リボツナ2 | ナノ



4.




●記念日や誕生日を忘れる

そんな騒動があった翌朝。
ツナが起きてくるとすでに3人組は着替えも済ませて朝食の支度をしている最中だった。

「おはよー」

「おせぇぞ、あんまり遅いから起こしに行こうと思ってたところだ。」

「ごめん。もうおじさんだから、お前たちと違って夜遅いと起きるのも遅くなっちゃうんだよ。」

よろよろと椅子に座ると、目の前に緑色の液体が入ったグラスがコトンと置かれた。

「これ、なに?」

「野菜ジュースだぞ。お手製だからありがたく飲めよ?」

「…色が毒々しいんだけど。」

「飲め。」

「うううっ…」

しぶしぶ飲んでいると、スカルの携帯電話が着信を知らせた。

「家から?」

「違いますよ。その…今日はオレの誕生日なんで知らない人から何故かメールが来るんです。」

「誕生日?!」

驚いて大きな声が出た。
その声にバツが悪そうにどこかを向いたスカルのシャツの裾を摘んで引っ張ると、ちらりとこちらを振り返る。

「…別にツナさんに何かして欲しいとか思ってませんから。」

「何で?大したもの贈れないけどどこか行こうか。」

そう言うと残りの2人が異議を唱えだした。

「オレも先月誕生日だったぜ!」

「パシリと二人っきりになんかさせるか。」

「イヤイヤイヤ!お前ら友達だろ?みんなで行こうよ。」

それを聞いたスカルがすかさずツナに呟いた。

「二人っきりで映画を観たいです。この二人が一緒だと観たいものも見れないんで。」

確かにそうだろう。見たい映画のジャンルも違うが、わざと邪魔をすることなど日を見るより明らかだ。

納得したツナが、お前ら今日は別行動なと言い渡すと二人揃ってブーイングが出た。
そういう時だけ仲がいい。

「それならオレとも一緒に出掛けてもらうからな、コラ!」

「オレは10月13日だぞ。忘れるなよ。」

分かった、分かったと鷹揚に頷いたツナが、10月まで覚えていられるのかは甚だ怪しかったが。


●友達優先

そんな訳でスカルと映画を観にきたツナは、映画館の入り口へ着くなりけたたましく携帯電話が鳴り響いた。
慌てて外へ出て画面を見ると学生時代からの友人からだった。

「もしもし!珍しいね、こんな時期に。」

どうやら以前見せられたプロ野球選手の友人らしい。取り残されたスカルは顔には出さないがかなりへそを曲げていた。

それから10分くらいそうして待たされていると、やっと電話を終えたツナが本当に済まなそうに両手を合わせて謝ってきた。

「ごめん!スカルの誕生日なのに、主役を放っておいて!」

「…別に。」

「今度は邪魔されないように電話切っておくから!」

そう言うと携帯の電源を落としたツナにやっと笑顔が戻ってきたスカルだった。


●どこからが浮気?

折角のツナとのデート(スカル談)を邪魔されないようにと自身の携帯電話の電源も切り、映画を観た後にぶらついてきたりとひとしきり二人っきりを堪能してきた夕方。

まだ夕日がわずかに覗く時間帯に帰り着くと、ぶすくれた二人組がちゃぶ台のところで黙り込んだまま待ち構えていた。

珍しく邪魔しに来ないと思っていたら、ちゃんとここで待っていたようだ。

「ただいま。」

「「…」」

「おーい。リボーン?コロネロ?美味しいケーキ買ってきたから機嫌直せよ。」

ツナが声を掛けてもむっつりと余所を向いたままの二人は視線もくれない。
それでもめげずに二人の間に座ると、ほらとケーキの箱を開けて声を掛け続ける。

「コロネロはプリン好きなんだってな?美味しいって有名なところのプリン買ってきたんだよ。食べてよ。リボーンにはマンゴープリン。」

はい、と差し出されたプリンを受け取るとやっとちゃぶ台に集まってきた。

「よくマンゴープリンが好きだって知ってたな。」

「いや?オレはみんな一緒でいいと思ってたんだけど、スカルがリボーンはこっちの方が好きだって言うからさ…」

にこりと笑うツナにリボーンは半眼になる。
それに気付かないでウキウキとチョコレートプリンを手にしたツナからそれを奪うとマンゴープリンを押し付けた。

「なにするんだよ。」

「うるせぇ。今日はこっちの気分なんだ。」

「嘘吐け!お前甘いの苦手だろ?チョコ製品ひとつも食べないくせに…って、あぁぁ!」

眉間に皺を寄せて、どうみても美味しそうには見えない表情で食べきられた。

「うううっ…ひどい!」

「浮気するからだぞ。」

「「だから付き合ってないだろ!」」

という2人の声もリボーンには聞こえちゃいないらしい。



終わり




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