11.ここはオレの家の台所。 なのに、何故か台所に立つのはオレと男なら思わず振り返る美人と2人。 観戦しているのは、こちらも女なら目を奪われるほどの美男子2人でついでにオレの幼馴染み。実際、こいつらと一緒に行動すると幼女からお年寄りまで振り返るんだけどね。 よく分かんないけど、この美人なお姉さんとリボーンを賭けて料理勝負することになってしまった。 オレにリボーンの所有権を求められても、あいつはオレのじゃないから困るよ。 でもこのお姉さんもリボーンと一緒で人の話を聞いちゃいない。オレの周りってこんなんばっかだ。 さっさと負けて、お引取り願おうって思っていたんだけど… 「…それ、何作っているんですか?」 「カルボナーラよ!」 ……え? 「えっと…ソースの色が凄いことになってますけど…。」 キッ!とまたまた睨まれた。 だって思わず口に出ちゃうよ。ありえない物体に変化してるんだよ。この美人さん料理したことないのか? 「愛があれば大丈夫よ!」 「イヤイヤイヤ!料理は愛情だけど、まず味見はしないと!食べてくれる人においしいって思って貰いたいでしょ?」 オレはやる気がないので、普通のナスとおくらとトマトにカリカリベーコンのパスタとコンソメスープだ。夕食作れって書いてあったし、リボーンとコロネロはパスタが好きなんで妥当だと思って作った。決して勝負云々は関係なく。 美人さんがじっとオレの作った料理を見ている。 「食べてみます?」 「…いただくわ。」 オレの分の夕食だったけど、また作ればいいし。母さんほどじゃないけどまぁまぁだと思うパスタに手を付け始めた美人さん。柔らかな表情になった。おししいって思ってくれかたかな? 他を見ればリボーンもコロネロも満足気に平らげていた。 「また腕を上げたな。」 「おいしかったぜコラ。」 「はい、お粗末さまでした。…どうですか?」 黙々と食べていた美人さんの手が突然止まった。不味かったのだろうか。 すると美人さんの目から涙が。 「負けたわ…完敗よ。リボーン、また料理の修業をして出直してくるわ。」 「ああ、またなビアンキ。」 頬に口付ける仕草は恋人同士のそれみたいで、しかも美男美女なんで見ているこっちがドキドキする。映画のワンシーンみたいだ。 するとおもむろにこちらを振り返るビアンキさん。 「いい?今回は負けたけど、もっと修行してリボーンをあなたから奪い返してみせるわ!」 「いやいやいや!?オレのじゃないです!」 「謙遜はジャッポネーゼの悪い癖ね。リボーンがいつも言っていたの…ジャッポーネにいる恋人のパスタが一番好きだって。だから負けないように修行してきたのよ。」 「…それは誰のことだか知りませんが、オレじゃないことだけは確かです!パスタはよく作ってやってましたけど、オレは見ての通り男だし、こいつとそんな関係になった覚えはありません!!」 まぁ…なんて感じで目を見張っているけど、どれに対して驚いているのか。まさかオレが女の子に見えていた訳じゃないよね?!それとも別のこと? 「だってあなたでしょ?リボーンが家庭教師をしているのは。」 「そうですけど…。」 ううううっ。なんだかいや〜な予感がする。聞きたくない、聞いちゃいけないって勘が告げてるよ。 そろりそろりと後ろに後ずさっていると、ふいに何かに当たって止まる。 「何逃げ出そうとしてるんだ?」 ニヤリと笑うリボーンがそこにいた。 胸に周った腕が絡み付いて離れない。 「離せー!」 力いっぱい暴れるが抜け出せない。コロネロが凄い形相でフォークを投げたけど、難なく交される。オレに当たりそうだから思いっきり投げられないらしい。 「ビアンキ、そういう事だから悪いな。オレはまだここを離れられないんだ。」 「…ええ、そんなちんちくりんに飽きたらすぐに言ってね。リボーンが花嫁修業なんてしてあげる必要のない私がすぐに迎えに行くから。」 「〜〜!!誰が花嫁修業だぁー!んなもん、して貰った覚えはねぇ!!!」 「何言ってる、勉強を教えているだろ。花嫁は計算できねぇと家計を安心して預けられねーからな。」 バチン☆とウインクされた。 …アホらし。ただ単にビアンキさんを上手に撒く口実にされたって訳か。 「リボーン、その内お前天罰当たるよ。つーかオレが天罰下したい。」 こんな美人に思われて何が不満なのかさっぱり分かんねー。 ついでにこの手は早く離してくれ。コロネロが今度はナイフを探りはじめたからね。オレは刺さりたくないよ。 「ここまで言っても分からねぇのか?とんだお子様だな。」 って、何頭痛いって顔で首振ってんだ。お前の方が分かってないだろ。 しかもビアンキさんまで信じられないものを見る目でこっちを見てる。 コロネロだけはそれでいいって言ってくれてるからいいんだよね? . |