3.■貴方がお風呂に入っていると誰かがお風呂に入ってきました。さぁピンチ。その時の貴方の反応と相手の反応をどうぞ。 スカル兄の尻を叩いて夕飯を作って貰ってから、やっとひとりになれたツナは下着とパジャマを手に風呂場へむかいます。 今日は兄2人の相手をしたせいで精神的に疲れていました。 ゆっくり浸かろうと脱衣所に入ると、温泉の素を探し出してから服を脱ぎ始めます。 Tシャツを脱ぎ捨て、ハーフパンツに手を掛けているとドアの向こうから何やら物音が聞こえてきました。 ごそごそという布擦れとともにカチャカチャという機械を操る音もしてきます。 トランクス一枚の格好で足を忍ばせガラっとドアを横に引くと下着姿のリボーンが防水カメラ片手に着ていた服を畳んでいるところでした。 「…チャオ。」 「チャオじゃないよ!カメラ禁止!撮影お断りします!」 腰に手を当てて怒鳴ると悪びれない兄は可愛い顔が台無しだぞと茶化してきます。 それを睨み付けることで拒絶するとカメラを取り上げて廊下の端まで滑らせ兄の服を脱衣所の中に置きました。 「…でも、その格好だと寒いだろ?一緒に入るのはいいよ。」 「ツナ…!」 兄の広くて硬い胸板に、姉ちゃんだったらもっと歓迎できるのにと残念に思っていたのは秘密です。 そんな訳でリボーンと一緒に風呂に入ることになったツナは、まず髪を洗ってやると言われて座りました。 器用なリボーンはゴシゴシ洗うことなく絶妙の力加減で洗っていきます。 浴室の温かさと指で頭皮を擦られる気持ちよさにうつらと眠りそうになると上からシャワーをかけられました。 優しい手付きと柔らかなお湯の流れに益々上瞼と下瞼が仲良くなっていきます。 前かがみで大人しくしていると、髪の毛を流しおえたのかリボーンがツナの肩を引き寄せると泡のついたスポンジでツナの身体を洗いはじめました。 (精神的に)疲れていたツナは面倒臭さに抵抗する気も起らず、されるがままです。 肩から胸、脇腹とくだっていくスポンジに楽でいいやと呑気にしていると、まだまだ未発達な下にまで手がくだってくるではありませんか。 驚いたツナはリボーンの手を慌てて掴むと、後ろからチッという舌打ちが聞こえてきました。 「ちょっと!そこはいいよ。」 「遠慮すんな、お兄ちゃんにドーンと任せておけ!」 任せられません。というか、そこまで任せるほど幼くもありません。 兄の腕から逃げ出そうともがいていると浴室の扉が勢いよく開きました。 「少し目を離した隙に…って、ブブブッー!」 助けに現れたのは勿論スカルです。 しかし最初の勢いはどこへやら、何故か前を押さえると後ろを向いて蹲ってしまいました。 「スカル兄?」 どうにかリボーンの魔の手から逃れられたツナは浴室の隅で蹲る兄の顔を覗き込みます。 すると横目でツナを確認したスカルはもっと顔を赤くしてツナから顔を背けるとぶつぶつ独り言を呟きはじめました。 「携帯を…いや、廊下に落ちていた防水カメラが…」 さすが兄弟です。 泡だらけの格好のまま蹲るスカルに張り付いて怒鳴りました。 「撮影禁止!って、なんでオレの裸なんか撮りたいの?!」 耳元でそう声を上げるとスカルはツナを見詰めたまま気を失ってしまいました。 驚いたのはツナです。 どうして兄が突然倒れてしまったのか謎のまま、後ろにいるもう一人の兄に助けを求めると、呆れ顔で長い溜息を吐いていました。 「リアルツナだと刺激が強過ぎたんだろ。まあなぁ…」 と泡だらけの真っ裸のツナを見たリボーンが、いかにもツナが悪いと言わんばかりに一瞥すると仕方ないと言ってスカルを引き摺って出て行きました。 「よく風呂に浸かってから出てくるんだぞ。それからこいつも気になるから、今日は父さんと母さんが使ってたベッドで一緒に寝るんだからな。」 「ふぁーい!」 泡を流して風呂に浸かりながらそうツナは返事をしました。 ■皆で大きいベッドに寝ることになりました。どんな風に並んで寝ますか? カラスの行水と言われるツナは、その後5分と経たずに風呂から出ると適当に身体を拭いて髪の毛は乾かすことも面倒で、そのまま出てきました。 それでもホコホコと温まったツナは冷蔵庫にある炭酸飲料を煽るとスカルの様子を見に父さんたちの寝室まで覗きに行きました。 リボーンはツナにはメチャ甘ですが、もう一人の弟であるスカルには酷い扱いなので少し心配だったからです。 見ればやはりというか、布団も掛けられずにそのまま転がされているだけリボーンの姿は見えません。 「本当にしょうがないなあ…」 そう言うと腕を組んでどうすればいいのかを考えはじめました。 ツナより4つ上のスカルはひょろっと細長い体型です。小さい方から数えた方が早いツナが抱えられる訳もなく、とりあえずは片方を捲るとそこに乗り上げてスカルを自分の方へと転がしてみました。 「ん…」 どうやらリボーンに頬を抓られたらしいスカルはそこに手を当てていてうまく転がってきません。 放っておくのも可哀想です。 うーんとあまりよくないお頭で考えた答えがこれでした。 「スカル兄、こっちに来て。一緒に寝よう?」 と耳元に囁いた途端、カッと目を開けて転がり、ついでにツナも巻き込んでベッドの端で止まるとまた寝息を立て始めました。 「ス、スカル兄?寝てるの?」 まだ髪の毛も乾かしていないのにと困っているとナイトキャップまでしっかり被ったリボーンが現れました。 「リボ兄、ヘルプ!」 スカルの腕の間から手を出して助けを求めていると、その手を握り締めたリボーンがそのままベッドのツナの後ろに回って手で邪魔されないようにしてからツナの身体を弄りはじめました。 「ぎゃあぁぁ!変なとこ触んなっ!」 風呂場の続きを始めようとするリボーンに悲鳴を上げると、寝ていたとばかり思っていたスカルが目を開けてリボーンの手から引き離してくれました。 「約束が違う。ツナは交代で抱き枕にするって言っていただろう!」 「そんなもん守ると思うか?大体抱き枕にして何が楽しいんだ。触ってこそ楽しいんだぞ!」 とんでもありません。 それを聞いていたツナはプルプル震えるとベッドの上に仁王立ちになって言い渡しました。 「抱き枕も触られるのもご免だっ!でも一緒のベッドで寝るのは決定だからな。なにがなんでも一緒に寝ろよ!」 それだけ言うと2人から布団を取り上げて頭から被り、ぐるっと丸まると裾を中に入れて縮こまりました。 これでは布団に入れません。 困った2人がそれでも弟の言う通り同じベッドで布団もなく寝たせいで後日風邪をひいたなんてこともあったそうです。 終わり |