リボツナ2 | ナノ



目覚ましは君の声




子供っていうのは、何で土曜日や日曜日になると早起きになるんだろう。
普段は寝汚い綱吉も例に漏れず、日曜の朝7時に必ず隣のリボーン宅へ起こしに来る。
鍵は奈々から受け取ったのだろう、チャイムも鳴らさず寝室に直行だ。


オレは金曜土曜と家には帰らず、曜日が変わる頃になってやっと家へと帰る生活を繰り返していた。


高校に上がると、今まで見えていなかったことが見えはじめた。
中学の頃からあちらこちらの女と浮名は流していたが、ここまで夜遊びをする生活ではなかった。
こんな生活になったのは、先ほどから煩いくらいに耳元で起こしにかかる隣に住むまだ小学生のツナのせいだ。


「リボーン!おーきーてー!!朝だってばっ!」

「…うるせぇ……。」

ドスンと腹に重みを感じる。唸って薄目を開けて確認すると、ツナが腹の上に跨っている。
小学5年生にもなるというのに、いまだ140センチに満たない低身長と母親似の女顔、加えて甘ったれた性格に少々ならぬお頭の弱さ。

小煩いガキは大嫌いだ。ツナもそれに入ると言うのにこいつだけは突っぱねられない。昔から面倒を見てきたからだけではなく、ばっちり弱みを握られているからだ。
いわゆる、惚れた弱みというヤツだ。


腹の上で睨みつけるツナの顔は少し怒っていたが、くりくりとした大きい瞳と小ぶりな鼻と少し尖ったピンク色の唇は本来の可愛さを損なうほどにはならない。
最初の出会いから女だったら光源氏の紫の上のように育ててみるのも悪くない…と思ったくらいには好みの顔だったのだが。


それから数年、男らしさの欠片もないまま育っていったこいつはお頭の弱さも手伝っていまだにオレに懐いていた。
遠慮もないせいで、以前この家でその時付き合っていた女とばっちり鉢合わせをしたにも関わらず、日曜になると遊ぼうと起こしにくる。気まずさにそれから二度と家には呼んでいない。


そもそも高校生が小学生と遊ぶか!と言いたいのだが、どうしてもつれなくできない。
並ぶと40センチは違う身長とこいつの童顔のせいで、兄弟にも見られないと言うのに。


腹の上に跨るツナは相変わらず軽くて、ズボンから覗く膝小僧から下の足は白くてつるつるだ。
…いかん。


脇の下に手を入れると、難なく持ち上がる。ギャーギャーと煩いのでぽいっとベッドへ投げてやる。
重みのないこいつはベッドのスプリングでぽんぽんと跳ねる。
当初の目的を忘れ、人のベッドで遊んでいるとハタと気付いたらしい顔が寝ているオレに迫ってきた。


「そだ、リボーン朝ごはんだよ!起きろってば!」

「…分かったぞ。」


しぶしぶ起き上がる。そうしないといつまでもこいつはここに居るのだから。
こんなガキに惚れさえしなければよかったのに。


手を出したいのに、今は出せない。
一緒に居たいのに、二人っきりだとやばい。


ため息を一つ吐き出すと、シャツとズボンに着替える。階下に降りて洗面所で身だしなみを整えていると、扉に凭れかかったツナが体育座りでちょこんと座って待っていた。


「ほれ、来い。」

「うん!」


首にしがみ付くツナを抱えて、隣に足を向ける。
甘ったれなこいつは、やたらと抱きつくし、抱えられるのが好きだ。


「やたらなヤツにこんなことされるんじゃねーぞ。」

「しないよ!リボーンとコロネロくらいだよ!」

「…オレ以外にはやめとけ。」

「?…うん、分かった。」


さっぱり訳が分かっていないこいつに何を言ってもムダだろうが。




こいつがもう少し育ったら、今度はオレが起こしてやろう。
今はまだ、お前の声が目覚ましだが、きっとその内に…。









ひよこ屋さまより『朝』のお題を拝借しています










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