リボツナ2 | ナノ



2.




■三人の家族内での約束事は?

スカル兄の腕から逃れたツナは、2人の兄の手の届かないテーブルの隅に座りました。
育ち盛りのツナにはトースト一枚では足りないので二枚目を取ろうと手を伸ばしたところで横からトーストの乗ったお皿ごと取り上げられて声を上げます。

「リボ兄!」

「返して欲しくば膝の上に座れ。」

変態です。
一瞬ツナの頭をショタコンという言葉が過ぎり、しかし背に腹は変えられないのです。
それほどツナにとって朝食を食べるということは切実です。何せ中学生は買い食いやお菓子の持ち込みは怖〜い風紀委員長が在学しているせいで出来ないのだから。

見た目は小さいツナですが、胃袋は成長期の男の子としてごく一般的なので、とても食パン一枚では足りません。

ごくりと唾を飲み込んで緊張の面持ちで席を立ち上がろうとしたその時、反対からトーストの乗った皿がツナの前に置かれました。

「オレはもういいからこっちを喰え。」

「あ、ありがとう!スカル兄!」

トースト二枚に目玉焼き2つ、サラダもまだ手付かずだったスカルの朝食を渡されました。
ムッとしたのはリボーンです。せっかくツナで遊んでいたのに邪魔されて見る見るご機嫌が急降下していきます。

それに気付かないツナはトーストにジャムをたっぷり乗せて頬張り、サラダを除けつつ目玉焼きをぱくついてご機嫌です。

サラダは食べろと口を出したいスカルは、けれどリボーンの無言の威圧に負けるものかと睨み返していました。

「スカル兄のご飯、段々母さんの味に近付いてきたよね。なんかホッとする!」

「そ、そうか?」

不毛な睨み合いをやめてツナの言葉に照れるスカルは同級生には見せられないほど顔が崩れています。
こちらも弟バカ一直線です。

一心不乱に頬張るツナの口端に卵の白身がくっ付いていて、それを取ろうと手を伸ばしかけたスカルはそれより先に邪魔が入ったことで機会を逃してしまいました。

「ついてんぞ。」

「ん、ありがとう。」

リボーンが横からツナの口に張り付いていたそれを取るとパクッと自分の口に入れています。
またも睨み合いを始めたスカルとリボーンにやっぱり気付く様子もないツナは最後の一口に取っておいたパンを飲み込むとパン!と手を合わせて言いました。

「ごちそうさまでした!」

「「ごちそうさまでした。」」

いただきますとごちそうさまはきちんとご挨拶なさいという躾は3兄弟にしっかり根付いているようです。


■家族会議が開かれました。その内容は?

しぶしぶ食べ終えたリボーンと、リボーンから奪い返したツナの朝食を食べていたスカルは、ツナが学校の支度に2階に上がって行ったことを確認してから何やら話し合いを始めました。

5分後、支度をおえたツナが1階に降りてくるとまたも兄2人が喧嘩をしています。
慌てて止めに入ったツナですが、何故か両腕を左右に引っ張られて身動きが取れなくなってしまいました。

「てめ、ツナを離せ。ツナが痛がってんぞ。」

とリボーンが言えば、

「そういアンタこそ離したらどうだ。ツナの面倒はオレが責任を持ってみる。」

スカルがきっぱり言い切っています。
意味の分からないツナは、いつもの兄弟喧嘩に巻き込まれたことだけは分かったので最強の一言を呟きました。

「すぐに離してくれないなら、どっちも嫌いだ。」

揃って腕を離した兄2人は涙目の末弟のご機嫌を取ろうとその日の夕方、ケーキやらお菓子をお土産にしたということです。



■喧嘩を止めるために貴方はどんな行動にでましたか?

「ー…ってことがあったんだけどさ。」

昼休みにスカルの作ったお弁当を広げるツナと、同級生の山本、獄寺の3人はいつものように屋上へと足を運んでいます。
そろそろ外での昼食は寒さがしみるというのに、ここが3人の指定席のようで中々教室で食べようとは言い出しません。

「兄ちゃんも大変なのな。」

「は?話聞いてた?大変なのはオレだよ!」

「そうっスよね!なんならオレが果たしてきますか?!」

「いや、返り討ちに遭うだけだから止めといて!オレ以外には鬼、悪魔だよあの2人。」

中学に入ってから出来た友達の山本と獄寺は兄2人の怖さが分からないようです。
けれど兄2人の喧嘩の原因は分かっているようで、山本はこっそりツナに耳打ちしてきました。

「え…母さんの…を着るの?それであの喧嘩が収まるのかよ?絶対平気って、本当かなあ…」

友だちからのアドバイスを一応胸に留めておこうと思ったツナでした。







その日の夕方。
帰宅部のツナは帰りが一番早いので、洗濯をよせることだけ言い付かっています。
畳むのは生来の不器用さ故にスカルより禁止令が出ているほどです。
面倒臭がりのツナはこれ幸いに決して言いつけを破ることはしませんでした。

居間の一角に寄せたばかりの洗濯の山を築き上げたツナは、手洗いを済ませコップにジュースを注いでいるところでした。
玄関から忙しない音が聞こえ、スカルだよなと確認のために顔を覗かせるとなんとリボーンとスカルが2人で押し合いながら玄関で揉み合っているところでした。

「なんでアンタがこんなに早く帰ってくるんだ!」

「扶養家族に心配される謂れはねぇぞ。溜りに溜った有給くらい半日使ってもバチは当たらねぇ!」

リボーンの手にはツナの大好物のケーキ屋の箱が、スカルは袋いっぱいのスナック菓子が見え隠れしています。
弟大好きな2人にどうしたらいいんだ!と頭を抱えそうになってハッと山本の言葉を思い出しました。

慌てて母親の使っていたタンスからそれを取り出すと、頭から被り後ろで紐を結んで適当に整えました。
廊下に出るとまだ言い争いを繰り広げている兄2人に母親の口真似で声を掛けます。

「こら!ダメでしょ、リボ君にスカ君!って…なんでそこで笑ってくれないんだよ!笑えよ!」

山本からの助言で母親のエプロンを借りたツナは、ついでに笑わせてその場を収めようと母親の口真似もしてみたのですが、兄2人はなにやらブツブツ言いながら顔を抑えて蹲ってしまいました。

外したらしいと悟ったツナが顔を赤くして逆ギレすると、やっと戻ってこれたらしいリボーンがツナに訊ねました。

「おまっ、どうしてそのエプロンなんだ?母さんのエプロンでももっと普通のがあるだろう。」

「へ?これが一番上に乗ってたからだけど?」

ひらりと白いエプロンのフリルが軽やかに舞い、スカルはまだダメージから立ち直れず床と友だちになっていました。


■食卓での配置はどんな感じですか?

自分のエプロン姿に蹲る兄2人を尻目に、勝った気満々のツナはフリルをたなびかせてケーキとスナック菓子を手にキッチンへと入っていきました。
ツナが見えなくなってから、やっと起き上がったリボーンとスカルの鼻からは血が垂れています。

「もの凄い破壊力だったぞ。誰だ、ツナに入れ知恵したのは。」

「オレじゃない。そもそもアンタがあんなエプロンをツナに着せたいがために買ってきて母さんのタンスに入れておいたのが悪いんだろ。」

言い合いながらもツナの新妻エプロン姿(妄想)に思いを馳せてだらしなく顔が緩む兄2人です。
そこへ痺れを切らせたツナがキッチンから声を掛けてきました。

「リボ兄!スカル兄!早くこないとオレ食っちゃうからね!」

「すぐ行くぞ。…ツナを食べに、」

「待て待て待て!いかがわしいことさらっと言うな!」

鼻を押さえた兄2人がキッチンに駆け込んでくると、すでにエプロンを脱ぎ終えたツナがケーキを皿に切り分けているところでした。

あからさまにがっかりしている兄たちに気付かないツナはいつもの席に切り分けたケーキを置くとコーヒーの支度に取りかかります。
気を取り直したリボーンはすかさず注文をつけました。

「ケーキにはエスプレッソだぞ。」

「分かってるって。スカル兄も一緒でいいよね?」

「ああ。」

そう返事をするとスカルは席につきました。
スカル、リボーンはテーブルの端と端に座ります。ツナはといえばその2人の対面の丁度真ん中に座っています。
長いテーブルにこの座り方では不便だと思うのですが、兄2人はどちらもツナの前を譲らず、またツナの横に自分以外が座ることも認めなかったからです。

最初はリボーンが三角のテーブルを購入すると言いだしたのですが、それだと食事があまり乗らないから勿体ないとスカルが拒否したのです。

それはともかく、エスプレッソを淹れたツナがカップ2つを手に兄に近付くとリボーンに前からむぎゅうと抱き締められました。

「ちょ、リボ兄!中身が零れる!」

「可愛いぞ!ついでにさっきのエプロン着けてお兄様どうぞとか言われたら萌え死ぬ!」

「言わねえよ!ってかマジで零れる!」

いっそ頭の上にぶちまけてやろうと思っていると、スカル兄がツナの手からカップを取り上げてテーブルに置いてくれました。

「ありがと…」

「いい。それよりツナ。さっきのエプロンをもう一度着てくれ。携帯電話で撮りたいんだ。」

「…イ・ヤ・だ。」

ツナがエプロンを着ることは二度となかったそうな。


■皆と遊ぶことになりました。何をしますか?


甘いものが苦手なリボ兄の分のケーキを貰い、やっと機嫌を直したツナは、頬の生クリームをくっ付けたまま牛乳を煽っていました。
兄2人のおもちゃにされるのは自分が小さいからだと誤解しているようです。

一杯飲みきると、またコップに注ぎます。
少しでも伸びますように!との願掛けは望み薄いなんてことは本人以外は分かっているようです。
好きなようにすればいいとそれを見ていたリボーンは、頬に付いた生クリームを指ですくい取るとツナに尋ねます。

「今日は半休取ったんだ。遊んでやる。」

「って、言われても…」

ツナももう中学生です。外遊びが元々嫌いなツナなので遊ぶにしてもこれくらいしかありません。

「ゲームで対戦する?」

「いいぞ。その代わりツナが負けたら一枚脱ぐんだぞ。」

「なんで脱衣?!」

「大人の定番だぞ。」

そんな訳はありません。
いつもならば即座にスカル兄の邪魔が入るというのにどうしたのでしょう。

「ツナ!」

「な、なに、スカル兄。」

ひどく真面目な顔でツナの肩を掴むと言いました。

「オレも仲間に入れてくれ。」

「…ふざけんな!」

兄2人より現役ゲーマーなツナの方がギリギリ強かったのでなんとか全裸だけは免れたのだとか。


■じゃあいきなりですが、そんな皆を色に例えると?

アホな兄2人を返り討ちにしたツナは、やり込み過ぎて燃え尽きた2人のためにコーヒーを淹れてやることにしました。
キッチンに降りてくると外はもう真っ暗で、時計は7時を指しています。

少し薄めに淹れてからリボ兄の黄色いマグカップとスカル兄の紫のマグカップに注いで、それから自分のオレンジのマグには先に牛乳を半分入れた状態で注ぎます。

トレイに乗せて2階の自室に戻ると目頭を押さえたリボーンが何故かツナのベッドの上を占領して枕を抱えていました。

「…リボ兄、やめて。本当にキモい。」

末弟にしみじみ言われたリボーンはショックで枕を噛み締めています。
それ以上は言うだけ無駄だと知っているツナはテーブルの上にマグを置くとぶつぶつなにやら呟いているスカルに声を掛けました。

「スカル兄、コーヒー淹れたよ?」

「…あそこでA+Sを繰り出していれば……」

どうやら敗因を検証中のようです。そこまで真剣だったスカル兄にも頭が痛くなってきました。
とりあえずこれだけは言いたいツナです。

「2人ともコーヒー飲んだら出てけっ!」

兄弟の縁は切れませんからね?


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