リボツナ2 | ナノ



3.




ガチャリ…と扉の開く音がして、ハッと意識が浮上する。
どうやってここまで連れてこられたのだかまったく覚えていない。
間接照明の淡い光のみの部屋は奥が見えない。広いようだ。

ふらつく足取りで目の前にあるソファへとダイブすると上からリボーンが覆い被さってきた。

「こっちじゃねぇぞ…」

「いーんだよ、こっちで。」

ベッドに転がったら寝かして貰えないんだから。それだけはどうにか回避したくてわざとソファに懐いていると、お構いなしにジャケットを剥ぎ取られた。

「ちょっ…!」

「往生際が悪ぃな、ツナは。…最初はベッドでと思ってたが、オレはソファでも構わねぇ。いいぞ、ここでも。」

「オレはヤだ!」

「それならベッドに行くか?」

「…それも嫌。」

黙ったと思ったらいきなり口を塞がれた。
息も出来ないほど深く口付けられると引っ張りだされたシャツの裾から少し冷たい手が忍び込み、肌を確かめるように大きな手の平が撫で上げる。
背骨のひとつひとつに指を這わせる度にゾクリと何かが駆け抜けて、その指から逃れたくて仰け反るとリボーンの身体と張り付く羽目になる。
瞬間、ギクリと身体が強張った。

「どうした?これがそんなに怖いか?」

「怖いっていうか…」

互いのスラックス越しでも分かる昂りに、恥ずかしさと嬉しさとほんのちょっとの罪悪感が混じる。

「中学生は嫌だったんだろ?高校へ上がったんだからいいじゃねぇか。」

背中を這う指が今度はシャツのボタンを外していく。上から順に外していくと、唇から首筋へと辿っていく口付けがそれに合わせて肌の上に落ちてきた。
くすぐったさに身を捩ると肩を押さえつけられ、ソファに貼り付けられた。

「ひゃ…ちょっと!って言うか、オレ男だし…多分よくないよ?」

女の子と違って、とは言いたくなくて飲み込んだ。
こいつが年下なのも問題だけど、男同士なのも問題だ。
大体、男同士でどうやるんだろ?

「…いいからマグロになっとけ。」

すべてのボタンを外し終わったらしく、肩からシャツを抜き取られ床に投げ捨てられた。
またも上から押え付けられてソファへと沈む。

ジッとこちらを眺めていたかと思うと、胸の先を指が撫でる。最初は軽く人差し指で突かれて、そんなところは女の子じゃないから感じないよと言おうとして息を飲んだ。

いつの間にかもう片方の先に舌を絡め、その形を確かめるように這わせては舐められてを繰り返す内に腰の辺りがむずむずしだした。
何だろう…変だなとは思っても、いま一つよく分からなくてどうなってるんだろうかと考えていると、今度は指で弄っていた方の先に吸い付かれた。
瞬間、ピリリと突き抜けるような何かに押されて身体が反り返った。

指で摘みながら舌で押し潰すように擦られて、知らず声が漏れた。妙に甘くて自分の声なのに恥ずかしい。

「やっ…ぁ…っ!」

勝手に跳ねる身体を押さえ付ける手の力が強い。熱くなっていくのに身動ぎも出来ずただ喘がされて、あまりの刺激に付いていけずに涙が滲んできた。
それに気付かずに悪戯な指先が硬くなっていった先を押し潰し、もう片方を甘噛みされた。
アルコールが残る身体と、思うように吐き出せない熱にとうとう閉じた瞼から零れた。

「悪ぃ…がっつき過ぎた…」

過ぎる刺激にしゃくりあげるオレに、やっと気が付いたリボーンは顔を上げる。
みっともない顔を見られたくなくて、手で顔を隠すとそのまま横を向いた。

「どうしても嫌か…?」

「ちが…だってオレ男だし…」

「さっきからそればっかりだな。どうかしたのか?」

答えたくないけど答えなきゃ先に進めない。
大きく息を吸い込むと、手を外しオレの上に覆い被さる格好でいるリボーンへと顔をむける。

「…今日の相手役の女優……」

「それがどした?」

「……3日前にお前んとこに電話掛けてきた。」

「……」

呆れた顔をされた。
だって、リボーンは滅多に人に携帯のナンバーを教えない。
それを掛けてきたってことは、それなりに仲がいいってことだろ?
しかも例の期間の時にも噂になっていた女優なんだ。

下から睨んでいると、いきなり笑い出した。

「くっ…くくくっ…お前、妬いてたのか?」

「っ…!バカ、アホ、スケベ!リボーンが悪いんじゃないか!あの時はぐらかすから…」

笑われた恥ずかしさと、言い当てられた悔しさに逃げ出そうと足掻いていると、顔を両手で掴まれてちゅっちゅっとキスの雨が降ってきた。
最初は抵抗してたけどその内どうでもよくなった。恥ずかしさにまで慣れてきたらしい。最後に唇にぶっちゅとキスされてようよう目を開けることができた。

「オレはツナが男だろうが、年上だろうが関係ねぇ…お前だけを愛してる。」

真顔で言った!
このイタリアン、恥ずかしげもなく言い切った!
言われたこっちが恥ずかしいなんて理不尽だ。

それでも顔を真っ赤に染めながらもリボーンの頭を引き寄せて唇を重ねた。
勢いがよ過ぎて互いの歯に当たったけど気持ちは伝わったようで、離した途端にまた落ちてきた唇に塞がれた。
こじ開けられ絡め取られた舌を自分から絡ませると、今までと違った気持ちよさにぼんやりしてくる。
息継ぎの度に漏れる声の甘さもどうでもよくなって必死についていくと、ご褒美だとばかりに弱いところを舐め取って口を離していった。

荒くなった息を整えていると下を剥ぎ取られ、リボーンも脱いでいく。
つい先月高校生になったばかりとは思えない体躯が現れてそれを目で追った。思わず肌に手を当て触れているとくつりと笑ってとんでもないことと言い出した。

「脱がしてくれ。」

って、これだよな?これしかもう履いてないし。でもさ、でも!
形としてはボクサーで、まぁ普通でよかった。
オレはてっきりビキニかと…ってそうじゃない。

リボーンを見上げて首を横に振っているのに、つれねぇこと言うなと押し付けられた。

「脱がなきゃ最後まで出来ねぇぞ……それとも最後までするのは嫌か?」

ズルイ聞き方だ。
嫌じゃないけど、これは誰でも困るんじゃないの?!

「だってお前、これ脱がしたらどうすんの?」

「勿論、ツナの中に入…」

慌てて口を塞ぐ。
ていうか。

「このサイズ、ムリだろ!?」

前にも一度、脱衣所で見た。見たけどあの時って平常時だったのか…。
見たくないと首を振っているのに、ホレと手をパンツまで持っていく。

「最後までするかしないかお前が決めろ。」

「……うううっ。」

そう言われたら逃げる訳にはいかなくて。
覚悟を決めてゆっくりと下ろしていった。


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