リボツナ2 | ナノ



3.




肩に噛み付かれたような痛みが走り、手で確かめようとしてハッと目が覚めた。手が掴んだのは人の髪の毛で、そこに居座っているのはリボーンだったからだ。
しかも手が思うように動かない。何かで縛れている。

「丁度いいところで目が覚めたか…」

オレの肩から顔を上げたリボーンが、悪びれることなくイイ笑顔を浮かべていた。

「…これ、どういうこと?」

あまりにいい笑顔だったので、逆に怖くなったオレは慌てて自分の身体を確認するとそれはそれは綺麗にリボンが捲かれていた。
……全裸に。

「見た通りだぞ。プレゼントだからな、ラッピングしてみた。」

「うん、解け。つーか、オレは嫌だって言った!」

リボンを解こうと手を動かすも勿論解ける筈もない。
だからと言って易々と喰われてたまるかと、リボンの結び目に歯を立てるとリボーンの手がオレの中心をむんずと掴んだ。

「ひっ…!」

何の反応もしていないソコを大きな手で握られて、咄嗟に手で退かそうともがくもリボンが邪魔で身体が思うように動かない。
あれよという間にリボーンの手の中で育ち始めたソレに裏切られ、見る間に身体の力が抜けていく。
愛人もいるし、こういう行為も初めてじゃない。なのにリボーンの手に扱かれるとその気持ちよさに抵抗する気持ちが萎えていった。

いつの間にベッドの上まで連れてこられたのか、光沢のある生地に刺繍が美しいそこに据えられていたオレはリボンの感触に肌を擦られ、刺繍がつま先に引っ掛かって正気付いた。

「ダメだって!」

鎖骨から喉元へと唇を這わせていたリボーンの肩を押し遣る。あまり力が入らなかったにもかかわらず、思いの外簡単に身体から離れていったリボーンを睨むが、相手もこちらを睨んでいた。

「邪魔すんな。」

「邪魔するに決まってんだろ?!何でオレがお前の愛人にならなきゃなんないの!」

そうはっきり言ってやると、今度は愉快そうに笑い出す。

「…もう愛人は作らねぇぞ。」

「どういう意味?」

この猥褻物のような存在に、引き寄せられない女は居ないんじゃなかろうか。
それを全て袖にしてもいいと思える人に出会えたということなのか。
そうなんだろう。だったら尚のこと、オレははっきり言ってやらないと。

「あのね…そういうことは本人に言ってやりなよ。いくらオレでもこの茶番には付き合えないよ。」

肩を竦めてから足をベッドの下に着け、喜劇にもなりきれなかった三文芝居を終わらせようとした。

これでいい筈だ。そうだよ、よかったんだ。
今、胸に渦巻いているのは一番近しいと思っていたリボーンに、オレより大事な人ができたということを突きつけられて少し寂しいだけだ。
明日になればちゃんと祝福してあげられる。

両足を床に着け、ベッドから降りようと中腰になったところでいきなり後ろに引っ張られた。
ただでさえリボンを捲きつけられて思うように動かない身体を、テコの原理で腰を掴まれながら足を跳ね飛ばされて後頭部からベッドにダイブする羽目となった。

滅多に音を立てない自慢のベッドがギシギシと軋む。
痛くはないが驚きで呆然としているオレの上にリボーンが伸し掛かってきた。

「…誰の話をしてんだ?」

ボルサリーノから覗く瞳がギラリと光り、そのあまりの獰猛な色に身体が竦んだ。

「オレはてめぇと約束したんだ。他の誰でもない、ツナを手に入れるために戻ったってのに何逃げ出そうとしてんだ?」

「え、あ…だって、愛人はいらないって…」

逃げ出せないようにか、足の間に身体を捻じ込まれて肩をベッドに縫い付けられた。
間接照明から浮かび上がる酷薄そうな唇とすっと整った鼻筋。その上にある切れ長の眦に射抜かれて何故だか動悸は激しくなっていく。

「バイパーに聞いたんだろう…どうして5割を切るような賭けに出たと思う?」

「わかんな…ひゃ…!」

またもゆるりと中心を握られて悲鳴が上がる。だけどそれはどうにも甘い。
恥ずかしさに視線を逸らすと、上を見ろと言わんばかりにソコを扱き上げられた。
ぬるりと先走りが滲み始めてリボーンにされる行為を嫌がっていないことに気が付く。

リボンの隙間から覗く胸の先を指で摘まれて仰け反ると、もう片方を舐め取られた。
手の中で急激に膨らむ中心から零れる体液がぐちゅぐちゅと音を立てる。

謎掛けのようなやり取りと、身体を弄られる快感とに纏まらない思考が悲鳴を上げた。

「も…やだ!」

「しょうがねぇヤツだな…ここまで言ってんのに、何でわからねぇんだ。お前の心も身体も欲しいから、抱けるだけの身体が欲しかった。愛人じゃなく、恋人になれ…ツナ。」

言って胸を弄っていた顔を上げると、そのまま口付けられた。
強引に舌を割り込ませてきたくせに口腔を這う動きはゆっくりでもどかしいほどだ。
気が付けば追われていた筈の舌が、逆に追って自ら絡めていた。

後頭部とシーツの間に手を入れて抱え上げられながらも深くなっていく口付けに酔う。
最後に零れた唾液を舐め取られてやっと離れていった。

ぼんやりとまだ上にある顔を見詰めていると、腕を引かれて起こされる。
弄られたせいで身体に巻き付いていたリボンが少し解けていた。
顕著に反応している中心を手で隠して下を向いていると顎を取られた。

「…さっきから丸聞こえだぞ、思ってることが。」

「あ…」

「赤子姿の頃からあれだけ秋波を送られてりゃ、誰だって気付くぞ。なぁ?」

「ち、ちが…」

「愛人と一緒は嫌だなんて、可愛いじゃねぇか…」

「いいいい言ってない!言ってないよ!」

「そんなにヨかったのか。」

「どわぁ…!おまっ、そういうのは口に出したらダメだろ!」

ニヤニヤと口許を緩めるリボーンの口を、慌てて塞ぐもその手を取られて舐め取られる。
手首を握られて手の平の柔らかいところを辿り、薬指に噛み付かれた。

「そういう訳で、貰ってくぞ。」

「は、い…」


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