まだ眠いんだけどアイスを買いに、コンビニへ足を運んだ帰り。 まだオレを抱え上げることを諦めていないリボーンと、微妙に距離を置いて歩いていると向こうから見覚えのある顔がやってきた。 「あ…山本。」 呟くと隣のリボーンの周りから冷気が漏れたような気がした。いや、殺気か。 なんというか、中学のときにあっさり告白されたことがあるんだけれど、それ以降も別段何事もなく普通に友達をしている。あれはまぼろしだったんじゃないのかと思うんだ。 それなのに、何故かその事は話していないにも関わらず、リボーンは山本を一番警戒していた。 「よーツナ!今、お前んち遊びに行ったらおばさんがリボーンさんちに居るっていうからさ、行ってみたんだけど留守だったんで帰ろうとしたところだったんだぜ!」 「そっか…ごめんな。今帰るところだから…」 遊びに来てよ、と言おうとすると横から口を塞がれた。 「昨日の夜ちょっとあってな、あんまり体調がよくないから帰ってくれ。」 「(もが、ふぐっ!)」 大したことないって!と言いたかったのだが、口を塞がれていて声が出せない。 その内、空気が上手に吸えないせいでまたも頭痛がしはじめた。 横にあるリボーンの身体に凭れかかると、口を塞いでいた手がパッと離れて支えてくれた。 「大丈夫か?ツナ!」 山本が駆け寄るが、くらくらして身体が思うように動かない。 足元が覚束ないでふらふらしていると、リボーンにひょいっと抱えられた。 今は文句も言えない。 酸欠と頭痛で気持ち悪くなったオレは山本に断りを入れるしかなかった。 「…ごめんな、やっぱダメみたい。」 青い顔で、ぐったりとしてリボーンに抱えられた姿が山本にどう映るのか気付いていないツナが弱々しく呟く。 歯噛みしている山本に、リボーンが鼻で笑っているということも知らなかった。 じゃな。 山本と別れて、抱えられたままのツナは恥ずかしさと気持ち悪さに顔を埋めた。 あと数百メートルという距離で、見事にリボーンの腕の中に逆戻りしたオレは目を閉じていた。 玄関を開ける音がして、ハッと意識が戻ったのでどうやら少し意識がなかったようだ。 リボーンの腕の中で、まどろんでいると声が掛かる。 ふわふわと抱えられる気持ちよさに瞼がくっついてしまいそうだ。 「アイスはどうする?」 「んー…後で…。」 安心できる腕の中、また意識が遠のいていった。 遠のく意識の端で、リボーンが深くため息を付いていたような気がしたのだが… (C)ひよこ屋さまより「朝」のお題を拝借しまし |