそれには答えずにいいから座れと手を引かれた。
強い力に逆らえず荷物を床に置くとソファの上に据えられる。
その横に座ったリボーンが、何故かオレのジャケットを剥ぎ取るとネクタイにも手を掛けてきた。

「……リボーン、なにするつもりなのかな?」

「オレのプレゼントとツナのプレゼントを一緒に消化できることだ。」

そう言うと抜き取ったネクタイを床に放って、ベルトにまで手を掛ける。慌てたオレはその手を掴むとソファの隅に逃げ込んだ。

「いいいらないよ!部屋着に着替えるなら自分で脱ぐって!」

「そうか?その状態だと放っておいてもなかなか治まらねぇと思うがな。」

リボーンに指摘され手で覆っていた中心をさらにぎゅっとシャツで隠す。
半起ち状態のそこを握ったせいで余計に膨らんでしまい知らず顔が火照ってきた。

「なんだ?オナニーショーでもおっぱじめる気か?」

「お、おな…しないよ!大体なんでそこまで分かってて邪魔するんだよ。お前フロント横で待ってた彼女のことも分かってたんだよな?」

「勿論だぞ。」

ニヤリと笑う顔に死ぬ気の炎をともした一発をお見舞いしてやりたい。
この自分の誕生日に至るまで休みらしい休みもなく過ごしてきた。愛人はいるが彼女たちと過ごす夜は気が抜けないせいで楽しむということもできない。

それならばと、この日を利用して前々から一夜を過ごしてみたいなと思った取引先の女性に声を掛けてみたのだ。
多分、オレの立場を見越してだとは思うがそれでも今日ここに呼び出すことに成功したというのに。

ソファの隅からリボーンを睨みつけていると、そんなことなど気にも留めない様子でオレのシャツに手を掛けた。
グッと襟元を掴み取られたところで慌てて片手でそれを押し止める。

「お前男もいけたのか?」

愛人の多い男だけど、同性にまで手を伸ばしているとは思ってもいなかった。
オレの質問には答えず、無言のままで距離を詰めてきた。片手で押し返していると、もう片方の自身を隠していた手がお留守になった隙にそこをスラックス越しに少し強めに下から撫でられる。

修行僧でもないのに、長すぎる禁欲生活のせいで期待していた自身が触れられたことによって膨らんでいった。相手は愉快犯もしくは生徒いびりの一環くらいにしか思っていない相手にいいようにされる悔しさで、目の前にある肩を打ち付けてもびくともしない。

逆に両手がそちらに向かった分だけ動きやすくなったのか、もっと強引に身体を寄せて体重を掛けるとオレの上に伸し掛かってきた。
肘掛によってそれ以上逃げ場のなくなったオレは、ブンブンと頭を振って懇願する。

「やめろよ。そんなもん触っても楽しくないだろ?触りたきゃ自分のさわっ…ふっ、んン!」

窮屈になったスラックスの前を下から形が分かるように撫で、シャツの裾から入り込んだ手があばらを辿る。
女とは違う指の感触と、知っているといわんばかりの動きに思わず顔を覗き込む。
すると笑っていた口許とは逆に視線がどんどん鋭くなっていく。

「ちょ、なん…」

「てめぇ、愛人に開発されてんじゃねぇぞ。」

思い当たりのあるオレは言われて耳まで熱くなった。
一人、愛人でも特にあちらの方面の関係が濃い女性がいる。積極的というか情熱的というか、彼女とする時には思いもよらなかった場所を弄られて気が付けば天昇させられていた…なんてこともしばしばあるくらい上手な女性だった。

その彼女と同じ手順で追い上げられて頭が混乱する。
あばらから脇へとつっ…と辿る手が気まぐれのような胸の先を掠め、またすぐに脇へと戻っていく。もどかしい動きにくぐもった声が漏れた。
指の動きに気を取られ前が疎かになっていると、すっかりスラックスが全開になっていた。

「うえぇ?やっ、待て、待て!」

ずるんと下着ごと剥かれて悲鳴を上げる。膝でわだかまるスラックスと下着のせいで上手く逃げられないオレはそれでも肘で伸し掛かってくる身体を押し返そうと必死になっていた。

「何が悲しくて誕生日に男としなきゃならないんだ!しかも、お前…ちょっと前まで赤子姿な上に家族同然に暮らしてきたカテキョーのセンセイだったじゃないか!」

「だがそれもツナがイタリアへ渡る前の話だ。今じゃ呪いは解けてめでたくツナより年上のイケメンだぞ。顔よし、腕よし、頭よしの3拍子揃ったな。安心して抱かれろ。」

「いっっっ個も安心するところはないよ!」

手で隠していた剥き出しの中心をその手ごと掴まれてまた悲鳴が上がる。

「ひぃぃい!変なとこ掴むなあ!」

「往生際が悪いぞ。生娘でもあるまいし、どのみちオレにされてたようなモンなんだから今更ガタガタぬかすな。」

自分の手より一回り大きな手が熱を持った起立を掴んでぐっと扱きあげる。喉の奥で妙な声が出てその声の甘さに自分でも恥ずかしくなった。
自覚すればするほど起立からは先走りが溢れ、握らされている自分の手がぬめっていく。

自慰をさせられていることにではなく、見られていることと覚えのある動きに身体が熱くなってきた。嫌だと拒絶する気持ちより先に反応を返す自分が恨めしい。
そちらに意識を持っていかれている隙に首筋を舐め取られて分かっているような唇の動きに悶えた。
動脈の上を少し強めに吸いつかれると弱いということを知っているのは件の愛人だけだ。

強弱の付け方が絶妙な唇は、そのまま鎖骨までくだるとそこに舌を這わせ始めた。
舌がくぼみをなぞる度にびくんと中心が跳ねる。
手を握られたまま跳ねる起立を扱かれると自分の手が益々濡れていく。
卑猥な音を立てる自身を諌めることもできなくなった。

それでも恥ずかしさに目を瞑り横を向いて肘掛けに顔をうずめていると、頤(おとがい)をベロリと舐め取られた。

「な…」

「覚えがあるだろ?」

「…あり過ぎて泣けてくるよ。」

「あぁ、ヨ過ぎてだな。」

こんちくしょう!と叫びたくとも今は口を大きく広げることも出来ない。ヘタに開けばまたおかしな声が出てしまいそうだった。

「おかしくねぇぞ。想像以上にイイ声だった。おら、もっと啼け。」

言うと起立を握らされていた手を押しやられ、リボーンの手で直接扱かれる。覚えのある手より2回りは大きいが、動きはより繊細でピンポイントにイイ場所を擦り上げる。
ひぅうん、と漏れた声にもっとだと言うように手の動きが激しくなっていく。

のけ反る身体はリボーンの顔に擦り付けんばかりの勢いで跳ねあがり、腰を抱えていた手がすりっと上がって胸の先を弄りはじめた。
ツンと起っていたらしい胸の先を指で抓まれて、リボーンの手のなかの起立が一際膨らむ。

羞恥心や嫌悪感は薄れていき、そこに残ったのは吐き出したいという欲求だけだった。

「も、出るっ…!」

切羽詰まった声に呼応するように起立の先の割れ目に爪を立てられて、じらすように握られながらつつかれる。
シャツの上からも固くしこった先に噛みつかれて吐き出せない快感に啼いた。

「出したいってば!出させてっ!」

とうとう根を上げたオレはそう叫んだ。
ハッとしても後の祭りだ。

塞き止められていた射精感を扱かれることで解放され、気付きかけた危機感もすぐに薄れていく。強弱をつけて追い立てられると殺しきれない声が部屋に響いた。

「んっ…ふ、ふッ…んンっっつ!」

酷似している手際よりもっとイイポイントを押さえられ、あっという間に吐き出した。
リボーンの手を汚したことなどどうでもいい。
荒い息のままオレの上に乗っかるリボーンの髪の毛を掴むと、感慨深げに白濁を眺めていた黒い瞳が振り向いた。

「聞きたいことがあるんだけど、」

「奇遇だな。オレも聞きてぇぞ。」

白々と返すリボーンを睨みつけながら、上から退けと肘で距離を取る。
ベトついた前やリボーンの手を拭こうと手提げからハンドタオルを取り出すが、その横でリボーンが手についたそれを一舐めしていた。

「バッ…汚いだろ!」

「…うまいもんじゃねぇな。」

「当たり前だって!」

慌ててリボーンの手を取るとハンドタオルで拭き取った。それを珍しく黙って見ていたリボーンは、綺麗になった手を眺めてから拭ったタオルをオレから取り上げて濡れたままのオレの中心をそれで拭きはじめた。

「ちょ、やめ…もう、お前はどうしたいんだよ?愛人をオレに取られてご立腹って訳?」

吐き出す瞬間までばっちり見られていては、今更恥ずかしいも何もない。やけくそでリボーンからタオルを奪い返すと適当に拭いてシャツで隠した。スラックスはリボーンに握られていて上げることもできない。
ため息交じりに訊ねると、ぶっちょう面の先生は答えた。

「んな訳あるか。あいつは『元』愛人だぞ。この前の仕事でたまたま一緒になってな。てめぇがイイから離れたくないなんて聞いて、どんなもんかと興味が沸いたんだぞ。」

「そ、そう?」

何がイイのかは分からないが、とにかく笑われてはいないだけでもよかったと胸を撫で下ろす。
するとぶっちょう面だったリボーンが今度は眉間に皺を寄せて覆いかぶさってきた。ソファの肘掛けに背を預ける格好で目の前のリボーンから距離を取ろうと躍起になるも、スラックスごと引っ張られてまたもソファの上に転がる。

「…気に喰わねぇ。」

「へ?」

ポツリと頭の上に零された言葉の意味を掴めなくて、リボーンの顔を覗き込むと利かん気を起こした子供のようにむくれていた。

「てめぇはオレが育てたのに、なんで余所の女にくれてやらなきゃなんねぇんだ?」

「……意味が分かりません。つーか、分かりたくもねー!」

リボーンの生徒ではあっても、物でもなければ恋人でもない。なのに逃げ出せないように押さえ込まれた身体の上を撫で回る手にいいように翻弄されてまたも熱い息が漏れてくる。
シャツの裾から入りこんだ手に腰をなぞられてビクンとひとつ身体が跳ねた。

「やっ…」

「オイ、さっきの女とはもう寝たのか?」

「…っ!ま、だ…」

耳朶に息を吹きかけるように声を掛けられて、その度にゾクゾクと背中を這いあがる疼きに泣きたくなる。
必死にシャツの裾を押さえて入り込む手のゆくえを阻んでいるというのに、腿の柔らかい内側に手を這わされて悲鳴があがる。

「愛人たちと別れるか?」

と訊ねられ二つ返事で頷いた。リボーンに掘られるより遥かにいい。コクコクと頭を縦に振って即答すると、満足げな笑顔になったリボーンの顔が迫ってきた。

「ちょっと!」

手で迫りくる顔を押さえていると、作りもののように整った顔が曇る。
そういう顔も色気があるのだろうが、生憎オレは男なのでどうといういことはない。ドキドキしてるのは不埒な手の動きのせいであって決してリボーンが好きだとか格好いいとか思ってる訳じゃないんだからな。

「手ぇ離せ。」

「離したらどうなるの?」

「口と口がくっ付くに決まってんだろ。」

「ふざけんな、バカ!男同士で接吻なんかしねーよ!」

両手で押し返していると、迫ってきていた顔がふっと消えてスカンと手が空気を掻いた。
慌てて視線で追うも、ソファの上に立てていた膝に手が掛ったと気付いた時には、シャツの裾を捲くられて腹まで全開にさせられた情けない格好が眼前に広がっていた。

「上の口は素直じゃねぇからな。下の口に聞いてやるぞ。」

「バカバカバカ!男は下半身は別だって知ってるだろう?違うんだからな!」

撫でられていただけで、またも半起ちになっていたソコを触るでもなくジッと眺められてそう反論する。けれどもそう易々と言い包められるリボーンではない。

「よく言うな。愛人どもでさえ最初は起たなかったくらい小心者のツナがな…」

「おま、それは言っちゃならねーよ!」

例え本当だったとしても、そこは黙っておいて欲しいものだ。例の愛人がこいつに漏らしたのだろうか。だとしたら言われるまでもなく愛人契約は破棄だ。
膝の間でニヤリと笑うリボーンの顔を睨みつけるも、その顔が下へと落ちていくのを目の当たりにして慌てた。

「待て、待てって!そこはダメ…!」

足の間に吸いこまれそうになった顔を手で押し留めるが、両手を掴まれて脇に押し付けられる。させてなるものかと膝を閉じても身体をねじ込まれて緩んだ隙にパクリと咥えられた。


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